全国で被害が拡大している「凶悪水草」を、誰もが知るあの野菜の力で駆逐しようという動きがあります。

(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)

最も厄介な侵略的外来生物は水草だった 人気の野菜で駆逐する試...の画像はこちら >>

史上最悪の侵略的外来生物は「水草」

我が国の環境に大きな被害をもたらしている外来生物といえばなんですか?という質問をされたとしたら、ブラックバスやマングースなど「動物」を思い浮かべる人がほとんどかと思います。しかし昨今、我が国で最も厄介と言われている外来生物は実は「植物」です。

その植物とは「ナガエツルノゲイトウ」。南米原産の抽水植物なのですが、ここ数年日本各地の湖沼や用水路で爆増しています。

最も厄介な侵略的外来生物は水草だった 人気の野菜で駆逐する試みがスタート
最も厄介な侵略的外来生物は水草だった 人気の野菜で駆逐する試みがスタート
ナガエツルノゲイトウ(提供:PhotoAC)

この草は水中にも陸上にも生えることができ、一度生えると茎同士が強固に絡み合った群落を作ります。そのため他の植物はもちろん、動物たちも入り込めなくなり、生態系を破壊してしまうのです。現時点では天敵もなく、あっという間に群落が大きくなってしまうため駆除も難しく、手をこまねいている状況が続いています。

対抗策はなんと野菜?

しかしそんな状況に風穴を開けようと、自治体が立ち上がりました。ナガエツルノゲイトウの増殖に悩む佐賀県佐賀市で、ある「野菜」を使ってこの草にストップをかけようという試みが行われることになったのです。

その野菜とは、中華料理で人気の「空芯菜」ことヨウサイ。我が国では畑で育てますが、原産地に近い東南アジアでは水田のように水を張った場所で育てており、ナガエツルノゲイトウと同じような環境を好む植物です。

最も厄介な侵略的外来生物は水草だった 人気の野菜で駆逐する試みがスタート
最も厄介な侵略的外来生物は水草だった 人気の野菜で駆逐する試みがスタート
栽培ヨウサイ(提供:PhotoAC)

ナガエツルノゲイトウが繁茂する前にこのヨウサイを植え付けると、水中の養分をヨウサイが消費します。結果としてナガエツルノゲイトウが繁茂しにくい環境を作り、生育を抑制することができるのでは、と考えられています。

新たな問題は起こらないのか

しかしここで一つの疑問が発生します。それは「今度はヨウサイが繁茂しすぎて厄介な存在になるのでは?」というものです。

筆者は先日カンボジアに行ってきましたが、そこでは非常に広い地域でヨウサイの栽培が行われていました。同時に野生化したヨウサイがあちらこちらに蔓延り、群落を作っているのを見かけました。

最も厄介な侵略的外来生物は水草だった 人気の野菜で駆逐する試みがスタート
最も厄介な侵略的外来生物は水草だった 人気の野菜で駆逐する試みがスタート
カンボジアのヨウサイ田(提供:茸本朗)

これについては、我が国はヨウサイの栽培をするにはやや気温が低く、冬の間に多くが枯れてしまうために野生化できないため問題ない、という予測もあるようです。実際のところどのような結果になるのか、佐賀市の実証実験に注目したいと思っています。

<脇本 哲朗/サカナ研究所>

編集部おすすめ