中国メディアの鳳凰網財経は7日、「電気自動車(EV)が値上げ、突然の『ツンデレ』」と題し、EVなどの新エネルギー車および内燃機関車の価格動向について報じた。

記事によると、中国ではここ2年、自動車購入を検討する消費者の間で「財布のひもを締めて待っていれば新エネ車価格はさらに下がる」という考え方が広がっていた。

ただ、2026年第2四半期に入るとその流れは一転し、3月に始まった今回の価格調整は4月末から5月初めにかけて一気に拡大した。

鴻蒙智行は3月初旬、新世代LiDAR搭載を理由に問界M9の新モデルのメーカー希望小売価格を1万元(約24万円)引き上げ、尊界S800の一部でも見直しを行った。

小米(シャオミ)はその数日後に新型SU7を発表し、全モデルで4000元(約9万4000円)の引き上げを実施。雷軍(レイ・ジュン)会長兼最高経営責任者(CEO)は、「材料コストだけで約2万元(約47万円)上昇している。最終的に4000元にとどめたのは熟慮を経た上での決定だ」と説明した。

さらに4月末には比亜迪(BYD)にも動きがあり、同社は車の本体価格を据え置きつつ人気車種向け自動運転支援オプションパッケージ価格を引き上げる措置を取った。

値上げの波はその後も広がりを見せ、その方法は「メーカー希望小売価格の見直し」「自動運転支援パッケージの価格見直し」「購入特典の縮小」の三つに分けられる。

また、約3年にわたって続いた新エネ車の価格競争が急に「逆転」を見せた答えはサプライチェーンの二つの分野に見つけることができる。一つは、半導体メモリーの価格上昇。もう一つは車両コストの30~50%を占める駆動用バッテリーの主要原料である炭酸リチウム価格の上昇だ。

さらに、自動車メーカー自身による要因として「車の重量化」が挙げられる。

中国工業情報化部のデータによると、中国製乗用車の平均重量は過去十数年、上昇を続け、この傾向は特に新エネ車分野で顕著だ。

重い車にはより強力なバッテリーが必要になり、シャシー、サスペンション、ブレーキ、タイヤにもより高い性能が求められるためコストは増える。

26年1~2月の中国自動車業界全体の利益率は2.9%、第1四半期は3.2%と、製造業の長年の平均値である6%を大きく下回った。新エネ車メーカーはこうした中、値上げによって利益を回復せざるを得ないのだという。

一方、ガソリン車などの内燃機関車の動きは新エネ車とは対照的だ。記事は「新エネ車の値上げが生き残り策だとするなら、内燃機関車の今は『最後の体面を保とうとしている状況』だ」と論じ、企業側が値下げで販売台数を積み上げようとしていることを伝えた。

中国の業界団体によると、26年1~4月の内燃機関車の新車平均値下げ額は3万4000元(約80万円)だった。また、今回の値下げの背景については、中東情勢の緊迫による原油価格の上昇が内燃機関車需要を急減させたことが主因との指摘がある。

記事はまた、より深刻な問題として「内燃機関車の魅力は失われつつある」と言及し、「中国製の新エネ車では10万元(約240万円)台前半でも高速道路向けNOA(自動運転支援)を標準装備しているが、同じ価格帯の合弁内燃機関車はいまだに『どちらのディスプレーが大きいか』を競っている」と伝えた。

このほか、「新エネ車メーカーにとって値上げは大きな賭けだ。そこでは、スマート化に対する消費者の強い需要の存在を前提としている」などとも論じ、26年の中国自動車市場における競争は決して平穏なものにはならないとの見通しを示した。(翻訳・編集/野谷)

編集部おすすめ