動物と触れ合うスポットで、肉料理を出す理由
「遊び」も「食」も、どっちも楽しみたいですね。
今年の夏休み、家族などで高原や牧場に行った方も多いのではないでしょうか。

高原や牧場で飲む、搾りたての牛乳や、牛乳で作ったソフトクリーム、チーズなどは、格別に美味しいもの。

でも、動物と触れ合うこうしたスポットで、いつも不思議に思うのは、「搾りたて牛乳」どころか、レストランに「肉料理」を出しているところが、けっこうあるということ。

牛と触れ合った後に、新鮮な牛乳を飲めるのは、なんとも贅沢な気分だけれど、「肉」はちょっと別。牛と戯れた後に、牛肉を食べるとかって、ホントは心情的にどうなんでしょう? それはそれ、これはこれ?
また、動物と触れ合うスポットのレストランで提供する肉は、そこで育った動物の新鮮な肉だったりするの?
もちろん日ごろから、動物の肉を食べて、命をいただいているわけではあるけれど、さすがに「この子たちがもしや……」と思うと、ちょっと気がひけてしまうけど……。
たくさんの動物と触れ合える人気スポットの一つ・マザー牧場に問い合わせてみた。

「こちらではレストランで『ジンギスカン』として、牛肉、ラム肉をお出ししています」と、窓口担当者は言う。その肉の「出身地」を聞いてみると、食堂に確認したうえで、こんな回答をくれた。

「ジンギスカンに使用しているラム肉・牛肉は、こちらで育った羊や牛ということではなく、基本的に外国からの輸入です。具体的には、ニュージーランド産やオーストラリア産が多いですね」

「マザー牧場出身」の肉じゃないことに、なんとなくホッとしてしまったが、それでは、なぜあえて「肉料理」を出しているのでしょう?
「やはり牧場ですので、牧場ならではの体験をしていただけるよう、触れ合いスポットを設けたり、羊のショーなどもやっております。レストランに関しましても、やはり『牧場らしさ』を感じさせるものとして、ジンギスカンが人気です。ファミリーなど、みんなでワイワイと楽しく食べられるという理由もありますね」
やっぱり「遊び」と「食」とは別であり、どちらも「牧場らしさの演出」ということのよう。

「一緒に遊んだ牛や羊を食べるわけではないから、まあいいか」という問題ではないのかもしれないけど、それでもやっぱりちょっと安心。

ちなみに、牧場で食べるジンギスカンはやっぱり美味いです。

(田幸和歌子)