この記事をまとめると
■フルモデルチェンジしたメルセデス・ベンツC200が日本上陸■Sクラス譲りのスタイルと高度な技術・贅沢な装備を満載
■スポーツカーが舌を巻くほどシャープな挙動と快適な乗り心地を両立
Sクラスと見紛いそうな意匠と堂々とした体躯
メルセデスのフラッグシップである新型Sクラスに試乗したのが今年の3月。新たな高級車の扉を開くべく、印象をガラリと変えて誕生。数々の先進技術が惜しげもなく投入されており、その技術力の高さと発想の大きな羽ばたきに感動した。
その強烈な印象がまだ輪郭を失っていないというのに、新型Cクラスがデビュー。先代に限っても約10万台を販売したという輸入車の雄は、メルセデスラインアップの中ではエントリーモデル的な存在であるにもかかわらず、ほとんどSクラスの相似形と思えるほど高度な技術と贅沢な装備を満載して誕生したのである。
とはいうものの、日本に導入されたのは「C200」のみ。ステーションワゴンやディーゼルエンジン搭載の「C220d」は、世界的な半導体不足とサプライヤーの工場閉鎖が響き、年末から来春にずれ込むとアナウンスされている。
まずはそのスタイル。全長は先代比で+80mmも長い。全幅は+10mmに留めているが、ホイールベースも25mmストレッチ。もはやCクラスはエントリーモデルではないのだ。
フロントの顔つきは新しいメルセデスの流儀に沿っており、例のAMGライン特有の「スターパターングリル」が印象的だ。
リヤまわりの、2ピースになったコンビネーションランプもSクラス譲り。そもそもフロントからリヤエンドに美しく流れるラインはSクラスの縮尺版のよう。
シャープな挙動と快適な乗り心地が同居する
インテリアにいたっても印象は同様で、中央の11.9インチ縦型タッチディスプレイに、操作機能のほとんどを格納するスタイルであり、正面のメーター類もすべてがデジタルだ。これからもSクラス譲りなのである。
車格が拡大したから、その恩恵は室内の余裕ある空間に分けられており、前後左右に広い。やはり同様に「Cクラスもここまで広々と成長したのね」との思いがよぎる。
MBUXには生体認証機能が組み込まれ、指紋や声により、ドライバーを識別する。カーナビゲーションのAR機能もSクラスからの技術。モニターに表示した正面カメラの映像に、右左折の指示を重ね合わせてくれる。モニターだけを見ながら走行できるのではないかと思うほど鮮明でもある。
ボディが拡大したものの、その体躯を持て余すことはない。というのも、これもSクラス譲りの機能である「リヤ・アクスルステアリング」が組み込まれており、4輪操舵となる。
走行フィールも軽快だ。リヤ・アクスルステアリングでステアリング応答性が驚くほどシャープに仕立てているにもかかわらず、さらにステアリングギヤ比を切り詰めている。半端なスポーツカーが舌を巻くほど、挙動はシャープである。サスペンション剛性はけしてユルユルと緩めてはないから、不快なロールもない。スポーティセダンと語っても許されそうなほど軽快なステップを踏むのだ。
もちろん乗り心地が悪いはずはない。このあたりの感覚までは電子制御サスのSクラス並……とは言い難いが、スポーティではありながら脳天を突き刺すような突き上げがあるはずもない。ロードノイズと、リヤ付近からのドラミングが気になるけれど、雰囲気がSクラスに近いことにより期待値の高さがそう感じさせているのかもしれない。
だが、搭載するエンジンは、直列4気筒1.5リッターとコンパクト。ダウンサイジングの流れを受けてターボで武装する。しかも、新たにトランスミッションの中に組み込むことになったISGと組み合わされる。モーター出力は15kW、200N・mのトルクでエンジンを加勢する。
マイルドハイブリッドに属し、モーターのみの走行は不可能だが、エンジン排気量を下げたこと、そしてターボ過給を高めたことでの低回転域の鈍さを補ってくれていた。アイドルストップからの発進などに一瞬の鈍さを感じるのは、あるいはEVに体が慣れてしまったからなのかもしれない。
とにもかくにも。新型C200は、Sクラスのエッセンスを色濃く取り入れることで車格感を増している。多くの点でライバルを凌駕しており、これからもまたしばらく、Cクラスの優位性を維持しそうである。

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