【大学駅伝】早稲田大ルーキーズが熱い! 増子陽太、新妻遼己、...の画像はこちら >>

前編:2026年度箱根駅伝シード校+13分台ルーキーズ最新報告(全3回)

真新しいユニフォームに身を包み、早速その実力を見せつけている各校の有力1年生ランナーたち。ここでは春のトラックシーズン、そして学生三大駅伝での活躍が期待される箱根駅伝シード校を中心に注目のルーキーを紹介。

まずは今季も即戦力候補の多い早稲田大から。

【増子が大学デビュー戦でU20日本新】

 今季の大学1年生世代はハイレベルな選手がそろう。高校時代に5000mでトップランナーの証とされる13分台をマークした選手は30人を超える。そして、その多くが関東の大学に進んだ。

 さっそく存在感を示しているのが早稲田大のルーキーズだ。増子陽太(福島・学法石川高)、新妻遼己(兵庫・西脇工業高)、本田桜二郎(鳥取・鳥取城北高)の3人は、即戦力として活躍を見せている。

 この3人がしのぎを削った2025年末の全国高校駅伝の1区は大きな話題となったが、日本人歴代最高記録を打ち立てて区間賞を獲得したのが増子だった。新妻は、5000mでインターハイ、国スポ(国民スポーツ大会)と2連勝。本田は今年3月にロード1マイルで4分00秒16の日本記録を打ち立て、昨年のU20日本選手権で3000mと5000mの二冠を果たしている。いずれも、この世代のトップを走ってきた選手たちだ。

 まず4月5日の東京六大学対校陸上では、新妻と本田が対校選手として"臙脂"デビューを果たした。

 1500mに出場した本田は、800m過ぎから独走して優勝を飾った。3分40秒25のフィニッシュタイムは自己ベスト。

従来の大会記録を3秒以上更新しただけでなく、今年の日本選手権の参加標準記録(3分40秒50)をも突破した。狙っていた3分40秒切りには届かなかったものの、「勝ちきるレースができたのはよかったです。臙脂のユニフォームの伝統に恥じない走りができたと思います」と振り返るように、上々のデビュー戦となった。

 一方の新妻は5000mに出場。オープン参加の先輩ふたり、工藤慎作(4年)、山口竣平(3年)とともに積極的に上位でレースを進めると、4000mからは独走態勢を築き、13分54秒91で優勝した。それでも、レース後に真っ先に口をついて出たのは反省の弁だった。「ラスト1kmをもっと上げたかったですけど、シーズン初めでキレがなかった。ラスト30mで足が止まってしまった」と振り返った。

 その6日後、4月11日に行なわれた金栗記念選抜陸上では、増子が初めて臙脂のユニフォーム姿を披露した。

 序盤は、この春に早大を卒業した山口智規(SGホールディングス)のすぐ後ろにつけて、先輩の鈴木琉胤(2年)とともに上位でレースを進めた。中盤以降は山口に引き離され、最後は鈴木にも先着を許したが、増子はU20日本記録となる13分22秒87を打ち立てた(従来の記録は2022年に佐藤圭汰が樹立した13分22秒91)。

「もっと出せる自信はありましたが、通過点として(U20日本新記録を)出せてよかったです。

自信になりましたし、これからまだまだ試合があるので、自分のU20の記録をどこまで伸ばせるか、頑張っていきたいです」

 大学初戦での快挙に自信を深め、さらなる記録更新を誓っていた。

 さらには、塩尻和也(富士通)、三浦龍司(SUBARU)、吉居大和(トヨタ自動車)といった日本のトップランナーが数多く出場するなか、山口、鈴木に次いで日本人3位(全体9位)に食い込んだ点も見逃せない。まだ10代ながら、その力がシニア選手相手でも通用することを示した。

【実力者の先輩とも切磋琢磨できる環境で】

【大学駅伝】早稲田大ルーキーズが熱い! 増子陽太、新妻遼己、本田桜二郎の即戦力トリオに加え、一般入試組も粒ぞろい
新妻(左)、本田も順調に早大での競技生活をスタートさせている photo by Satoshi Wada

 金栗記念には新妻と本田も出場しており、1500mに出場した新妻は3分45秒52で全体22位、本田は5000mに出場し13分56秒16で全体46位だった。

 並のルーキーならば、記録的には上々と言っていい。だが、ふたりとも、狙っていた日本選手権の参加標準記録に届かず、レース後は悔しそうな表情を浮かべていた。

 ともあれ、環境が変わってなかなか力を発揮できないルーキーも多いなか、3選手は順調に新シーズンを迎えたと言っていいだろう。

 東京六大学対校陸上のレース後に、本田は目を輝かせてこんなことを話していた。

「同期や先輩方とポイント練習で質の高い練習ができています。毎日充実していて、やっぱり早稲田を選んでよかったなと思っています」

 実際に「ときどきですけど、タイミングが合う時には、スピード系の練習などをみんな一緒にやっています」と花田勝彦駅伝監督が言うように、OBの山口(オーストラリア・メルボルンのクラブでトレーニングをしつつ、日本滞在時は早大の所沢キャンパスを拠点とする)、鈴木、さらには工藤といった実績ある先輩と一緒にトレーニングする機会もあると言う。こんな環境で競技に取り組めることは、彼らが早稲田を志した理由でもあり、入寮してから刺激的な毎日を送っている。

「強い仲間たちもいるので、三大駅伝(出雲、全日本、箱根)で優勝すること、オリンピックや世界陸上といった国際大会でメダルを取る選手になるのが4年間の目標です」(新妻)

「箱根駅伝優勝や5000m 12分台、10000m26分台という目標を達成するために早稲田大に入学しました。今は日本人が(世界の)トラックで戦えないっていう風潮があると思うんですけど、自分がほかの選手を刺激するっていう意味でも12分台を出して、日本人でも世界で勝てるという環境にしていきたいと思っています」(増子)

「ゆくゆくはトラックで世界を目指していきたいと思っているので、そのための地力づくりを早稲田大学の4年間でできたらいい。

箱根駅伝は4年間しかできない経験なので、1回だけとは言わず4連覇したいと思っています」(本田)

 それぞれが高い志を胸に抱いており、これから幾度も大きなインパクトを残すに違いない。5月4日のゴールデンゲームズinのべおかには、3人がそろって5000mに出場予定で、これも注目を集めそうだ。

【トリオの背中を追う上杉と粒揃いの精鋭たち】

 この3人の活躍があまりにも強烈だが、もうひとり、スポーツ推薦で入学した上杉敦史も力のある選手だ。先輩の工藤、鈴木と同じ八千代松陰高(千葉)出身で、駅伝では堅実な走りが光る。

「高校では自分が引っ張る立場でしたが、高校時代にまったく勝負にならなかった人たちが同期となり、自分の未熟さに気づかされることが多く、自分の弱いところを補っていきたい。そういった意味でも、とても刺激になっていますし、いい目標になると感じています」

 同期に刺激を受けながら、研鑽を積む日々を送っている。

 上杉は、東京六大学陸上で対校選手として5000mに出場し、他校の主力も出場するなか4位と健闘した。序盤は後方に位置取っていたにもかかわらず、気がつけば上位。終盤にかけてじわじわと順位を上げていくレース運びも光った。

「僕は長い距離が得意」と言い、理想とする選手にはハーフマラソンの日本記録を持つOBの太田智樹(トヨタ自動車)を挙げる。その太田のように、いぶし銀のランナーに成長しそうな予感がある。

 また、一般入試組も粒ぞろいだ。

滋賀県高校駅伝1区区間賞の若狭奏汰(草津東高)、3000m障害でU20日本選手権7位の実績をもつ高舘友杜(千葉・船橋東高)、同じく3000m障害でインターハイ出場実績がある鈴木勇飛(静岡・静岡高)、5000m14分22秒16の和田寛(埼玉・西武文理高)といった選手が入学した。彼らのなかからも4年間かけてじっくり力を蓄えて、主力に成長していく選手が出てくるだろう。

 早大は少数精鋭のチームゆえ、これまではなかなか足並みがそろわないことも多かったが、強力なルーキーが加わり、早くも選手層に厚みが増した印象がある。箱根駅伝の総合優勝は2011年から遠ざかっているが、頂点に立つ好機を迎えつつある。

中編につづく:「創価大は5000m13分台が6名! 中大、駒大、青学大も実力派ランナーが加入」

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