「暑いほうが夏らしくていいよ」などと風流ぶる余裕もないほどに、激しい暑さに見舞われた今夏。全国各地で、最高気温が35度を超える「猛暑日」が記録され、熱中症患者の数も急増している。
そんな中、バカ売れの気配を見せているのが「携帯型熱中症計」だ

日本気象協会が独自の計算手法で算出した“熱中症指標値”に基づき、気温と湿度から熱中症の危険度を測定するという、このアイテム。これまでも壁掛けタイプなどはあったが、持ち運べるコンパクトなタイプは今回が初登場だという。

さっそく購入して、試してみることに。熱中症計はスタンダードタイプが1050円。10分ごとに危険度を自動測定する“見守り機能”がついた上位機種は2100円。さんざん迷った末、「見守られてナンボ」と、自動測定機能付きを購入する。
エスカレーターで移動しながら早々に装着し、測定スイッチをポチリ。

表示された危険度は5段階のちょうど中間にあたる「警戒」レベル。店の外に出ると「厳重警戒」にアップし、警戒ブザーも鳴り始める。池袋駅に行く道すがらも、ピッピッピッピッピッ。池袋駅の構内でもピッピッピッピッピッ。少々うるさい。


しかし、それはまだ序の口だった。事務所に戻り、自分のPCの前に座った途端、熱中症計の表示は最もアブないレベルを示す「危険」に変わり、ブザー音が鳴り響く。マジですか!? 池袋の雑踏以上に熱中症の危険度が高い事務所って一体……。

体感温度としては、そこまで暑くないけれど、定期的にブザーが鳴り続ける。確かに夏場はちょっと留守にするだけで、熱がこもりやすいもの。そんなときは窓を開けて、扇風機を回し、空気を入れ換えれば……。

ピーーーーーーッ。

今日みたいに暑い日は扇風機じゃ、パワー不足か。まあ、そうでしょうとも。ならば、エアコン入れますよ。設定温度だって大盤振る舞い。24度まで下げれば……。

ピーーーーーーッ。

全然ダメじゃん。何この、危機的状況! もうすぐ熱中症になるの……? 水飲まなきゃ、水! あと、塩!!

厚生労働省のガイドラインによると、「0.1~0.2%の食塩水」または「スポーツドリンク」(ナトリウム濃度が100ミリリットルあたり40~80ミリグラムのもの)が最適。それも「20~30分ごとに、カップ1~2杯摂取」が望ましいらしい。

水1リットルに対して塩1gで、0.1%の食塩水になる。なので、これを作っておいて30分おきにカップ1杯くらいずつ飲んでいけば……(飲みたくねー!)。
レモンを絞ればちょっとはマシになるはず(とはいえ、飲みたくねー!!)

その後、深夜になってようやく「危険」レベルは解除されたものの、もっともリスクが低い「ほぼ安全」にはまるで到達する気配なし。ずっとエアコンつけっぱなしだったのに……。

気象庁の発表によると、全国的な猛暑は8月上旬まで続くそう。想像しているよりもはるかに簡単に「熱中症になる条件」のカードは揃ってしまう。それを体感するだけでも「熱中症計」を持つ意味はあるかも。(島影真奈美 )