◆『みんなのKEIBA』MCの堤礼実アナフォトギャラリー
9月20日、中京競馬場で「秋華賞トライアル」のGⅡローズS(芝2000m)が行なわれる。
オークス11着からの巻き返しを図るデゼル
今年の3歳牝馬3冠戦線には、無敗の2冠馬デアリングタクトという絶対的な存在がいるが、前哨戦には出走せずにGⅠオークスからGⅠ秋華賞への直行が予定されている。
過去、3歳の夏を越して急激な成長を遂げた馬は多数いた。2016年の秋華賞馬ヴィブロスもそう。3歳春にはGⅢチューリップ賞12着、GⅢフラワーC12着と重賞では大敗が続いたが、4カ月の休養を経て出走した7月の500万下戦で、2着に4馬身差をつけて圧勝。その後、9月のGⅢ紫苑S2着を経て、10月の秋華賞を制した。
ヴィブロスのポイントは"良血"であるということ。全姉ヴィルシーナはGⅠヴィクトリアマイルを連覇した馬で、半兄シュヴァルグランも2016年3月にGⅡ阪神大賞典のウィナーになっていた(のちにGⅠジャパンCを勝利)。良血馬は時に、短期間で急激な成長を遂げたり、大舞台で底力を発揮したりするのだ。
今年のローズS出走馬にも、それに当てはまりそうな馬がいる。まずはデゼル(牝3歳/栗東・友道康夫厩舎)だ。
同馬は今年3月15日のデビュー戦(阪神/芝1800m)を快勝すると、続くLスイートピーS(東京/芝1800m)では上がり3F32秒5と驚異の瞬発力を見せ豪快に差し切り。
敗因としては、2戦というキャリアの少なさ、中2週という厳しいローテーションなどが挙げられる。馬体重もデビュー戦の472kgから468kg、460kgと2戦連続で減少しており、万全の状態ではなかったのだろう。オークス後はリフレッシュ休養し、順調に調整が進んでいるようだ。
デゼルの血統を見てみよう。父は大種牡馬ディープインパクトで、母アヴニールセルタンは2014年のGⅠ仏1000ギニー、GⅠ仏オークスをデビューから無傷の5連勝で勝ったフランスの牝馬2冠馬という世界的な良血馬。
その全姉ヴィルシーナは、牝馬3冠のレースすべてでジェンティルドンナに続く2着だった。しかし秋華賞はハナ差と、もっともジェンティルドンナと差がなかったレースであり、この血統は秋華賞向きと言えそうだ。今回は秋華賞とはコースが違うとはいえ、どのような成長を見せてくれるか見届けたい。
もう1頭はフアナ(牝3歳/栗東・角居勝彦厩舎)を挙げたい。春は「オークストライアル」のGⅡフローラS(東京/芝2000m)で3着に敗れ、惜しくもオークス出走はならなかった。
そして前走、8月15日の小倉・3歳以上1勝クラス(芝1800m)に出走。馬体重はプラス28kgの444kgと大幅な成長を見せ、レースでは2着とクビ差ながら、1分44秒9という好タイムで走破している。
血統は、叔父にGⅡ青葉賞のアドミラブル、叔母にGⅢターコイズS2着の現役馬エスポワールがいて、遡るとGⅠ日本ダービーのフサイチコンコルド、GⅠ皐月賞のアンライバルド、ヴィクトリーなどがいる名門牝系だ。ルーラーシップ×ディープインパクトの配合は、菊花賞馬キセキと同じで、同馬も3歳秋に素質を開花させている。フアナは前走からの上積みも期待できそうで、どんな走りをするか注目だ。
以上、今年のローズSは夏を越しての成長が見込める良血馬、デゼルとフアナの2頭に期待する。