黒木瞳がパーソナリティを務めるニッポン放送「あさナビ」(2月15日放送)に作詞家・プロデューサーの秋元康が出演。ニッポン放送で仕事を始めた経緯について語った。

秋元康 高2でニッポン放送で仕事を始めることになった「なぜだ...の画像はこちら >>

秋元康 / 作詞家・プロデューサー  (C)kurigami

黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「あさナビ」。2月14日(火)~2月17日(金)のゲストは作詞家・プロデューサーの秋元康。3日目は、ニッポン放送で仕事を始めたきっかけについて

黒木)秋元さんは、ニッポン放送が最初のお仕事なんですって?

秋元)そうなのです。人生には「なぜだかわからない瞬間」があるではないですか。

黒木)なぜだかわからない瞬間、ありますね。

秋元)高校2年のときに、募集していたわけでもハガキ職人でもないのに、自分で台本を書いてニッポン放送に送ったのです。それを放送作家の奥山侊伸さんという方と亀渕昭信さんが読んでくださって、「面白いから遊びに来い」と言われたのがきっかけなのですよね。

黒木)そのころの秋元さんの夢は何だったのですか?

秋元)そのころは、官僚になることでした。

黒木)官僚ですか(笑)

秋元)当時は、東大文一に行って、大蔵省(現在の財務省)に入って……というのが、親が喜ぶようなコースだったのではないですかね。

黒木)なるほど。

秋元)子どもだから詳しくはわかってないですよ、そのように頑張らなくてはいけないと思っていたのではないですかね。

黒木)そのころのご自分に言ってあげたい言葉は?

秋元)「流れのようにやるのがいいよ」と。

つまり、自分でああなりたい、こうなりたい、ということも大事だけれども、人間には運やタイミング、出会いがあるから、それを信じていくということではないですかね。

黒木)「あれやりたい、これやりたい」というだけではなくて。

秋元)黒木さんだって、節目、節目で、いいタイミングあるいはいい人と出会っているではないですか。それが必ず何かになっているのですよね。自分では抗えない何か、運命の流れのようなものがあるから、それに抗うだけではなくて、「流れるように進んでいく」ということが大事なのではないでしょうか。

黒木)それが大ヒットした、『川の流れのように』の歌詞につながっていくのですか?

秋元)そうですね、若いころにたまたまヒットが出て、次々とヒットするから分不相応な印税を貰って、勘違いするわけですよ。そうすると、「メッキが剥がれちゃうから、ニューヨークに行こう」と思ってニューヨークに行ったのです。

黒木)ニューヨークに行かれましたね。

秋元)ニューヨークで暮らしているうちに、望郷の念で「あぁ、日本に帰りたいな。このイーストリバーも日本につながっているのだな」と思うと、それが自分の人生や川や流れにつながっていましたね。

秋元康 高2でニッポン放送で仕事を始めることになった「なぜだかわからない瞬間」

黒木瞳

黒木)作詞家でもいらして、これまで作詞された曲は4500曲以上。歴代作詞家のなかで日本一。

秋元さんがお出しになられた、『こんなに美しい月の夜を君は知らない』という自選歌詞集、出てすぐに買いました。

秋元)ありがとうございます。

黒木)心の琴線に触れる言葉がたくさんあるのですよね。

秋元)ありがとうございます

黒木)おかしいですね、秋元さんの作品を褒めていたら、「私、何様?」という感じで。失礼しました。

秋元)そんなことないですよ。僕も、30年くらい前の「月刊カドカワ」で黒木さんがお書きになっていた連載、毎月楽しみに読んでいましたよ。

黒木)ありがとうございます。

秋元)不思議だなと思うのは、文章は流れとテンポがあるから、句読点も含めて気持ちよく読める文章とつっかえながら読んでしまう文章とあるではないですか。黒木さんの文章はセリフのように「スッ」と入ってきたのを覚えています。

黒木)『こんなに美しい月の夜を君は知らない』というこのタイトル、綺麗ですよね。

秋元)苦しいときや悩んでいるときって、人は頭上に美しい月があることを忘れているではないですか。

人生はいつも、目の前にあることに追われているけれど、美しい月はいつも輝いているのではないかなと思うのです。

黒木)素敵な言葉を頂きました、ありがとうございます。

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秋元康 / 作詞家・プロデューサー  (C)kurigami

秋元康(あきもと・やすし) / 作詞家・プロデューサー

■高校時代にニッポン放送で放送作家としての活動をスタート。
■1985年に始まったテレビ番組「夕やけニャンニャン」の構成を担当し、その後もとんねるずのバラエティ番組など数々の人気番組を手掛ける。
■また様々な人気番組の構成を担当しつつ、作詞家としても活動を開始。30歳のときには美空ひばりの大ヒット曲「川の流れのように」を作詞。
■2000年代以降は、プロデューサーとしてAKB48グループや坂道シリーズを手掛け、社会現象ともいえるムーブメントを巻き起こす。
■2010年には日本放送作家協会理事長に就任。
ドラマの企画や脚本も担当し、エンタメ業界を長きにわたって発展・けん引してきた。
■『オールナイトニッポン55周年記念 オールナイトニッポン55時間スペシャル』(ニッポン放送 2月17日(金)18時~19日(日)25時)では、エグゼクティブプロデューサーを務める。

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