高木豊のルーキー野手分析 セ・リーグ編
開幕からルーキーの活躍が目立つ今年のプロ野球。そのなかでセ・リーグ各球団で注目する野手について、現在は野球解説者やYouTubeでも活動する高木豊氏に分析してもらった。
※選手の成績は、取材時の5月25日時点
【阪神の立石のバッティングは気になる点も】
――阪神の立石正広選手(ドラフト1位)はケガで出遅れていましたが、一軍昇格以降はプロ初出場から5試合連続安打と、期待通りのバッティングを披露。出場試合数は少ないですが、打率.409、1本塁打、5打点、OPS 1.000と出色の活躍を見せています。
高木豊(以下:高木) いきなりケガとの戦いがありましたからね。自分も周囲も少しテンションが落ちてしまった部分があったと思いますが、打席でのどっしり感というか、雰囲気がありますよね。非常に落ち着いていますし、いろいろな経験をしてきたんだなと感じます。
――バッティングの印象はいかがですか?
高木 バットのヘッドが落ちすぎる傾向があります。縦振りを意識しているんだと思いますが、「あのスイングで長打が出るのかな?」と感じています。一時期は森下翔太も、極端ではないにしろ縦振りの傾向がありましたが、あまり結果が出ませんでした。
それでも結果を残せれば直す必要はないのでしょうが、僕はどうしてもヘッドの位置が気になりますし、直したほうがいいと思ってしまうんです。ただ、期待されていた第1号が早い時期に出ましたし、ひとまずは今のままでいいかもしれませんけどね。
――同じく阪神の岡城快生選手(同3位)はどう見ていますか? 一軍では11試合に出場して打率.208、0本塁打、1打点、OPS.532の成績です。
高木 実戦向きですね。立石のような打席でのどっしり感はないですが、試合になればハマるというか、置かれた立場で最低限の仕事をしていくようなタイプに見えます。
【DeNAのルーキーたちは「まとまりすぎている」】
――続いて、DeNAの小田康一郎選手(同1位)は一軍での出場がないですが、オープン戦やファームでのプレーをどう見ていますか? ファームでは37試合で打率.214、0本塁打、14打点、OPS.581となっています。
高木 バットコントロールは非凡なものを感じます。そういった部分を評価しての1位だと思いますが、まだまだひ弱な印象ですね。DeNAでは、宮下朝陽(同3位)と成瀬脩人(同5位)が一軍の試合に少し出ていますが、ふたりともまとまりすぎているような気がします。ルーキーではないですが、例えば巨人3年目の平山功太には「自分の野球をするんだ」といった意思を感じるのですが、そういうものがなかなか見えてきません。
――まとまっている、というのはいい部分もあるでしょうか?
高木 もちろん悪いことではないですが......。彼らに限ったことではなく、「勝つ」とか「失敗したくない」とか、幼い頃からそういったことに重きを置いて、野球を教えられてきた子たちが多いですよね。そつなくこなして組織のなかでうまく機能することは大事なことですが、個々が本来持っている素質があると思うんです。宮下にしろ、成瀬にしろ、早い段階で自分がなりたい選手像を描いて取り組んでいってほしいです。
理想の選手像を描くという話は、プロになるすべての選手に対して言えることですね。バットコントロールに自信があるなら「アベレージヒッターとして勝負していきたい」とか、「打率.240くらいでいいから、本塁打を30本打つんだ」とか、意識を強く持たないとすぐに置いていかれる世界ですからね。
【巨人、中日のルーキーの印象は?】
――巨人のルーキーの皆川岳飛選手(同4位)は、一軍での8試合で打率.125、0本塁打、0打点、OPS.347。小濱佑斗選手(5位)は一軍での7試合で打率.238、0本塁打、5打点、OPS.590。それぞれどう見ていますか?
高木 皆川は選球眼がすごくいいですし、バットコントロールに非凡なものがあります。このような選手は実戦で慣れさせていくことが重要ですが、今の巨人はそういった時間を与えてくれません。まずはファームで経験を積んでいくことですね。
小濱は脚力があって、ショートでの守備範囲もある程度広いですし、身体能力の高さを感じます。打つことも大事ですが、最近は守れる選手が少ない。守備がしっかりしている選手のほうがベンチには入れますし、必然的に試合に出る回数も増えていきます。彼の守備にはセンスを感じるので、チャンスを得た時にいかに打てるかですね。
――中日では、花田旭選手(同6位)が一軍での10試合で打率.263、1本塁打、5打点、OPS.670という成績です。
高木 スタメンで5番を任される試合もありましたし、期待されていますよね。1本ホームランも出ましたが、スケールの大きさを感じさせてくれる選手です。ケースによっては右打ちなども求められると思いますが、彼の武器はパンチ力だと思うんです。
【プロの壁に苦しむ選手も】
――広島の平川蓮選手(同1位)は、一軍での21試合で打率.187、0本塁打、10打点、OPS.464。開幕スタメンで注目を集めましたが、苦しんでいる印象です。
高木 プロの壁に当たっているところでしょうね。ただ、走攻守で身体能力の高さやセンスを感じさせるプレーを見せてくれますし、僕は開幕前と同じように高く評価しています。
気になるのは起用法で、試合に出たり出なかったりという使い方だと、伸びるものも伸びません。人間なので調子のいい時もあれば悪い時もある。壁に当たった時にいかに周りが我慢できるかで成長速度は変わると思うのですが、首脳陣が苦しみから逃がしてしまうことが多いような気がします。
――同じく広島の勝田成選手(同3位)はどう見ていますか? 一軍での30試合で打率.171、0本塁打、1打点、OPS.427という成績です。
高木 勝田に関しては、今後に出場機会を得られるのかどうかですね。内野には小園海斗や矢野雅哉、佐々木泰らがいるうえ、ベテランの菊池涼介は2000本安打を目指すということもあって使われると思うんです。そう考えるとあまり出番はないでしょうし、「少ない出場機会で結果を出せ」といっても難しい。
――バッティングはいかがですか?
高木 慣れれば、そこそこやると思います。今はアマチュアのピッチャーも球が速いですし、プロのピッチャーの変化球の精度に戸惑うことはあるにしても、速さに関してはそこまでギャップはないはず。打率を残せるようなバッターを目指してほしいです。
――ヤクルトは石井巧選手(同6位)が5試合で打率.071、0本塁打、1打点、OPS.330。出場試合は少ないですが、どんな印象ですか?
高木 僕からすると中央大学の後輩で、石井一成(西武)の弟でもあるので注目していますが、社会人野球(NTT東日本)を経験しているだけあってプレーが落ち着いています。あと、中央大ではけっこう豪快な野球をやってきていると思うので、そういった部分が出てくるといいですね。ヤクルトは選手を縛りつけることがなく、自由な雰囲気のチームカラーで能力を発揮しやすい土壌だと思うので、期待しています。
(パ・リーグ編:西武のドラフト1位は「獲るだけの価値がある」>>)
【プロフィール】
高木豊(たかぎ・ゆたか)
1958年10月22日、山口県生まれ。1980年のドラフト3位で中央大学から横浜大洋ホエールズ(現・横浜DeNAベイスターズ)に入団。二塁手のスタメンを勝ち取り、加藤博一、屋鋪要とともに「スーパーカートリオ」として活躍。ベストナイン3回、盗塁王1回など、数々のタイトルを受賞した。










![Yuzuru Hanyu ICE STORY 2023 “GIFT” at Tokyo Dome [Blu-ray]](https://m.media-amazon.com/images/I/41Bs8QS7x7L._SL500_.jpg)
![熱闘甲子園2024 ~第106回大会 48試合完全収録~ [DVD]](https://m.media-amazon.com/images/I/31qkTQrSuML._SL500_.jpg)