2018年の春、伝説のサッカーアニメが復活。
『キャプテン翼』、15年半ぶりのテレビアニメ化が決定した。

12月13日に開催された「アニメ化決定記者発表会」には、原作者の高橋陽一、主人公の大空翼を演じる三瓶由布子、翼のライバル若林源三役の鈴村健一の他、サッカー元日本代表の北澤豪とタレントの武井壮もゲストとして登壇。
ゲストの『キャプテン翼』に関する思い出や、2018年4月から放送される新作アニメの見どころなどが語られた。
「キャプテン翼」新作制作発表会見徹底レポ「なにィ」の「ィ」にもこだわりながら「練りに練った若林」へ
「アニメ化決定記者発表会」の登壇者。左から、武井壮、北澤豪、高橋陽一、三瓶由布子、鈴村健一。武井と北澤は、作中で若林が通う「修哲小学校」の名前の元となった修徳高校のOB
(c)高橋陽一/集英社・2018キャプテン翼製作委員会

1981年に「週刊少年ジャンプ」で連載がスタートし、現在も「グランドジャンプ」で連載中の『キャプテン翼』シリーズ。最初のテレビアニメは1983年〜1986年に放送。日本でサッカーブームを巻き起こし、海外でも人気を集めた。
1994年〜1995年版と、2001年〜2002年版に続く、4度目のテレビアニメ化となる今作では、改めて物語のスタートから、原作に忠実に映像化。しかし、携帯電話の有無やサッカー用語など一部の設定は、時代に即したものになるという。

高橋「80年代と今では世間の状況とかも変わっているので。今の子供さんにも楽しめるように、現代の設定になっています」
北澤「翼がボールを蹴って、走るバスの下を通すシーンとかは、今だと社会的な問題になったりしそうだし、(アニメ化は)難しいですか?」
武井「コンプライアンス的に?」
北澤「そうそう。僕は、立花兄弟のマネをして、駅で反対のホームにいる友達とパス回しをしていたら怒られましたからね」
高橋「観ている人がより楽しめるように、そういうところも、できるだけ原作通りやろうということになっています」

初公開されたティザーPVには、偶然にもバスのシーンが登場。翼が「ちょうせん状」と書いたボールを丘の上からキックして、はるか遠くの若林家まで届ける有名なシーンも原作通りで、数々のスーパープレーも原作のイメージに沿った映像化が期待できそうだ。

以前よりも練りに練った若林ができるんじゃないかな


オーディションでは、翼と、親友の石崎了を演じたことを明かした三瓶。自分が翼役に決まるとは想像できず、「石崎君、やりたいな」と思っていたそうだ。

三瓶「サッカーをあまり知らない私でも知っているくらいの国民的な作品。自分の人生の中で、『大空翼役の』と名乗る日が来るとは、まったく想像していませんでした。今日の発表までは完全にシークレットだったので、これからは自慢していきたいです(笑)」

三瓶をはじめ、新たなキャストによって制作される本作。しかし、鈴村だけは、2001年放送の第3作目から続投となっている。

鈴村「声優としてデビューしてから7、8年は、声の仕事でなかなかご飯を食べられなくて。やっと、ご飯を食べられるようになった年に出会ったのが『キャプテン翼』の若林だったんです。その時の僕はまだペーペーで、ガムシャラにやった覚えがあるんですけれど、今はキャリアも重ねてきましたから。もう少し練りに練った若林ができるんじゃないかなと思っています(笑)」
「キャプテン翼」新作制作発表会見徹底レポ「なにィ」の「ィ」にもこだわりながら「練りに練った若林」へ
翼の代名詞であるオーバーヘッドキックのシーンと、眼光鋭い若林を描いたキービジュアル。キャラクターデザインと総作画監督は、『おじゃる丸』などで知られる渡辺はじめで、世代を問わず親しみやすい絵柄だ
(c)高橋陽一/集英社・2018キャプテン翼製作委員会

司会者からの「北澤さんも、声優をやってみたいとは思いませんか?」という唐突な質問にも、「やらせてもらえるなら、やりたいです!」と前向きな北澤。

北澤「声の仕事も好きなんですよ。解説の仕事をする前には、アナウンス学校に通いましたから」
武井「もしやるなら、誰をやりたいですか?」
北澤「やっぱり、先生が僕をモデルにしてくれた葵新伍を」
高橋「葵新伍のモデルは北澤さんなので」
武井「いいなあ〜。僕は、アルゼンチンのファン・ディアスがやりたいですね。身体能力がすごい選手で、そこは僕とも近いので。もし出るなら、ぜひお願いします!」

サッカー経験は無いが『キャプテン翼』ファンの武井。「ディアスは100m走11秒台ですけど、僕は10秒5なので、僕の方が速いんです」と熱弁。マニアックな知識と負けず嫌いぶりを披露した。

原作の吹き出しの雰囲気も台詞で再現しようと挑戦


来年4月の放送に向けて、すでにアフレコもスタート。声優陣も原作の魅力を表現することにこだわっているそうだ。

鈴村「僕たちが情熱を持って読んでいた原作をそのままアニメにしようと意識しています。台詞も限りなく当時のままやっている感じです。例えば、『なにィ』という台詞がよく出るんですけど、カタカナの『ィ』の感じもちゃんと出るようにやろうと、意識的にやっています」

三瓶「(原作には)台詞を強調するような形の吹き出しがすごく多いんですね。他の作品であれば普通にも読めるような台詞も、あえて強調したりして、吹き出しの雰囲気も再現しようとしています。原作を音や絵で改めて表現していくことに、一丸となってチャレンジしている空気があります」

会見で何度も言及された「原作に忠実」という方針は、原作者からの要望でもある。

高橋「原作通りに進めて下さいとお願いしているので、最初のアニメシリーズに近いストーリー展開になると思います。先ほど話に出たコンプライアンス的に難しそうなシーンも、できるだけ原作どおりに描いて下さいとお願いしています(笑)。当時、観ていたお父さん、お母さんにも懐かしんで楽しめる作品になっているので、ぜひ親子で観ていただけたらと思います」

アニメーション制作を担当するのは、『ジョジョの奇妙な冒険』の第1部〜第3部をテレビアニメ化し、原作ファンからも高い評価を集めたdavid production
PVでの集中線を多用した描写からも、原作のイメージをアニメでも表現しようという意志が伝わってくる。

新しくも懐かしいアニメ『キャプテン翼』。
2018年ワールドカップロシア大会、2020年東京オリンピックと、サッカーのビッグイベントが続くだけに、ブームの再燃を期待したい。
(取材・文=丸本大輔)

<『キャプテン翼』ポータルサイト>
「ボールは友達.com」

<スタッフ>
監督:加藤敏幸
(「レベルE」監督、「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない」シリーズディレクター)

シリーズ構成:冨岡淳広
(「ポケットモンスター シリーズ」シナリオ)

キャラクターデザイン・総作画監督:渡辺はじめ
(「銀河へキックオフ!!」「おじゃる丸」キャラクターデザイン)

音楽:松尾早人
(「ジョジョの奇妙な冒険」「ファイナルファンタジーXII」アニメ音楽・ゲーム音楽)

音響監督:岩浪美和
(「ジョジョの奇妙な冒険」「ガールズ&パンツァー」他 音響演出)

アニメーション制作:デイヴィッドプロダクション
(「ジョジョの奇妙な冒険 シリーズ」「レベルE」制作)

<キャスト>
大空翼 役:三瓶由布子
若林源三 役:鈴村健一
岬太郎 役:福原綾香
石崎了 役:田村睦心
日向小次郎 役:佐藤拓也
ロベルト本郷 役:小西克幸

(c)高橋陽一/集英社・2018キャプテン翼製作委員会