人気声優で、絵本作家や漫画の原作者としても活躍している浅野真澄と、ミリオンセラー『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』の著者でもある公認会計士・税理士の山田真哉
「お金」がテーマのラジオ番組毎週月曜日の21時30分から文化放送で放送中の「浅野真澄×山田真哉の週刊マネーランド」で、パーソナリティを務める2人の対談後編では、8月に発売された初の番組本『山田先生とマネー番組をはじめたら、株で300万円儲かった』の内容についても聞いていく。

(前編はこちら)
声優・浅野真澄「これからも、いち投資家として生きていきたい」「さおだけ屋」山田真哉感心する
『山田先生とマネー番組をはじめたら、株で300万円儲かった』というタイトルは、30冊以上の著書があり、本のタイトルに関しては一家言を持っている山田から何度もダメ出しされた末に決定した

投資をすると企業から勇気をもらえる


──山田さんは、『山田先生とマネー番組をはじめたら、株で300万円儲かった』の中で、「投資をやるうえで、一番注意したほうがいいのは『ストレスをためないこと』」だと語っていて。自分の性格に合った投資を勧めていますね。
山田 はい。どんなやり方が良いとか悪いといったものではないので、自分に合ったやり方をするのが良いと思います。
──浅野さんは株を短期間で売り買いする「短期投資」が好きで、山田さんは株を長期保有する「長期投資」が好きと、好みは真逆なわけですが。お互いに影響を受けたりはしないものなのでしょうか?
浅野 たしかに今は短期投資が好きですが、私はまだ投資の初心者なので。きっと、山田さんもいろいろな経験や失敗も経て、今の投資のスタイルになったのだと思うんですね。

山田 あはは。まあ、そうですね。
浅野 私はまだスタートを切ったばっかりなので、投資のスタイルが変化していく可能性はあると思います。身近なところに、投資の先輩というか、先に走ってくれている人がいるのはありがたいですね。「あ! 今、山田さんが穴にはまった!」とかも見えるから、すごく参考になります(笑)。山田さんの経験も参考にしながら、少しずつ自分の投資スタイルを形作って行けたら良いなと思っています。

──投資をしていて一番テンションが上がるのは、やはり買った株の株価が上がった時ですか?
浅野 それはもちろん嬉しいんですけど。例えば、企業について調べていて、すごく成熟しているように見える企業が新しいことにチャレンジしていることなどを知ると、「こんなに実績もあるのに、また新しいことに挑戦するんだ!」と思って勇気をもらえるというか。応援したくなったりもします。
山田 企業から勇気をもらうって凄いですよね。アニメを観て勇気をもらうとか、オリンピックを観て勇気をもらうとかと同じ感じですか?
浅野 そうですそうです! きっと似ていると思います! すごく辛そうだけど頑張って走っている人とかを見て感動したりするじゃないですか。そんな感覚に近いです。

声優・浅野真澄「これからも、いち投資家として生きていきたい」「さおだけ屋」山田真哉感心する
浅野真澄(あさの・ますみ)/秋田県出身。声優やラジオパーソナリティとして活躍するだけでなく、絵本作家、漫画原作者など執筆業でも活動。さらに今年、ファイナンシャルプランナー2級の資格も所得した

山田 僕は、長期投資がメインなので、株価の上がり下りはあまり関係なくなっていますね。基本、買った株は売らないという選択肢を取っているので。そうなると、テンションが上がるタイミングは、配当金が出た時と株主優待の商品などをもらった時くらい。今だと、配当金が毎年40万円くらい入ってくるので、それはお小遣いみたいな感じで嬉しいですよね。まあ、僕は、投資にロマンを求めてはいなくて。自分や家族を養うための手段の一つとしてやっているので。
ほら、競馬にドはまりしてる人って、馬にロマンを求めるじゃないですか。浅野さんは、今その状態なんですよね(笑)。
浅野 馬鹿な人みたいに言うなー!(笑)。
山田 もちろん、それはそれで投資の楽しみ方として有りなんですよ。でも、僕のように一歩引いた感じでできるのも投資の良いところなんです。
──買った株の価格が上下しても、基本的には売らないというのは、ものすごく達観した投資の仕方のように思うのですが。

山田 たしかに、株をやらない人だと不思議に思うかもしれませんね。でも、投資のスタイルとしてはそんなに珍しいものではありません。例えば、競馬だと3分とかでレースが終わっちゃいますけど、株というレースは50年とか100年という規模のレースなので。100年後のゴールまでずっと持ってるという楽しみ方もできるんです。
声優・浅野真澄「これからも、いち投資家として生きていきたい」「さおだけ屋」山田真哉感心する
山田真哉(やまだ・しんや)/兵庫県出身。芸能界・出版界などクリエイティブ専門の会計士・税理士事務所を経営し、『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』など著作も多数。さらにコアなアニメ&声優オタクでもある

テレビアニメを劇場映画化したみたいな本


──発売中の番組本『山田先生とマネー番組をはじめたら、株で300万円儲かった』は、番組で語られた投資の話題がきれいにまとめられていて。読むと「第2、第3の浅野真澄」が生まれてきそうな投資入門書になっていますね。お二人は、この本について、どこが魅力だと思いますか?
浅野 私としてはお金についての番組ができただけでも嬉しかったのに、番組本も出ることになって、すごく光栄です。
この番組を始めるきっかけにもなった、お金の話をみんなで抵抗なく話せるようになりたいという目標に1歩近づいた気もするし、そういう意味でも、すごく嬉しかったですね。お金の話はタブーじゃないんだよという感じがして、内容的にもすごく分かりやすいし、投資の入口として、取っつきやすい本になってると思います。
山田 テレビアニメを劇場映画化したみたいな感じですね。そういう作品って、当たり外れがあるんですけど、これはよくできた劇場アニメ化だと思います(笑)。
浅野 あはは。
山田 ラジオを1年半もやっているので、全部の内容を1冊にまとめるのは絶対に無理。でも、その取捨選択が良いからだと思うんですけど、この1冊を読めば、実際に番組の1年半分を復習できる本になっています。おそらく、速い人で90分、遅い人でも210分くらいで読めると思うんですけど、それで1年半分の内容が分かるのだから、すごいお得な劇場アニメですよね。しかも、劇場版だけの新作カット的なものも入ってるので(笑)。
浅野 投資用語の詳しい説明とか、「マネーランド検定」も収録しているし、ラジオと違っていつでも手元に置いて読み返せるのも良いところだと思います。私もこれを何度も読んで、もう一度、自分の投資スタイルを見直そうかな(笑)。
──購入する株の選び方のノウハウなども丁寧に書かれていて。完全な初心者だけでなく、投資を始めたけど、ちょっと上手くいかないな、勉強をやり直したいなという人にも役立つ本だと思いました。
山田 そういった人たちも狙っています。投資って、ほとんど勉強しなくても手は出せちゃうんですよね。でも、改めてきちんと勉強すると、やっぱり見えてくる世界が全然違ってくるはずです。
──お二人の投資スタイルについて、もう少し詳しく知りたいのですが。自分の投資ルールみたいなものはありますか?
浅野 私は信用取引(証券会社から資金や株式を借りて売買する取引)をしないということですね。信用取引と現物取引って、近いようでいて全然違うもので。売り方も買い方も全く違ってくるんです。だから、私は現物取引だけをすると決めています。
──私も、投資に対しては博打的なイメージがあって。失敗したら投資した額以上の損をしてしまうという印象もあったのですが。それは信用取引だと、その可能性もあるということだったのですね。
山田 カイジ的なイメージですね(笑)。
浅野 現物取引だけでやっていると、最悪、投資したお金が0にはなるけれども、そこかさらに損をすることは無いので。これからも、現物だけしかやらないつもりです。
──山田さんは、そういった自分ルールはありますか?
山田 そこが僕の苦手なところだと思うんですけど……。
浅野 ルールが無いんですか?
山田 無いというか、興味があったら、やっちゃうところが過去の失敗につながっているので……。唯一、ルールがあるとしたら、余っているお金でやるということ。今の生活や将来必要な貯金といった大事なお金は使わないと決めています。そこだけは確実に守っているので、損をしても、そこまで慌てることがないんです。
声優・浅野真澄「これからも、いち投資家として生きていきたい」「さおだけ屋」山田真哉感心する
『山田先生とマネー番組をはじめたら、株で300万円儲かった』は、浅野と山田の会話形式で構成。「週刊マネーランド」と同じ雰囲気で、楽しみながら投資のノウハウを学ぶことができる。投資用語集も便利

投資を始めて、世界がクリアに見えるようになった


──今、投資をしてみたいと思っている人にメッセージを送るとしたら?
浅野 私は「マネーランド」が始まってから、毎日1時間、経済についての勉強をすると決めていて、今も続けています。しっかり勉強することが、投資のリスクを自分で小さくできるほとんど唯一の方法だと思うので。ノーリスクとは言わないですけど、ローリスクにできるかは自分次第。そこに気をつけて、投資をやってみてもらえたら良いなと思っています。いろいろ学ぶと経済ニュースも面白くなるし、この出来事とこの出来事が繋がっているんだとか、経済の仕組みが分かるのもすごく楽しいんですよ。それに、投資は楽しいけれども、お金をなめちゃいけないという気持ちもあって、勉強を続けています(笑)。
山田 投資を始めたい人は、きっとまず入門書を読みますよね。これまでずっと会計の入門書を作ってきて分かったことがあって。入門書の良し悪しって、最終的には面白いかどうかなんですよ。その本を読んでいる段階で面白いから、実際に自分もやってみようと思える。まさに『さおだけ屋』は、それが上手くはまったんです。同じように、今回の本も入門書として、面白くできていると思います。最初の10ページくらいをパラパラと読んでもらうだけでも、それが分かってもらえるはず。(ラジオみたいに)笑えるってことはないかもしれないけど、読んで面白い本にはなっていますので、ぜひ手に取ってみて欲しいですね。
──番組の中でのやり取りをそのまま収録したような構成で、楽しくて読みやすいです。あと、1冊の本として、これまでの番組の内容を振り返ると、浅野さんが投資番組の生徒役として、すごく良い生徒だったのだなと再確認しました。
山田 僕は、以前は塾講師をやっていたのですが。その教室の授業が良いものになるかとか、面白いものになるかとかは、極論すると、先生ではなく生徒の質で決まってしまうんです。そういう意味で今回の生徒は、質が非常に良かったというか……面白かったですね(笑)。
浅野 「質が面白かった」という日本語はありません!(笑)
──今後、お二人は、投資とどのように付き合っていきたいと考えていますか?
浅野 現時点では、私は一生投資を続けていきたいなと思っています。投資をすることで、マイナスになることが思いつかないし、投資をすることで社会や経済の仕組みも分かり、世界がクリアに見えるようになりました。だからこれからも、いち投資家として生きていきたいです。あと、私、将来的には投資の経験などを生かして、講演会をして生きていきたいんですよね。
──将来、講演会で生活するのは、浅野さんの以前からの夢ですよね。
浅野 はい、昔から言ってたんですけど、「投資というテーマは良いな。見つけた!」って思いました。やっぱり投資って、やっているのはおじさんが多くて。私の年代の女性はまだ少ないと思うんです。だから、投資業界の皆さんに「お、ちょうど良い人がいる!」と思ってもらえないかなって(笑)。エキレビさんでも、そこを推しといてください!
山田 僕は、まあ現状維持で(笑)。生きるための手段の一つとして、コツコツとやっていきたいですね。ただ、投資の知識は僕自身も増やしていきたいと思います。どんどん新しいシステムもできているので、浅野さんに負けないように、僕ももっと勉強するつもりです。そうすれば、投資の手段も広がりますからね。
(丸本大輔)