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 東京ドームには来場したファンの熱気が渦巻き、場内は祝祭の空間と化しました。

 2月26日にスケーター史上初の東京ドーム単独公演「GIFT」を行った羽生結弦さんです。

この日だけのために東京ドームのグラウンド上に用意された特設リンクでは、12演目を熱演。観衆は3万5000人とチケットは完売し、映画館ではライブビューイングが行われ、韓国、香港、台湾も含め3万人が同時視聴するビッグイベントとなりました。

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 昨年7月にプロへ転向した羽生が繰り広げた極上のエンターテインメントに、終演後はSNSも沸騰。「羽生結弦」「東京ドーム」といったワードが次々にトレンド入りし、胸を熱くしたファンが感想を語り合い、老若男女問わず多くの人々が羽生結弦の凄味、尊さを実感する一日になったのです。

 翌朝のスポーツ各紙はこの模様を大展開で詳報。スポーツ報知、デイリースポーツ、東京中日スポーツはいずれも一面(東京本社版)で報じました。

「おかげさまで飛ぶように売れました。コンビニは売り切れ続出で、会社にはバックナンバーの問い合わせが相次いでいます」(スポーツ紙社員)と各紙が「羽生特需」に沸き立つ事態になったのです。

 となると、気になるのはあの新聞がこの「2・26」をどう報じたか、です。その新聞とは辛口で知られる日刊ゲンダイ。旺盛な批判精神のもと、政治、エンタメ、スポーツなど、独自の視点から果敢に斬り込む報道姿勢で知られています。

 昨年12月8日の報道では、羽生の東京ドーム公演に噛みつき、識者の談話から「東京ドームはあまりふさわしい場所とは思えません」と疑問を呈していました。


 ところが、羽生は結果的に東京ドームのスケール感を最大限に生かす演出で、会場に詰めかけた3万5000人を魅了。「ふさわしい場所」にしてしまったのですから、日刊ゲンダイがこの事象をどう報じたのか、気になるのも当然でしょう。

 一夜明け、日刊ゲンダイを開いてみます。一面は「41年ぶりの物価高に政府・日銀の無力・無能」。さすがに羽生さんではありません。最終面は「誠也負傷 侍J不安露呈」。

ならば中面のスポーツ面か、あるいはエンタメ面か。ところがページを開いても開いても、羽生さんの東京ドーム公演に関する記事は見つかりません。

 この日の28ページで、当該記事は一切なし。朝の情報番組やニュースでも大きく取り扱われたビッグイベントに関する言及は、ゼロでした。

 スポーツ紙デスクが言います。

「一般論で言えば、一度苦言を呈したならば、ちゃんと見た上で報じるのがメディア側の責任ですよね。

あれだけの事象が起きているのに、ゼロ行はないでしょう」

 史上初の東京ドーム公演に疑問を呈した日刊ゲンダイが、今回の成功を今後どう報じるのか。あるいは無視を決め込むのか。一つの見所と言えそうです。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]