人気ドラマやバラエティー番組の配信・放送開始を前に、制作側がネット上で宣伝活動を行うのは一般的だ。しかし近年、一部のSNSアカウントが作品や出演者を標的に批判や対立をあおるなど、通常の言論活動の域を超えた業務妨害や権利侵害につながる行為が問題となっている。
中国浙江省・杭州市公安局は13日、「浄網(ネットクリーン)2026」特別取り締まりの一環として、「護劇(ドラマを守る)」ことを名目に世論をあおり、映画・ドラマの制作会社や出演者に「金を払ってトラブルを解決する」よう迫っていた組織的な犯罪グループを摘発したと発表した。
発端となったのは、杭州のサイバーセキュリティー当局による日常的なネット巡回だった。一定のフォロワー数を持つ一部のアカウントが、新作ドラマやバラエティー番組の配信開始時期を狙い、「出演俳優が問題発言をした」「アクションシーンが下手」「脚本がでたらめだ」「容姿が劣化している」など、作品や出演者に対する悪評を意図的に作り出していたことを発見した。
さらに、複数のアカウントが連動して話題をあおり、対立を激化させる投稿を拡散。制作側や芸能事務所が圧力を受けて連絡を取ると、「世論対策」や「宣伝サービス」を名目に高額な料金を要求。支払いを拒否すると投稿をさらに増やし、「金を払ってトラブルを収める」よう迫っていたという。
捜査を逃れるための対策にも長けており、法的リスクを回避する目的で、標的とするドラマの作品名や芸能人の名前を中国語のピンインの頭文字で表記したり、特定のスタンプや絵文字を使ったりして、金銭の支払いを示唆していた。
捜査当局はグループのメンバー構成や役割分担、組織構造、資金の流れなどを把握した後、6月16日に警察官40人余りを動員して10の逮捕チームを編成。浙江省嘉興市、安徽省合肥市、江蘇省太倉市、広東省深セン市など8省10市で一斉摘発を実施し、10人の容疑者を拘束した。事件に関係する携帯電話やパソコン、タブレット端末なども押収した。
捜査を担当した警察官は今回の事件について、エンターテインメント業界で新たに出現した組織的なネット犯罪であり、被害が深刻である一方、手口が巧妙で発見が難しいと指摘した。また、制作会社や芸能事務所に対し、こうした金銭の要求に応じず、証拠を集めて通報するよう呼び掛けた。
従来の「金を払って投稿を削除させる」事案とは異なり、今回は広報・PRサービスを装って金銭を要求する行為を恐喝事件として立件・捜査した全国初の事例となる。恐喝罪が適用されれば、従来の同種事案とは異なり、より重い刑罰が科される可能性がある。
今回の摘発を受け、中国のネット上ではドラマ「赴山海」が受けた一連の組織的な嫌がらせを想起したとのコメントが相次いだ。「赴山海」を巡る騒動と今回摘発されたグループとの関連は明らかになっていないが、今回の事件をきっかけにドラマや出演者を標的としたネット上の組織的な不正行為に対する警戒感と関心が改めて高まっている。(翻訳・編集/RR)











