【ゼビオホールディングス】13年ぶりに海外M&A、オーストラリアでゴルフ用品市場に進出

ゼビオホールディングス(HD)は「スーパースポーツゼビオ」、「ヴィクトリア」、「ゴルフパートナー」などを展開するスポーツ用品販売大手。総店舗数は972店(海外43店を含む、2026年3月末)に達する。

その同社が5月半ば、実に13年ぶりとなる海外M&Aを発表した。手詰まり感が見え隠れする海外事業の再構築に向けた第一歩となるのか。

豪「ドラモンド・ゴルフ」を買収へ

ゼビオHDが買収を予定しているのはオーストラリアのゴルフ用品販売大手Drummond Golf(ドラモンド・ゴルフ)。主要な契約条件について大筋合意しており、2027年4月に全株式を取得し、完全子会社化する運びだ。取得金額は明らかにしていない。

ドラモンド・ゴルフは2002年設立で、直営店やフランチャイズ(FC)店を展開する。2025年6月期の売上高は100億円を超え、オーストラリア最大級のゴルフ用品小売チェーンという。

ゼビオHDは同国に事業基盤を築き、人口増を背景に成長が見込まれるアジア・太平洋地域でのビジネス拡大を目指す。

ゼビオHDは2013年にシンガポールのトランスビュー・ホールディングスからゴルフ用品販売事業を23億円余りで取得し、東南アジアでの事業に乗り出した。今回のオーストラリアでのドラモンド・ゴルフ買収は同社の海外M&Aとしてこの時以来、十数年ぶりとなる。

東南アでゴルフ用品販売店を展開中

東南アジアでは買収を足掛かりに現在、シンガポール12店、マレーシア18店、タイ13店の計43店舗を展開している。

ゼビオHDが海外に初進出したのは2012年。シンガポールでの事業買収の前年で、中国・上海と韓国ソウルに総合スポーツ用品販売の「スーパースポーツゼビオ」業態を出店したことに始まる。

最盛期には中国に5店、韓国に6店まで出店が拡大。

韓国にはゴルフ用品販売の店舗も出したが、コロナ禍の影響などで中国は2021年、韓国も2025年までに退店に踏み切った。

26年3月期、成長基盤構築の起点に

ゼビオHDの足元の業績はどうか。2026年3月期は売上高0.7%増の2523億円、営業利益66%減の23億7000万円。店舗改装費や人件費などの増加で営業利益が当初予想を下回った。

売上高の部門別構成は一般競技スポーツ・シューズ35%、ゴルフ32%、アウトドア・その他12%、スポーツアパレル11%、ウィンタースポーツ3%など。海外売上高比率は公表していない。

最終損益は構造改革費用が膨らみ、21億6400円の赤字(前期は9億7100万円の黒字)となった。国内外の不採算店舗・事業にかかる減損損失36億円、投資有価証券評価損7億円など合計で73億円超の特別損失を計上したのが響いた。

【ゼビオホールディングス】13年ぶりに海外M&A、オーストラリアでゴルフ用品市場に進出

2027年3月期は売上高4.9%増の2646億円、営業利益約3倍の70億円、最終利益75億円を見込む。事業構造改革に一通りめどをつけたのを受け、この1年を将来の成長基盤構築の起点と位置付ける。

具体的には、①国内スポーツ小売事業の販売力強化、業態進化、ビジネスモデルの転換②海外事業の基盤強化と領域拡大③バックオフィス業務の統合集約ーを重点施策に打ち出している。

こうした中、繰り出したのが今回のオーストラリアでの買収というわけだ。海外での事業エリアが東南アジアからオセアニアに広がることになる。

今後、ゴルフ用品以外のスポーツ用品の投入や店舗展開もあり得るのか。また目下、撤収状態となっている中国、韓国でのビジネス再開はあるのか。海外事業をめぐる次の一手にがぜん注目が集まりそうだ。

積極的なM&Aで「全国区」に

ゼビオHDは本社を福島県郡山市に構える。紳士服店として創業した後、スポーツ用品販売に転身した同社を“全国区”に押し上げたのは積極的なM&Aだった。

ハイライトは2000年代中盤から後半にかけて訪れた。その1つが2005年、首都圏を地盤とする同業大手のヴィクトリア(当時64店展開)の買収だ。

【ゼビオホールディングス】13年ぶりに海外M&A、オーストラリアでゴルフ用品市場に進出

ゼビオHDは当時、101店を運営していたが、千葉県を除く首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県)では郊外に3店を持つのみで、買収をテコに空白を一気に解消した。

もう一つがゴルフ用品販売大手のゴルフパートナーの買収。中古ゴルフクラブ市場をつくったことで知られる同社に対してTOB(株式公開買い付け)を実施し、子会社化した。

ゴルフパートナーを取り込むことで、ヴィクトリアが展開するゴルフ専門店「ヴィクトリアゴルフ」との両輪で、ゴルフ用品市場を深耕する体制を整えた。

2020年には、プロサッカーチーム「東京ヴェルディ」の運営会社を傘下に収めた。ゼビオは元々、大株主の立場にあったが、子会社化によって当時深刻な経営危機に瀕していた名門クラブに救いの手を差し伸べる形となった。


M&Aの機動性も高まるか

国内のスポーツ用品市場は健康志向の高まりやスポーツイベントの回復を背景に、ここへきて拡大傾向にある。帝国データバンクが2月に発表した2024年度「スポーツ用品小売」業界動向調査によると、市場規模は1兆5339億円と4年連続で増え、初めて1兆5000億円を超えた。

一方で市場の成熟化やネット販売の拡大による競争激化などで今後、事業環境は厳しさを増すと予想される。

実は、ゼビオHDは3~5年スパンの中期経営計画を持たない。コロナ禍を契機に取りやめ、固定化された数値目標にとらわれない、柔軟で実効性のある経営スタイルに改めた。M&A戦略の機動性も一層高まることになりそうだ。

【ゼビオホールディングス】13年ぶりに海外M&A、オーストラリアでゴルフ用品市場に進出

文:M&A Online

【M&A速報、コラムを日々配信!】
X(旧Twitter)で情報を受け取るにはここをクリック

【M&A Online 無料会員登録のご案内】
6000本超のM&A関連コラム読み放題!! M&Aデータベースが使い放題!!
登録無料、会員登録はここをクリック

編集部おすすめ