これまでのCVTが持っていた退屈なイメージを払拭したものの……

いまや日本車における2ペダルトランスミッションの主役は「CVT(無段変速機)」となっている。シームレスな加速感や街乗りでのスムースさは市街地走行の気持ちよさにつながり、さらにエンジンのスイートスポットを常に使うことのできるポテンシャルなどから省燃費性能においてもアドバンテージがあるとされている変速機構だ。



そんなCVTの歴史が市販車に刻まれるようになったのは1980年代後半。

当初は非常に実験的、意欲的なトランスミッションということもあって、オーソドックスなモデルは採用しづらいイメージもあった。CVTは最新の尖ったメカニズムだったのだ。



それゆえに1990年代から2000年代にかけて“最新のCVT”を採用したモデルのなかには、それ一代限りで消滅してしまった名前も少なくない。ここでは、そんなCVTの歴史に残る4台をピックアップ、CVT黎明期を振り返ってみよう。



1)スバル・ヴィヴィオ

最初に紹介するのはSUBARUヴィヴィオ。VIVIOという車名はギリシャ数字で「660」と読めることに由来する、生粋の軽自動車だ。そのトランスミッションは先代モデルである「レックス」が軽自動車に初採用したCVTを引き継いだが、ヴィヴィオの後期モデルでは6速マニュアルモード付「スポーツシフト(SS)」を搭載した。1997年に市販されたSSは、シーケンシャル操作によりシフトアップ/ダウンが自在に行えるというもので、それまでCVTが持っていた退屈なイメージを払拭。



CVTの夜明けを担った意欲作! なのに1代限りで消滅した残念...の画像はこちら >>



4速ATさえ珍しかった軽自動車において、スーパーチャージド4気筒エンジンに6速マニュアルモードCVTを組み合わせるという発想は、現在の2ペダルスポーツにつながるものだったといえる。四輪独立懸架のサスペンションが生む切れのいい走りは魅力だったが、軽自動車市場がハイトワゴン中心にシフトしていくのに合わせて、フルモデルチェンジすることなく一代限りで終わってしまった。



2)ホンダ・ロゴ

さて、ホンダにおけるCVTの初期を支えたモデルとして忘れられないのが、コンパクトカーの「ロゴ」だ。「シティ」と「フィット」という人気コンパクトカーをつなぐ存在でありながら、いまや忘れられた存在といえるロゴも初期のCVTを「シビック」に続いて採用したモデルだった。



CVTの夜明けを担った意欲作! なのに1代限りで消滅した残念なクルマ4選



ステアリングのスイッチひとつで変速マップを変更してスポーティなドライビングが楽しめるというアイディアも盛り込まれるなど、市街地でのキビキビとした走りを狙ったモデルだったが、その地味なルックスが災いしたのか、こちらも一代限りで終了。とはいえ、ロゴでの経験がフィットを生んだと思えば、モデル系統樹的な意味での価値は再評価すべきだろう。



CVTの夜明けを担った意欲作! なのに1代限りで消滅した残念なクルマ4選



世界初採用の先進メカニズムを搭載したCVTも一代限りとなった

3)トヨタ・オーパ

トヨタは手堅いメーカーというイメージもあるが、ハイブリッドなど先進的なメカニズムにも積極的にチャレンジするという面も持つ。そんなトヨタのCVTは、1999年の東京モーターショーでお披露目、2000年より発売開始した「オーパ」の2リッター車で採用したのが最初だ。5ドアショートワゴンというべきユニークなシルエットで、コラムシフトの採用による前席左右ウォークスルーや後席のスライド機構などパッケージでも新しい提案を示した意欲作だった。



CVTの夜明けを担った意欲作! なのに1代限りで消滅した残念なクルマ4選



高名な自動車評論家である故・徳大寺有恒さんが、そのキャビンの使い勝手を絶賛したということでも知られているが、ユニークな外観が災いしたのか、販売自体はブレイクすることなく、2005年にひっそりとモデルライフを終わらせた。



CVTの夜明けを担った意欲作! なのに1代限りで消滅した残念なクルマ4選



4)ダイハツ・ソニカ

軽自動車マーケットがハイトワゴンからスーパーハイトワゴンに移行しつつあるタイミングで、ダイハツが高速ツアラーとして2006年にデビューさせたのが「ソニカ」。全高1470mmのローフォルムとターボエンジンの組み合わせは、まさしく高速道路に特化した軽自動車といった雰囲気だったが、世界初採用となった「インプットリダクション式3軸ギヤトレーン(CVT)」の採用も、そうしたツアラー性能を高めるメカニズムの一環として採用されたものだった。



CVTの夜明けを担った意欲作! なのに1代限りで消滅した残念なクルマ4選



具体的には、インプットリダクション構造によりベルト部の駆動損失とインプット軸等価イナーシャの大幅な低減をはかり、3軸式ギヤトレーンによって部品点数の削減やユニットの小型化を狙った革新的なCVTとして生み出された。最新の「タント」では高速域でギヤ駆動を併用するハイブリッド型CVTを独自に開発したダイハツだが、そうした高速性能を重視したCVTの萌芽が、ソニカのCVTにも感じられる。高速料金が安い軽自動車のツアラーといのはロングツーリング派には評価されたが、時代に合わなかったのか、ソニカのモデルライフ自体は3年で終わり、その名前も途絶えてしまった。



CVTの夜明けを担った意欲作! なのに1代限りで消滅した残念なクルマ4選

編集部おすすめ