2026年7月30日、中国メディア・観察者網は「日本が造船業の復活目指す、その強気の根拠はどこにあるのか?」との論評記事を掲載。日本政府が新成長戦略で造船業の復活目標を掲げたものの、現場の構造的制約から目標達成は極めて困難であると報じた。
記事は、高市政権の発足後初となる核心的な産業計画として閣議決定された新たな成長戦略において、造船業が経済安全保障の核心と位置づけられ、1兆円規模の投資とともに「2035年までに建造量を1800万GT(総トン、約5兆円規模)にする」という野心的な目標が掲げられたと紹介した。
また、この戦略ではグリーン・スマート船舶の推進、国内の船舶メンテナンス体制の強化、液化天然ガス(LNG)運搬船の国内確保という3つの重点分野が定義されていると解説。民間側でも今治造船がジャパン・マリンユナイテッドを連結子会社化し、LNG船の建造再開に向けて動くなど、政策に呼応する業界再編が進んでいると伝えた。
その上で、こうした強気な目標の前に「受注減」や「労働力不足」といった深刻な構造的制約が立ちはだかっていると主張。日本の新造船受注量(修正総トン〈CGT〉換算)における世界シェアは、25年の5.60%から、26年年初には1.39%へと急落し、輸出船の新規受注は4年連続で減少しているとした。
さらに、造船従事者がピーク時の約9万1000人から約7万人にまで大幅に減少しているほか、溶接などを担う2次以下の下請け中小企業の12.8%が債務超過状態にあり、技能継承が途絶するリスクが高まっているとも論じた。
記事は、生産能力の限界や技術の空洞化も大きな課題であると指摘。国内最大手である今治・JMU連合であっても年間の生産能力は約500万GTにとどまり、手持ち工事量(受注残高)も29年まで埋まっているため、物理的にこれ以上の受注急拡大は不可能であるとした。
また、日本は19年以降に大型LNG船を建造しておらず、主流となったメンブレン型LNG船の受注競争において韓国の造船所に敗れたことで技術の断絶も起きていると分析。今治造船が建造を再開するにあたってもライバルの韓国企業から部材を調達することを検討せざるを得ない状況だと伝えた。
このほか、市場のねじれや外部環境も日本政府の思惑通りには動いておらず、政府が国産造船にこだわるのを尻目に国内の大手船主はコストや工期の観点から中国の造船所への発注を続けているとも主張。米国による対中制裁に伴う受注流出の地政学的な恩恵も、高付加価値船を建造できない日本ではなく韓国に流れているとした。
記事は、日本政府による1兆円規模の投資や業界再編は、シェアのさらなる急落を防ぎ世界3位の地位を維持する「止血効果」として短期的には機能するものの、中長期的な「35年に1800万GT」という目標は極めて現実味を欠いていると評価。日本が取るべき現実的な選択肢は、規模の「大復活」ではなく、自国需要や水素運搬船などのニッチ分野に特化して、現状維持と産業基盤の死守に徹する「守りの姿勢」であると結論づけた。(編集・翻訳/川尻)











