高木豊のルーキー野手分析 パ・リーグ

セ・リーグ編:驚愕デビューの阪神・立石正広など高く評価した選手は?>>)

 高木豊氏が語るルーキー野手分析。セ・リーグ編に続き、パ・リーグの注目選手について聞いた。

※選手の成績は、取材時の5月25日時点

【プロ野球】高木豊が注目するパ・リーグのルーキー野手 西武の...の画像はこちら >>

【長打力に期待のルーキー】

――ソフトバンクの髙橋隆慶選手(ドラフト5位)は、ファームでの40試合で打率.262、1本塁打、19打点、OPS.671という成績です。

高木豊(以下:高木) まだ一軍での出場はないですが、バッティングは思いきりがいいですし、スケールの大きさを感じる選手です。オープン戦でサヨナラホームランを打ちましたが、そういう"離れ業"もできますし、小さくまとまらないでほしいですね。

 ソフトバンクは選手層が厚いので、一軍に上がるために結果を追い求めてしまうと思いますが、そこに執着しすぎるとバッティングが小さくなってしまいます。いいパンチ力を持っていますし、形にハマらずに長打力を磨いていってほしいですね。

――5月22日、一軍に初昇格した日本ハムのエドポロ ケイン選手はどう見ていますか? ファームでは32試合に出場し、打率.243、9本塁打、18打点、OPS.911。長打力をアピールしていました。

高木 まだまだ粗削りですが、いい体をしていますしパワーがあります。ただ、一軍に呼ばれてからソフトバンクとの3連戦では、対戦するピッチャーのレベルや雰囲気が全然違うことを感じたでしょうし(7打席0安打)、慣れが必要でしょう。

 同じ外野手の万波中正は今季、ホームランは打つ(11本)のですが打率が悪い(.219)。その点もふまえ、エドポロ ケインには長打力を発揮してもらうことは前提で、加えて.250くらい打ってくれるといいですね。粗削りなのはわかっていますし、空振りを恐れずにバットを振っていってほしいです。

――同じ日本ハムの大塚瑠晏選手(同3位)は19試合で打率.200、1本塁打、2打点、OPS.685。

ここまでの印象はいかがですか?

高木 小柄ですが(169cm、69kg)、攻守にセンスを感じます。脚力もある程度はありますが、日本ハムには抜群の俊足を誇る五十幡亮汰や矢澤宏太がいるのでまったく目立ちません。体のサイズを考えれば長打は難しいので、常に首位打者を狙えるくらいの選手を目指してほしいです。

 日本ハムには、同じサイズ感の内野手で水野達稀(171cm、80kg)がいますが、水野のパンチ力には及びません。まずは内野の間を抜ける打球の速さを追求していってほしいです。日本ハムはいろいろな選手を起用するので、安定的に試合に出てリズムをつかむのは難しいかもしれませんが、レギュラーを目指して駆け上がっていってほしいですね。

【西武の小島は「上出来」】

――楽天の繁永晟選手(同3位)は一軍では5試合に出場しましたが、まだ出塁ができていません(9打数0安打)。

高木 中央大学の後輩なので注目していますが、ちょっと苦しんでいますね。どちらかといえば守備の人だったのですが、大学時代に打てるようになってきたんです。

 楽天の内野はある程度出る選手が決まってきていますし、小深田大翔ですら控えにまわっている状況ですから競争は厳しい。ただ、右打ちなので左ピッチャーの時に結果を残せれば、自ずとチャンスは増えていくはずです。

――西武の小島大河選手(同1位)はキャッチャーという重役を担いながら29試合で打率.268、2本塁打、5打点、OPS.636と、定評のある打撃でも結果を残しています。

高木 バットコントロールがいいですし、バットの軌道が素直です。流行に左右されず、自分のスタイルを貫ける選手なんじゃないですかね。それと、自分も含め、昭和の野球選手は彼のようなバッティングの形が好きだと思いますよ。いわゆる、レベルに振っていくシンプルな形です。ホームランも2本打っていますし、プロのスピードや変化にもある程度対応できている。ドラフト1位で獲るだけの価値がある選手だとあらためて思いました。

 なおかつ、キャッチャーという負担が大きいポジションであることを考えれば、現段階では上出来ですよ。古賀悠斗と先発マスクを分け合いながら、"扇の要"として存在感を示しています。髙橋光成とバッテリーを組んだ時、パスボールなどであたふたしていた部分などはまだまだ勉強が必要ですが、攻守で及第点の働きをしています。

―― 一方、秋山俊選手(同3位)はいかがですか? 一軍では5試合で打率.143、0本塁打、0打点、OPS.286。ファームでは32試合で打率.277、0本塁打、8打点、OPS.647という成績です。

高木 一軍で成績を残すためには、もう少し時間がかかりそうです。

中京大の秋山と比べて、小島の場合は東京六大学でいいピッチャーと対戦してきているじゃないですか。そこの環境の差はあると思うんです。ボールに対する反応やとらえ方など、何につけても少し遅れがあるような感じがします。まずはファームで経験を積んで、慣れていくことが必要ですね。

――まだ一軍での出場がない選手を含め、ほかに気になるパ・リーグのルーキーはいますか?

高木 ファームでのバッティングを見たのですが、ロッテの櫻井ユウヤ(同4位)は将来が楽しみなスラッガー候補ですね(ファームの46試合で打率.253、1本塁打、20打点、OPS.608)。高卒でまだまだ粗削りですが、パワーはもちろん、打球の角度がいいですし、打席での雰囲気があるんです。これは、練習して身につけられるものではありません。

 山口航輝は守備に不安がありますし、なかなかシーズンを通して働けていません。安田尚憲に関しては、今季は一度も一軍に上がっていない。中軸と期待されていた選手が育っていませんし、内野手でレギュラーを張れるようなパワーヒッターが出てきていないので、彼が育ってくれるといいですね。本当に寺地隆成をこのままサードにするのか、という問題もありますし、寺地をファーストに回して櫻井をサードという構想も考えられます。いずれにせよ、順調に育てばすごく面白い選手だと思います。

【プロフィール】

高木豊(たかぎ・ゆたか)

1958年10月22日、山口県生まれ。1980年のドラフト3位で中央大学から横浜大洋ホエールズ(現・横浜DeNAベイスターズ)に入団。二塁手のスタメンを勝ち取り、加藤博一、屋鋪要とともに「スーパーカートリオ」として活躍。ベストナイン3回、盗塁王1回など、数々のタイトルを受賞した。通算打率.297、1716安打、321盗塁といった記録を残して1994年に現役を引退。2004年にはアテネ五輪に臨む日本代表の守備・走塁コーチ、DeNAのコーチを2012年から2年務めるなど指導者としても活躍。そのほか、野球解説やタレントなど幅広く活動し、2018年に開設したYouTubeチャンネルも人気を博している。

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