中国メディアの観察者網は4日、「日本はフォトレジストの供給停止に踏み切れない」との記事を掲載した。
記事は、最近「日本の大手フォトレジストメーカーである東京応化工業、JSR、信越化学工業、富士フイルムの4社が、中国向けのArF・EUVフォトレジストの新規受注を全面停止し、KrFフォトレジストの新規受注も大幅に縮小した」との情報がネット上で拡散したと紹介。
その上で、この情報が広がると賛否の声が上がったものの、確認するといくつかの点で事実と一致しない部分があると指摘。「情報では、2026年第1四半期に中国が日本から輸入した半導体用フォトレジストが95%減少し、2月には輸入がゼロになったとされた。しかし、中国税関総署によると、26年1~5月の日本からのフォトレジスト輸入量は、それぞれ1622トン、1495トン、1958トン、1910トン、1939トンで、5カ月間の累計は8900トンを超えている。ArFやEUVフォトレジストだけを分類したデータはないものの、全体を見る限り供給が急激に減少したという状況は確認できない」とした。
また、「日本が中国向けフォトレジスト輸出を停止したという情報は過去にも流れている」と言及。「25年には、キヤノン、ニコン、三菱などが中国向けフォトレジスト供給を停止したとの報道があったが、実際にはこれらの企業はフォトレジストそのものを製造しておらず、投機目的で流された情報だとされた。同年12月には、日本政府関係者も日本が中国へのフォトレジスト輸出を停止したとの報道を否定している」と説明した。
そして、今回の情報についても、「日本政府、日本の専門メディア、そして4大フォトレジストメーカーの公式発表などでは、このような重大な供給停止に関する情報は確認されていない」と指摘。「それでも、この話題が大きな関心を集めた理由は、もし高性能フォトレジストの供給が本当に停止された場合、中国の半導体産業にどのような影響が出るのかという懸念があるためだ」と論じた。
記事は、フォトレジストについて「半導体製造において回路パターンをウエハー上に転写するための重要な材料である。露光装置が回路パターンを投影する装置だとすれば、フォトレジストはそのパターンを記録する感光材料にあたる。
また、「高性能フォトレジストは単純な材料製品ではない。同じArFフォトレジストでも、ロジック半導体、DRAM、NANDなど用途によって必要な配合は異なり、同じチップ内でも工程ごとに異なる製品が使われる。長期間にわたる研究開発、顧客との共同検証、量産経験の蓄積が必要になる」とし、「日本企業は1960年代からフォトレジスト開発に取り組み、東京応化工業は1972年に日本初の半導体用ポジ型フォトレジストを開発した。その後、JSRや信越化学工業なども市場に参入し、世界の半導体産業の成長とともに技術を積み重ねてきた。数十年にわたる配合技術や量産実績が、日本企業の大きな競争力となっている」と説明した。
一方で、「技術力が高いからといって、日本企業が簡単に供給を停止できるわけではない」と主張。「フォトレジストは開発費が大きい一方で、市場規模は限られている。半導体関連調査会社TECHCETによると、25年の世界の半導体用フォトレジスト市場は約33億ドル(約5200億円)にとどまる。その中で中国市場は重要な位置を占めており、24年の中国フォトレジスト市場規模は世界需要の28.2%を占める。中国の需要は世界全体の約3分の1に達するとされており、中国の半導体工場の増設が続く中、日本企業にとって中国市場は重要な販売先となっている」と解説した。
記事は、「日本政府は23年以降、半導体製造装置や量子技術などに対する輸出規制を拡大してきたが、フォトレジストは規制対象には含めていない。市場の需給という観点から見ると、日本のフォトレジスト産業は中国市場への依存度が高く、供給を停止した場合、日本側が受ける影響は中国より大きくなる可能性がある」と主張。また、「中国でもフォトレジストの国産化は進んでいる」とし、「成熟プロセス向け製品では国産化率が上昇し、KrFフォトレジストでは量産が始まっている。ArFやEUV向けについても開発が進められている。また、韓国でも日韓貿易摩擦以降、フォトレジストの国産化が進み、ArFフォトレジストの供給体制が整いつつある」とした。
そして、「日本は現在も世界のフォトレジスト市場で大きな影響力を持っている。しかし、すでに唯一の供給国ではなく、中国企業や韓国企業も供給能力を高めている。仮に今後、日本からの供給がさらに厳しくなったとしても、影響はコスト上昇や認証、サプライチェーン調整が中心であり、半導体産業全体が停止する状況にはならない」との見方を示した。(翻訳・編集/北田)











