この記事をまとめると
■クルマには数多くの専門用語が使われている



■同じ機能でメーカーによって呼び名が異なる場合もある



■英単語で構成された専門用語を解説する



クルマにはあらゆる英単語が使われている

ここ数年の感覚で、「リテラシー」という言葉がいろんなメディアで使われるようになった印象があります。「リテラシー」というのは「識字率」という意味だそうで、要はその言語(や世界観など)の用法を理解しているかどうかを表す言葉だそうです。



この「リテラシー」は専門分野ほどその習得が試されます。

たとえばこの「WEB CARTOP」の数多ある記事のなかにも、より専門的な内容を紹介している記事の場合は専門用語を使わないとスムースに解説できない、というものも少なくないでしょう。



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そのなかでもやっかいなのが、「ABS」や「EGR」などのアルファベット3文字に略されている言葉です。



「トラクションコントロール」と単語そのままなら、分解してなんとなく意味は察せられますが、アルファベットになっていると、まずその該当する単語を探すことから始めないとならないので、見当を付けることも難しいことも多く、結局その意味を知識として持っていないと文章を読み解くことができないというのが実情ではないでしょうか。



ということで、ここではその自動車関係のアルファベット3文字の単語について、よく登場するものに注目して解説していきたいと思います。



■エコ関係の言葉

昨今のクルマづくりは環境への配慮が最優先という傾向が感じられます。そのため、環境対応関係の技術は日進月歩で、いろんな技術が開発されているのに伴って、その名称も多く生み出されています。



カンタンなものから専門的なものまでかいつまんで説明してみましょう。
○Eco[エコ]
いまではエコエコと当たり前のように発していますが、もしかしたら意味を知らないで発している人はいないでしょうか? Ecoは「Ecology」の略で、本来は生態学という意味です。いまの用法では「環境に配慮すること」という感じでしょうか。



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エコボタンのイメージ

○EGR[イージーアール]
「Exhaust Gas Recirculation」の略で、「排気再循環」という意味です。



自動車の排気ガスは、そのまま排出すると環境に悪影響を及ぼす成分を多く含んでいます。そのため、触媒装置などを始めとする有害成分の排出を抑える仕組みが不可欠です。



EGRというのは、ザックリいうと排気の一部を吸気通路に送り込む機構です。

排気を吸気に混ぜると不純物が多くなって不完全燃焼を起こしてしまいそうですが、実際は酸素濃度の関係で燃焼温度が抑えられる効果があるそうです。



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ERGシステムの解説



燃焼温度が下げられれば、排気ガス中の窒素酸化物(NOx)の低減や部分負荷時の燃費抑制に効果があり、環境への貢献ができるとのこと。重量物の輸送が目的でエンジンの負荷が大きく、燃焼温度の高いトラックなどのディーゼルエンジンでは、とくにその効果が高いようです。



■車体制御系の言葉

○ECU[イーシーユー]
「Electronic Control Unit」の略で、エンジンを始め、灯火類やキーレスエントリーシステム、防犯システムなど車両の各装置を統合制御するコンピューターのこと。



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ECU



以前は「Engine Control Unit」として、エンジンの燃焼噴射や点火時期、冷却システム、環境対応装置などを制御するユニットを指す時代もありました。そのころは「ECM(Engine Control Module)」という名称もありました。
○ABS[エービーエス]
「Anti-lock Brake System」の略で、ブレーキを踏みすぎてタイヤがロックして滑ってハンドルが利かなくなるのを防ぐ機構。



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ABS警告



いまでは4輪を独立制御する「4チャンネルABS」も登場。スタビリティコントロールに組み入れ、車体の制御をおこなうひとつの要素にもなっています。
○4WS[フォーダブルエス]
「4 Wheel Steering」の略で、4輪躁舵という意味。



通常は前の2輪のみが躁舵輪として作動しますが、後輪も少し動かすことで、小まわりを利かせたり、高速域での安定性を高めたりする機構です。



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4WSのイメージ



1980年代終盤にホンダ・プレリュードに搭載されましたが、不自然さが目立つなど、うるさ方の批評に遭い販売は振るわず消えたかに思えました。しかし、のちに日産の「HICAS」で脚光を浴び、最近ではルノーのメガーヌR.S.や、ポルシェの911Rなどにも搭載され、再々注目されています。


○TRC[ティーアールシー]
「Traction Control System」の略で、「TCS」や「トラクションコントロール」ともいいます。発進時や加速時などのタイヤのスリップが発生する状況のときに空転を検知して、駆動を抑えたりブレーキをかけたりして推進力の確保や車体の安定性に貢献する機能のことです。
○VSC[ブイエスシー]
「Vehicle Stability Control」の略で、主にコーナーリング時の車体の動きを安定させる機構の総称です。



TRCとほぼ同じ機構で、エンジン回転やLSDの制御で駆動力を抑えたり、ブレーキを作動させてタイヤのグリップを調整したりして車体の挙動をコントロールするシステム。



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VSCボタンのイメージ



VSCは主にトヨタが採用。他に「ESC(Electronic Stability Control)」や、「VDC(Vehicle Dynamics Control)」、「DSC(Dynamic Stability Control)」、「AYC(Active Yaw Control)」など、各メーカーごとに方式が異なるため、呼び方も異なるので注意されたし。



聞いたことあっても何の略か不明な場合も

■車両関係の言葉

○AWD[エーダブルディー]
「All Wheel Drive」の略で、直訳では「全輪駆動」ですが、乗用車では4輪駆動の意味です。



その昔は「4×4(フォーバイフォー)」といわれた時期があり、そして「4WD」が一般的になりましたが、2000年代初頭ぐらいから国内ではスバルが「AWD」を用いるようになり、徐々にに切り替わっていったように感じます。



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AWDエンブレム



世界的には「AWD」が主流のようなので、国産メーカーもそちらに合わせる風潮になったということでしょうか。
○DCT[ディーシーティ]
「Dual Clutch Transmission」の略で、直訳ではふたつのクラッチをもつトランスミッションという意味です。



VWグループでは「DSG (Direkt Schalt Getriebe)」という名称を採用しています。実際はマニュアル方式のミッションを、ふたつのクラッチを使って自動で変速できるようにした機構のことです。



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VW ゴルフのシフトノブ



一般のA/Tミッションに比べ、トルクコンバーターを介さないので伝達効率に優れる点と、変速が素早くスムースに行えるのがメリットです。

発進も自動クラッチ操作でおこなわれるため、信号での停止や渋滞などで頻繁に発進動作が必要になる日本の道路事情には向いていないとの見解もあり、国産車にはあまり採用例が多くありません。
○TCU[ティーシーユー]
「Telematics Control Unit」の略で、車両と外部の通信を受け持つユニットのこと。いまではナビゲーションシステムに表示するための交通情報の受信だけでなく、逆に車両の稼働状態や機器の故障、または緊急連絡の送信などをおこなう機能が備わっています。その通信を受け持っているのがTCUです。
○PCS[ピーシーエス]
「Pre Crash safety」の略で、衝突被害軽減ブレーキシステムのことです。



ミリ波レーダーやカメラなどのセンサーで車両前方(及び周囲)の状況を検知して、衝突の危険性が高まった際に自動でブレーキを作動させるシステムです。



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自動ブレーキのイメージ



2021年以降の製造車には搭載が義務づけられました。スバルの「アイサイト」が有名ですが、今は各メーカーが自動運転を支援するシステムとして、PCSの機能を中心に据えて性能と機能を発展させています。
○DRL[ディアールエル]
「Daytime Running light(Lamp)」の略で、直訳では「昼間走行灯」。通称は「デイライト」。



日本国内では薄暗いときに点灯させるスモールランプがその用途に近いのですが、法規上は扱いが異なり、その名のとおりに陽が高い日中に前方の車両へ自車の識別性を高めるために点灯させるためのライトなので、スモールランプより照度が高い必要があります。



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デイライトのイメージ



欧州では昔から装備が義務づけられていて、BMWが丸いリング状のライトを採用し、「イカリング」と呼ばれて日本でも浸透しました。



いまは法改正が進んで欧州の基準が採り入れられたため、国産車にも採用例が増えています。



■そのほかの言葉

○ETC[イーティーシー]
「Electronic Toll Collection System」の略で、直訳は「電子料金収受システム」という意味の言葉です。
まあ、全国での利用率が90%を越えた状況でいまさらこの言葉の解説は不要かと思いますが、なんの略なのかを知らないという人もいるかと思い、紹介しました。



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ETC車載器



さて、いまのメディアでそこそこの使用頻度の言葉をピックアップして紹介しましたが、全部知っていたという人はどれくらいいたでしょうか?



これでもまだほんの一部に過ぎませんので、いずれ機会があれば第2弾もお送りしたいと思います。

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