2015年秋ドラマは、池井戸潤原作『下町ロケット』(TBS系)の一人勝ちだった。スカッとするストーリー展開も魅力的だが、主演の阿部寛ほか、吉川晃司今田耕司世良公則キングオブコメディ今野浩喜高島彩など幅広い分野から起用されたキャスト陣も好評。
同作は元宇宙科学開発機構の研究員だった主人公・佃航平(阿部)が、ライバル会社や巨大な壁に阻まれながらも仲間たちとともに努力していく姿を描いた。

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 キャスト陣の評価が高かったのも2015年秋ドラマの特徴だった。『エンジェル・ハート』(日本テレビ系)は、人気漫画『シティーハンター』の世界観を基に新たなパラレルワールドとして北条司が描いた同名漫画のドラマ化作品。主人公・冴羽獠を演じた上川隆也は「再現率が高い」といった声も多く、原作ファンから多くの支持を獲得。ヒロイン・香瑩役に抜擢された三吉彩花も十分な存在感を放っていた。

 人気シリーズ『相棒 season14』(テレビ朝日系)では、新相棒として起用された反町隆史のケレン味あふれる演技が高評価。『サイレーン 刑事×彼女×完全悪女』(フジテレビ系)では菜々緒の悪女っぷりに注目が集まった。助演の魅力が光ったのも同クールの特色である。 また、このシーズンも医療ドラマが強かった。綾野剛主演の『コウノドリ』(TBS系)は、これまであまり取り上げられることのなかった産婦人科が舞台。妊娠・出産のリスクや苦難がリアルに描かれ、女性からの共感を得ていたようだった。同作と対照的で刺激的だったのが『監獄学園‐プリズンスクール‐』(TBS系)。
AV監督の経験もある鬼才・井口昇が名シーンと言われる「尻問答」を見事に描ききっていた。

 10月からスタートしたNHK連続ドラマ小説『あさが来た』は高視聴率をが続いている。10週連続で大台の20%を突破する好調ぶりで、12月4日には27.2%を記録。『花子とアン』『あまちゃん』の最高視聴率を破り、『ごちそうさん』の27.3%に肉薄している。同作は朝ドラで初めて幕末からスタートした作品で、大阪財界で“女丈夫(じょじょうふ)”として知られた広岡浅子がモデル。主人公・あさ(波瑠)と農家に身を寄せる姉・はつ(宮崎あおい)のコントラストが人気の一因となっている。今後の展開も期待ができそうだ。

 平均視聴率(民放のみ)だけで見るとTBS「日曜劇場」枠のワン・ツーとなった2015年のドラマ。しかし、各局とも話題作が多く、鮮明に記憶されている作品も多いのではないだろうか。2016年もドラマ豊作の年であって欲しい。(文:梶原誠司)
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