今が旬のシジミ。定番のシジミ汁は独特のうまみがあっておいしいが、身が小さくて食べづらいのが難点。
私は身も全部取り出して食べるのだが、まわりでは汁は飲むけれど身は食べないという人がけっこういる。そこで、友人・知人ら30人にシジミの身を食べるかどうか、また、その理由を聞いてみた。

●全部食べる:16人 
「貝が好きだから」「もったいない」「食べ物は無駄にしちゃいけない」
●少しだけ食べる:8人 
「面倒だから」「大きくてめぼしいものだけ食べる」
●まったく食べない:6人 
「ダシをとるためのものと思っている」「親が食べないから自分も食べない」

約半分の人が汁は飲むけど身は残すという結果になった。

では、汁を飲むだけでもシジミの栄養は十分摂れるのだろうか。
シジミの産地である島根県・宍道湖で、水質や水産資源の調査をしている島根県水産技術センター・内水面浅海部内水面グループの方に聞いてみた。

お話によると、シジミ独特のうまみのもとは、シジミに豊富に含まれているグルタミン酸などのアミノ酸やコハク酸で、これらは汁の中に溶けだすとのこと。そのため、うまみ成分の溶けだした汁がおいしく感じられるのだ。しかし、シジミには体のバランスを保つのに不可欠なミネラルも含まれていて、それらの一部は汁に溶けだすものの、そのほとんどは身に残るということがわかった。

実はシジミにはたくさんのミネラルが含まれている。同じ貝類のアサリと比較すると、カルシウム、鉄、亜鉛、リン、銅、マンガンの6種類の含有量は、シジミの方がアサリを上回っている。たとえば、カルシウムや亜鉛はアサリの約2倍。鉄は1.4倍多く含まれている(「五訂増補日本食品標準成分表」をもとに算出)。


ちなみに、内水面グループで働いている方は全員、シジミの身は全部食べるそう。「島根県民のほとんどは身も全部食べるのではないか」ともおっしゃっていた。

うまみを出してしまったあとの身にも、ミネラルという大切な栄養を含んでいるシジミ。身を取り出すのは確かに面倒だけれど、身(人間)のため、シジミのため、最後までおいしくいただくほうがよいのかもしれませんね。
(ミドリ)
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