この記事をまとめると
■BYDは中国のBEVメーカー



■フランス市場に新規参入することを発表した



■日本のメーカーと比べて積極的な動きを見せている



大衆向けのBEVで成功か

中国BEV(バッテリー電気自動車)メーカー大手、比亜迪(BYD)汽車がフランス市場に新規参入することを発表した。まずは5車種を市場投入するとのことである。EU(欧州連合)は当初、2035年よりBEVなどZEV(ゼロエミッションビークル)以外の販売を禁止するとするまでZEVの普及に前のめりであった(いまは条件付きで2035年以降も継続してICE[内燃機関]車が販売継続となっている)。



そんな欧州市場の動向ゆえか、BYDはフランスだけではなく、ドイツやベルギーなどすでに欧州14か国へ市場参入しているとのこと。ZEV普及に前のめりに見える欧州、日本市場でも欧州ブランドであるメルセデスベンツ、BMWアウディなどドイツメーカーを中心にBEVの積極的な投入を行っている。しかし注意深くみると、BEVラインアップの充実している欧州ブランドはいずれもプレミアムブランドと呼ばれるハイクラスなモデルをラインアップするメーカーという傾向にある。ICE車の創成期には“貴族のおもちゃ”的な側面でも普及が進んだとされる欧州なので、歴史は繰り返すということもいえるが、BYDは欧州ですら手薄に見える、わかりやすくいえば大衆BEVクラスに打って出たとも見ることができるだろう。



中国のBYDがフランス市場に新規参入! 日本メーカーの「腰の...の画像はこちら >>



フランスのテレビニュースでBYDを取り上げたリポートを行っていた。“人権上問題のある国のブランド”などと、クルマ自体の前に中国ブランドということに抵抗を示す人もいたが、実際にオーナーになった人は、オプションが少なく買いやすいといった、当然の話となるが、好意的な意見も報道していた。



欧州でも積極的な動きを見せるBYD

地元フランスの自動車業界ではすでにBYDの動きを警戒しているとも伝えていたのだが、ZEVなので対ICE車のように税金の課税割り増しなどの対抗措置が取りづらいとし、しばらくは中国からの完成車輸入となるようなので、輸送船は二酸化炭素を排出するため、それに課税しようという、ややハチャメチャな話もでているようだ。ただこの話が実現化されれば、将来的には日本車もとばっちりを受けかねない話で他人事ともいえない。



しかしBYDはすでにフランス国内での現地生産を模索しているとも伝えていた。このあたりはさすが先手を打つことには余念がない、中国メーカーといえるだろう。



東南アジアでもすでに、大衆車レベルのBEVに関しては中国メーカーがその普及で主導権をにぎろうとしている。タイではMG(上海汽車)、GWM(長城汽車)、BYD(比亜迪汽車)、NETA(哪叱汽車)がすでに市場参入しており、さらに長安汽車が参入予定となっている。

当然ながら価格主導権も握られることになるだろう。これから世界的に反転攻勢に出るとされる日系BEVだが、その多くは各市場で中国ブランドのBEVとかち合うことになるが、価格面で果たして近づくことができるのか不安を覚えるところである。ICEでは世界的な信頼も高い日本車だが、BEVでは本格市場参入ではまさに新参者となるハンデを跳ねのけるのはなかなか難しいように思える。



中国のBYDがフランス市場に新規参入! 日本メーカーの「腰の重さ」に感じる不安
BYD ATTO3の走り



日本国内でも街なかで結構BYDのATTO3(アット3)を見かけるようになった。気が付けばBYDは欧州市場でもかなり積極的に展開している様子。



前向きに見れば、“鳴くまで待とうホトトギス”状態の日系ブランド。

でも少々待ちすぎているようにも見え不安も見えてきている。BYDが発売後数カ月であっても、改良点が見つかれば改良を実行するというほどのフットワークの軽さを自負している。対して日系メーカーは腰の重さが目立っている。いつ日系メーカーが反転攻勢を仕掛けるのか、いまはただその日がくるのを信じて待つことしかできないようである。