俳優ジェイク・ギレンホールが、ますます面白い。『ナイトクローラー』で狂気に駆られた男を熱演し、英国アカデミー賞やゴールデン・グローブにノミネートされたかと思えば、6月3日に日本公開となる『サウスポー』では、すっかりとプロのボクサーになってみせているのだ。


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 日本では『サウスポー』より先に公開された『エベレスト 3D』で実在の人物に挑戦し、昨年のトロント映画祭のオープニング作品だった『Demolition(原題)』では、妻を突然の交通事故で亡くして、自分を見失ってしまった男を名演している。最近は、トム・フォードの監督第二弾となる映画を撮り終えたところ。ブロードウェイの舞台でも高い評価を得た。

 インディーズ映画『ドニー・ダーコ』で光るものを見せたのは、2001年のこと。2004年にはローランド・エメリッヒ監督の『デイ・アフター・トゥモーロー』で初めて娯楽大作の主役に抜擢され、その翌年の『ブロークバック・マウンテン』ではオスカーにノミネートされた。そんなふうに着実にキャリアを伸ばしてきた彼は、今、まさに役者として成熟を見せている感じなのだ。


 そう指摘すると、本人は「いや、役者としてよりも、人間として成熟してきたんだろうね」と謙虚さを見せる。「僕は、いつもそちらを重視してきた。人間として成熟すれば、仕事もそっちのほうについてくるはずだと。それに、僕の成功の定義は、社会が信じる定義とは違う。自分自身を知り、仕事の技に磨きをかけていくことこそ、成功だ」と本人へのインタビューで語ってくれた。 『サウスポー』のアントワン・フークア監督は、インタビューでギレンホールのことを「情熱に満ちていて、どんな努力も惜しまない俳優」と褒め称える。
この役の準備のために、半年間ボクサーとして生活をしたが「そのせいで、彼は恋人と別れることにもなったよ。彼が全然一緒にいてくれないから」とも教えてくれた。

 過去にはキルステン・ダンスト、リース・ウィザスプーン、テイラー・スウィフトなどと交際したが、仕事がますます順調な今、長く恋愛関係を保っていくのは、さらに努力が必要とされるかもしれない。それは、本人も認めるところだ。

 「仕事に夢中になりすぎると、大事な人たちと時間を過ごせなくなる。恋愛や家族を、犠牲にしてしまうよ。
自分自身のこともね。でも、それは避けられないんだ」と言いつつも、スクリーンでいつも驚かせてくれる彼のこと。突然にして最高の相手を見つけては、プライベートでも驚かせてくれるかもしれない。(文:猿渡由紀)