宝塚歌劇団月組の新トップコンビ月城かなと・海乃美月の大劇場お披露目公演が、1月1日、いよいよスタート。2022年の宝塚大劇場の幕開きを華々しく飾る。
大ヒット映画を舞台化、未来へのエネルギーを感じる作品に
2009年に宝塚歌劇団に入団。雪組での約8年間では、新人公演の主演を3度務めるなど、早くから注目を集めてきた月城。2017年の月組への組替えは、自身にとって「すごく転機だった」と話す。「誰も自分のことを知らない環境に飛び込む機会があまりない中で、雪組で培ったことを持って、またなりたい自分を作ることができる環境に飛び込ませていただけたことはすごくありがたかったです」。
そしてさらなる経験を積み、珠城りょうからトップスターのバトンを受け取った。「5年ほど月組で過ごしていく中で、作品ごとに自分の立場に対しての責任を感じてきたつもりではありました。でもやはり、次の主演でと言われたときはとても緊張しましたし、驚きとともに、今までに感じたことのないような責任感を感じた瞬間でした」。そう語る月城だが、一方で「何かを気負って変えたりする必要はないと感じている」とも話す。「ありがたいことに、組の皆さんもいつもと変わらず接してくださいますし、作品に対する姿勢も変わらずにいてくださるので、そこは私も甘えて、これまで通りみんなで一緒に苦しみながら作っていきたい。そういう環境でお稽古をできていることがありがたいなと思います」。
今回、月城が『今夜、ロマンス劇場で』で扮するのは、映画監督を目指し、助監督として働く牧野健司。
2022年の幕開きにいい勢いをつけて、次の組につないでいきたい
一方、ジャズをテーマにしたショー『FULL SWING!』は、「全体を通してとても大人っぽい雰囲気」と魅力を語る。「私自身もファン時代に、少し色気のある大人っぽいショーが好きでしたので、今回挑戦させていただけることがありがたく思います。また、お芝居とは全然色が違うというのが、私自身、一番楽しみなところです」。スウィングのヒーロー誕生を祝うゴージャスなプロローグをはじめ、時にスタイリッシュに、時にソウルフルに、バラエティに富んだ場面で構成される。「『ビギン・ザ・ビギン』や『フレネシー』など原曲のある楽曲も使いながら、全編通してジャズで綴る作品です。お芝居仕立ての場面が多く、場面ごとに異なるストーリー性を楽しんでいただけるのではと思います」。
トップ娘役として、月城の相手役となるのは海乃美月。
これからどんなふうに月組を率いていくのか。理想のトップ像を尋ねると「自分でも模索しながら進んでいます」と月城。「自分だけの力でトップとして存在していけるわけではないと、今すごく感じていて。男役としてもトップとしてもまだ全然完成されていませんので、時間をかけて、みんなの中に存在するトップになりたいです。周りの方々の力でこの立場でいさせていただいているという気持ちを、ずっと忘れないようにしたいです」。そしてお披露目公演に向けて「新しい組が1月1日からスタートするというのはもちろんですが、宝塚歌劇としても2022年の幕開きの公演ですので、これからどんどん、次の組に引き継いでいけるように、いい勢いをつけたいです。全力でスタートを切りたいと思います」。
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取材・文・撮影:黒石悦子
宝塚歌劇団月組
ミュージカル・キネマ『今夜、ロマンス劇場で』/ジャズ・オマージュ『FULL SWING!』
【兵庫公演】
2022年1月1日(土・祝)~2022年1月31日(月)
会場:宝塚大劇場
【東京公演】
2022年2月25日(金)~2022年3月27日(日)
会場:東京宝塚劇場