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今夜金曜ロードSHOW「ゲド戦記」は本当に駄作なのか?

2014年1月17日 11時00分 ライター情報:米光一成

『シュナの旅』(宮崎駿/アニメージュ文庫)アニメ『ゲド戦記』の原案。オールカラーで描かれた絵物語。1983年に出版。

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今夜金曜ロードショーは『ゲド戦記』である。
宮崎駿の息子である宮崎吾朗が監督だ。
2006年の作品。ジブリ作品としては、2004年『ハウルの動く城』の次の作品である。

多くの映画レビューで酷評され、2006年のワースト作品だとも言われた。
第63回ヴェネツィア国際映画祭で特別招待作品だが評判は最低位ランク。
原作者のアーシュラ・K・ル=グウィンも「原作の精神とはひどくかけはなれている」という声明を発表した。
さんざんである。

アニメ『ゲド戦記』は、そんなにも駄作なのだろうか?


クレジットには原案『シュナの旅』もクレジットされている。
『シュナの旅』は、宮崎駿が描いた絵物語。
たしかに『ゲド戦記』と『シュナの旅』を比べると、とても似ている。
ヤックルという動物と王子の乗る馬の姿が似ている。
その馬に乗って、王子が旅をするというプロット。
奴隷装甲車のデザインは、ほぼ同じ。
それ以外のさまざまなデザインやシーンが原案となっている。
だから、初監督作品に、宮崎駿作品レベルを求めるのが酷だと分かっていても、ついつい連想し、比較してしまうのだ。

宮崎駿自身は「あとがき」で、『シュナの旅』は、チベットの民話『犬になった王子』(君島久子・後藤 仁/岩波書店)が元になっていると書いている。
だが、鈴木敏夫がインタビューの中で語っているように、『シュナの旅』は『ゲド戦記』の翻案でもあるだろう。
だから、“『シュナの旅』をそのままやったらどうか”と、宮崎駿自身が提案していたのだ、と鈴木敏夫は語っている。
ところが、
“宮さんという人はすごい人で、そういったことを自分が忘れちゃうんですね。それで、映画を見たときに『シュナの旅』だったから驚いている。なんなんだこの人は、と思って。自分でいったことを忘れてる、あれ”(鈴木敏夫『風に吹かれて』P216)

アニメ『ゲド戦記』は、『ゲド戦記』3巻「さいはての島へ」に、1巻「影との戦い」の要素を加え、さらに宮崎駿『シュナの旅』をミックスして、作られている。
ただ、それらのどの作品にもない完全にアニメ『ゲド戦記』だけのオリジナルなシーンがある。
それは、タイトルが出る前に描かれる部分。
王子アレンが、王様を殺すエピソードだ。
この作品の異様なところは、このエピソードが、タイトル以降、ほぼまったく語られないことだ。
王様が殺された後の王国の様子もまったく描かれない。
王を殺し逃亡した王子に、追手を放った様子も描写されない。

ライター情報

米光一成

ゲーム作家/ライター/デジタルハリウッド大学客員教授。代表作「ぷよぷよ」「BAROQUE」「想像と言葉」等。

URL:Twitter:@yonemitsu

コメント 1

  • 匿名さん 通報

    自分はゲド戦記好きでうまくは言えないけどアレンの気持ちも分からなくもない。周りは色々言うけどそれでもやっぱりゲド戦記は好きだな

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