オスナの手から離れたバットが川上拓斗審判員の左側頭部を直撃した(C)産経新聞社

 不幸なアクシデントは撲滅できるか。日本野球機構(NPB)とプロ野球12球団による実行委員会が5月11日に都内で行われ、「危険スイング」について退場などの罰則規定を設けた。

12日のペナントレースから即適用される。

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 今季は打者のバットが審判員に当たり負傷させてしまうケースが散見されていた。特に4月16日のヤクルト-DeNA5回戦(神宮)では、ヤクルトのオスナがスイングした際に、手から離れたバットが球審を務めていた川上拓斗審判員の左側頭部を直撃。緊急手術を受け、一時は集中治療室(ICU)に入る事態となった。その後、川上審判員は一般病棟に移ったものの、現在も意識は回復しておらず、治療が続いている。

 スイング途中にバットを投げ出して他者を脅かすような行為を「危険スイング」として定め、ペナルティーは3段階設けられた。故意がどうかは問わず、すっぽ抜けた場合も危険スイングとして扱う。

 ①バットが他者に当たらなかった場合は「警告」
 ②試合中、同じ打者が2度目の警告対象となった場合は「退場」
 ③バットが他者に向かって体に当たる、またはスタンドやダグアウトなどのボールデッド区域に入った場合は「即退場」

 野球規則の改正ではなく、12球団とNPB間で定めるアグリーメント(申し合わせ事項)の内規として運用される。

 野球界ではさまざまなルール変更や運用の変更が相次いでいるが、特に変革の歩みの遅さが指摘されているのが日本球界だ。メジャーリーグの新ルールなどは1年、2年遅れで採用されるものがほとんど。ところが、今回の運用は満場一致でスピード導入された。それほど川上審判員の事故によるショックが大きく、球界内外で変更が必要という思いが強く働いた証拠だ。

 プレーヤーたちに対しての注意喚起という側面も強い。外国人選手など、フォロースルーが大きな選手のバットが、捕手に当たるアクシデントもある。今回は振り切ったバットが捕手に当たった場合は罰則の対象にはならないが、「同様に危険」と指摘する声も少なくないという。こちらは継続審議となった。

 ネット上にあふれるファンからの声も、「この素早い決定は評価できる」「NPB実行委員会、よくやりました」「いい落としどころじゃないか」と、変革に至るまでのスピードを評価するものが多く見られた。命の安全がおびやかされるアクシデントは、もう誰も見たくはない。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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