ハスラーは女性寄り、タフトは男性寄りのキャラクターと言える

”遊べる軽!”という、軽クロスオーバーSUVの先駆けとなったスズキ・ハスラーの新型の売れ行きが絶好調だ。2020年3月の軽自動車販売ランキングでは、スーパーハイト系全盛の時代に、ホンダN-BOX、ダイハツ・タント、スズキ・スペーシア、ダイハツ・ムーブ、日産デイズに続く6位にランクイン。しかも、前年同月比178.6%の1万372台を登録しているのだ。



そんなハスラーのよきライバルとなるのが、2020年6月に発売が予定され、先行予約が開始されたダイハツ・タフトである。2020年の東京オートサロンでは、ダイハツとスズキは隣同士のブースで火花を散らしていたが!? タフトはまさにハスラーと同じクロスオーバーSUVというジャンルに位置づけられる新型車である。じつは、これまでにもダイハツにはハスラーを意識したモデルがあった。



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それはダイハツ・キャスト・アクティバだ。基準グレードのスタイルに対して最低地上高を高めたクロスオーバーモデルだったのだが、複数のモデルレンジをそろえたため、全体の印象がぼやけ、アクティバはハスラーのライバルにはなりえず、今ではアクティバは消滅。キャストはスタイルのみのラインアップになってしまった経緯がある。

つまり、キャストのハスラーに対するリベンジモデルが、タフトというわけだ。



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もちろん基本骨格は新型タントで初採用され、その後、超人気のコンパクトSUV、ダイハツ・ロッキー&トヨタ・ライズにも使われているDNGA(ダイハツ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)。ボディサイズはハスラーの全長3395mm×全幅1475mm×全高1680mmに対して、タフトは全長3395mm×全幅1475mmこそ軽自動車の規格で同一ながら、ショルダーラインを高め、ルーフを低めたチョップドルーフスタイルによって全高は1630mmと、ハスラーより50mm低いのが面白い。



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ハスラーはポップな内外装デザインや、ピンクさえあるカラフルな2トーンを含むボディカラーが象徴するように、どちらかと言えば女性寄りに近いキャラクター。



一方、タフトはシャープでワイルドな、あえてワイパーアーム全体が見えるようにし、メッキ類(ディーラーオプションのメッキパック)も多用した武骨なデザインが特徴的。つまり、ハスラーと比較すれば、より男性寄りのキャラクターと言えるかもしれない(ハスラーもリヤセクションがジムニー風に角ばり、カーキやブラックのボディカラーだとけっこうワイルドだが)。



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インテリアに関しては、オーバルでポップなデザインモチーフのハスラーに対して、タフトはスクエアなデザインで勝負。ブラック×オレンジのカラーリングは流行りなのだろうか、どちらにもある。シートアレンジ性は両車ともに後席を倒すことでフラットになり、当然、ハスラーがそうであるように、車中泊対応にもぬかりはないはずだ。ラゲッジルームまわりがワイパブルフロアなのも共通点だ。



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タフトはガラスルーフや先進安全機能なども搭載されている

では、ハスラーにないタフトの強みのひとつを探すと、たとえば前席頭上のガラスルーフの用意が挙げられる。現状、ハスラーにサンルーフ、ガラスルーフの装備はない。

タフトのガラスルーフは、晴れの日には車内の明るさ、解放感が増し、雨の日にはガラス越しに見える水滴がロマンチックな気分に浸らせてくれることだろう。



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先進安全運転支援機能については、東京オートサロンのダイハツブースに展示されていたタフトのコンセプトモデルの内装を見る限り、ステアリングにはACCのスイッチがあり、タントと同じであると仮定すれば、ターボモデル限定で全車速域対応のACCが備わるようだ。ハスラーもターボモデルにパドルシフトとともに全車速域対応のACCが装備される(両車、電子パーキングブレーキではなく足踏み式パーキングブレーキなので、渋滞時などでの停止保持機能はなし)。



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また、約10km/h以下での踏み間違い抑制機能に前後ともにブレーキ制御が付くのがタフト(タント基準の予想)。ハスラーの踏み間違いブレーキサポートは後退時のみとなる。



走行性能はどうか。

まだタフトには試乗していないので比較はできないが、タフトのDNGAの素性の良さは認めつつも、新型ハスラーのボディの構造接着剤の使用などによるボディ剛性の高さ、そしてトレッドの角を丸めたスペシャルタイヤなどがもたらすクラスを大きく超えた乗り心地の良さなどに、どこまで迫れるかが興味深いところ。



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何しろ、新型ハスラーの上質でフラット極まる乗り心地、段差などの乗り越えた時のショック、音、振動のなさは驚異的で、下手なコンパクトカー、小型車(輸入車含む)を凌ぐほどなのである。実際に東京~軽井沢を新型ハスラーで往復した経験があるのだが、関越道~上信越道の高速走行(ACC使用)、上信越道碓井軽井沢ICからプリンス通りに至る山道の上り坂を含む往路、復路ともに、ドライバー、乗員ともにストレスフリーの走りっぷりを見せつけてくれたのには、本当に驚かされたものだ。



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ちなみにタフトのコンセプトモデルには、オールシーズンタイヤが装着されていたが、聞くところによると、悪路走破性はそれほど重視していないとのこと。その点では、そもそも悪路や雪道に強い軽自動車を望む雪国のユーザーの要望によって初代の開発がスタートした、ポップに見えて悪路にもめっぽう強いハスラーとの方向性の違いになるかもしれない(あくまで予想)。新型ハスラーの4WDには、先代同様のグリップコントロール、ヒルディセントコントロールに加え、スノーモードまで備わっているのである。



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そうそう、価格レンジはタフトのほうがハスラーを意識してなのか、微妙に安めの設定になるかもしれない。なお、実際の両車の対決、タフトの魅力については、試乗後の続報を待っていただきたい。