今注目のアプリ、書籍をレビュー

0

「009 RE:CYBORG」は押井守に届かなかったラブレター

2012年11月6日 11時00分 ライター情報:たまごまご

それは神山健治監督が、押井守監督に向けて書いたラブレターのはずの脚本だった。現在公開中の『009 RE:CYBORG』は石ノ森章太郎の未完の大作に独自のアレンジを施し、「神とは何か」というテーマに挑んだ意欲作。それが生まれるまでには様々なやり取りがあったのです。『アニメスタイル002』と『文藝別冊 神山健治』のロングインタビューも必見。

[拡大写真]

「今回の『009』はそもそも押井さんが監督して、僕が脚本を書くということが早い段階で決まっていた。なので、最初は押井さんへのリスペクトというか、ラブレターのつもりで書いたわけです」
『アニメスタイル002』で、『009 RE:CYBORG』の監督である神山健治はそう語りました。
 
現在、映画『009 RE:CYBORG』が上映中です。
何と言っても見所はその3D映像美。
ピクサーなどで見られる海外のリアル路線3Dではなく、完全にセル画に寄せた3D映像作りで徹底しており、極めて日本アニメーション的。制作は3D制作スタジオのサンジゲン。
通常の3Dアニメと違い、1秒あたり8枚の絵で動く日本セルアニメにあわせたことで、3Dの違和感なくいつも見ているアニメーションのような映像になっています。
3D立体映像としても公開されており、そちらのほうがアクションシーンは楽しめます。

いやー、魅せ方がめちゃくちゃうまいんだ。
009といったらサイボーグですよ。サイボーグの活躍が見たいじゃないですか。
特に009、島村ジョーといえば加速装置ですよ! 自分だけ周囲よりも何倍も早いスピードで動く特殊能力。
3Dであることを最大限まで生かしながら、グルングルンと視界を回し、ジョーの活躍を描きます。
その他のキャラクター達はデザインも性能も大幅に、スクリーン映えするように大胆にアレンジ。
とんがりっ鼻の002ことジェットは見た目もがらっと変わり、イカしたアメリカ人に。ジョーとの確執を持ったまま苦悩する音速ジェットサイボーグっぷりが描かれます。
また、ヒロインである紅一点の003、フランソワーズは、視覚・聴覚がすぐれた索敵型サイボーグでしたが、その能力は大幅アップ。ハッキング能力を身に着けて、超強力なレーダー役にまで発展しています。この描写がまた気持ちいいくらいによく描かれています。

さて、他のキャラ、004の全身兵器アルベルト、005の豪腕ジェロニモなどなど、9人全員に活躍の出番がある……と言いたいところなんですが、そうでもない。
00ナンバーのサイボーグたちの活躍を描いたエンタテインメントなの?と聞かれたら、間違いなくエンタテイメントなんですが、『アヴェンジャーズ』みたいなカタルシスを求めるとすごい空振りをする作品です。
ジョーやジェットを見ていると、確実に映画としての爽快感や楽しさは詰め込んでいるのがわかります。しかし「サイボーグ9人が集まって何かを解決するハッピーエンド」な作品では全くないのです。

ライター情報

たまごまご

フリーライター。「ねとらぼ」「このマンガがすごい!WEB」などで執筆中。ひたすらに、様々な女の子の出てくるマンガを収集し続けています。

URL:たまごまごごはん

コメントするニャ!
※絵文字使えないニャ!