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大坂なおみ「勝ってごめんなさい」は日本人的なのか?英語学校の先生に聞いた

2018年9月12日 09時45分 ライター情報:小村トリコ
全米オープンテニスで優勝した大坂なおみ選手。
ブーイングが響く表彰式で、”I'm sorry it had to end like this."(こんな終わり方でごめんなさい)と言ったことが、日本人らしい行為だとして世界中で賞賛を呼んでいる。

アメリカ人は謝らない。日本人は空気を読んで謝る。
よく言われることだが、本当にそうなのか。
アメリカの大学院で応用言語学を学び、現在は青山の英語スクール「FORWARD」代表を務める石渡誠(いしわたまこと)さんに話を聞いた。
「FORWARD」代表の石渡誠さん

”I'm sorry”が持つ2つの意味


──大坂なおみ選手の「ごめんなさい」発言に対してどう思われますか。

石渡 I'm sorryという言葉は、日本語と英語で微妙にニュアンスが異なります。英語の場合、意味が2つあるんです。ひとつめは「同情」のsorry。「残念ですね」や「お悔やみ申し上げます」のときに使います。たとえば友人の猫が死んでしまったと聞いて、I'm sorryと返したり。それはかわいそうだね、と相手の気持ちに寄り添って言うんです。

──なるほど。謝罪とは違いますね。

石渡 そう、自分は悪くないというのがはっきりしている。だから「ごめんなさい」と直訳するとおかしなことになってしまいます。もうひとつのsorryは非常に深刻で、自分に罪があると認めた場合です。悪いことをして「申し訳ありません」と相手に謝るときに使います。

──それはどうやって見分けられますか。

石渡 ポイントは音です。どういう言い方をしているかでsorryの程度がわかります。同じ謝罪の意味であっても、上がり調子で言ったら「あ、ごめんね」という軽い感じで。単純に文字だけではとらえられないですね。

──大坂選手の発言はどちらだったのでしょうか。

石渡 英語的に考えると、「こういう結果になってしまってすみません」です。それは、結果的にファンが期待していたものと違う決勝戦になってしまったから。相手の罰則で勝ってしまって、いい試合にならなかった。セリーナ選手に同情しているわけでも、自分が悪いと思っているわけでもないのでは。でも、これは一般的な英語ネイティブスピーカーの答えではないですね。

「謝る」は日本の美学


──英語ネイティブなら普通は何と言うのですか。

石渡 おそらくI'm sorryという言葉はまず出てこない。同じような意図で謙譲的に言う場合であっても、通常はsorryではなくthank youを使います。

ライター情報

小村トリコ

フリーライター。米シアトルの新聞社を経て東京へ。日本の伝統と、日米のカルチャーギャップが最近の研究テーマ。お坊さんを追いかけています。
Twitter:@torikomura

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