中国陝西省の南部の秦嶺山脈の奥深く、嘉陵江のほとりで育つ「黄精(オウセイ)」が陝西省略陽県の地域振興を支える産業へと成長している。中国紙が伝えた。
黄精はユリ科アマドコロ属の多年草の根茎を乾燥させた生薬。補気・滋養強壮・滋陰を目的に用いられる薬食素材だ。古くから主に疲労感、虚弱体質、せき、加齢に伴う衰えなどの養生に煎じ薬や茶、食品素材として利用されていた。
東方新報によると、陝西億超能生物科技の薬膳試食コーナーでは黄精を使った料理が並ぶ。黄精は略陽名産の烏骨鶏と相性がよく、「九蒸九晒(蒸して天日に干す工程を9回繰り返す伝統的な加工法)」で加工した九制黄精を加えることで、上品な甘みと深い味わいが生まれる。
同社の李丹さんは「略陽烏骨鶏、黄精、天麻を中心にトウキ、オウギ、ナツメ、陳皮などを組み合わせ、滋養と食べやすさを両立させている」と話す。薬膳メニューは漢方薬材が苦いという従来の印象を変える試みでもあり、観光客からの予約も増えているという。
黄精の活用は薬膳にとどまらない。工場では黄精ビールの生産ラインが稼働し、原料選別、九蒸九晒、殺菌、包装までの工程が進められている。2025年には年間300トンの黄精ビール生産ラインが本格稼働し、標準化された黄精加工ラインにも5000万元(約11億8681万円)が投じられた。
略陽県には6万ムー(約4000ヘクタール)余りの黄精栽培地があり、中国初の黄精GAPモデル基地県でもある。
ブランド化も進んでいる。25年9月には同社の九制黄精ギフトセットが第2回「三秦おすすめ土産」に選ばれ、同年の楊凌農業ハイテク博覧会でも略陽黄精が複数の展示館で紹介された。26年2月には略陽烏骨鶏と略陽黄精が西安市の高級百貨店・西安SKPへの出店契約を結び、高級消費市場にも進出した。
東方新報は「現在の略陽黄精は単なる生薬ではなく、栽培、加工、薬膳体験、観光、ブランド展開を組み合わせた地域産業へと発展している」と指摘。「略陽県は黄精産業の高度化を通じて、農村振興と住民の所得向上につなげている」と強調した。(編集/日向)











