そろそろ、寒くなってきた。ちょっと、暖房を付けたくなることも……。
だが、今年からは考え方を変えていくべきだろう。そんなに、無闇に電気を使わない。例えば、室内でアウターを羽織ってみたり。湯たんぽを利用するのも、いいかもしれない。

そして、コレがちょっといいのだ。潜熱蓄熱材を使用した製品開発に取り組んでいる「ネギシ」が、11月中旬より発売する『エネCATCH』。
これは、様々な熱を吸収し、それを蓄える暖房アイテムである。
実はこの商品、窓辺の日差しやお風呂の残り湯から、余った熱を吸熱できるという。そして、その熱を体温に近い温度にして長時間キープしてくれるのだ。これを我々はひざ掛けにしたり、布団に敷いたりすればいい。要するに、既存の“熱”を再利用する蓄熱シートとお考えいただきたい。

このような暖房アイテムを開発したきっかけについて、同社に伺ってみた。

「以前、当社で病院に訪問した時でした。その際は、私どもの蓄電式あんかを病院に活用してもらおうと考えていたのですが、ちょうど計画停電が実施されていた時期でもあったんです。電気使用に対して、不安がある時期でした」(同社・根岸社長)
そしてその病院では、お風呂の残り湯を詰めた湯たんぽを使用していたそうだ。

これが、「ネギシ」の一つの契機となった。かねてより「お風呂のお湯のために、せっかく作りだした“熱”を再利用しないのはもったい無い」と考えていた同社が、新たな暖房アイテムの開発に着手するようになった。電気を使わず、お年寄りにも使い勝手の良い、暖房アイテムの開発である。


では、このシートの使い方について。まず、窓際に置いたり、お風呂場の残り湯に浸したりする。こうすると、太陽やお湯の熱などを吸収し『エネCATCH』自体が温まる。結果、一定温度に達するとシートの表示が青からピンクに変色(冬場の太陽熱だと2~3時間、約40度のお湯だと30~40分でピンク色に変色)。
その後、布団の足元や腰、背中、肩部などに当てると、もう快適だ。何しろ、38度くらいのちょうど良い温度を、5時間程度は保ち続けるというのだから。


……とザックリと説明してしまったが、完成に至るまでは苦労も多かった。問題となったのは、“堅さ”である。このアイテムには、床暖房に使用する材料が用いられているのだが、それをそのまま使うと問題が発生する。
「酢酸ナトリウムという、冷えると堅く結晶になる物質を使っております。床下に使用する際は堅いままでもいいのですが、人肌に触れる商品と考えると快適ではないですよね」(根岸社長)
堅い状態でお年寄りが利用すると、あまり脂肪のない皮膚と接触して心地よくない。そこで同社は緩衝剤などを加え、温めても覚めても柔らかい状態をキープできるように改良してみせた。
実用的な形としての商品化に成功したのだ。

では、このアイテムはどのような場所で活躍するのだろう?
「まず、医療関係の現場においてご使用していただきたいです。あと、やはり被災地ですよね。そして、これからは一般の方にもご活用いただけるアイテムだと思っております」(根岸社長)
今後、我々の生活の中で“節電”というキーワードは欠かせないものとなってくる。だからこそ、電気を使わずに快適になれる暖房アイテムとして重宝するのではないだろうか。これからの新しい生活様式の中で、スタンダードな物になっていければ……。
そのように、同社は考えているのだ。

そんなこの『エネCATCH』は、同社のホームページにて11月中旬より販売されている。価格は7,245円(税込み)。

それにしても、深い意義を持った開発ではないか。だけど、もっと気軽に考えてみてもいいかもしれない。「新しい、電気不要の暖房アイテムが出たんだ!」と、そのくらいの考えで日常使いしても便利だと思うし、それが結果的に意義ある行いに繋がる。
そんな、新しい暖房アイテムです。
(寺西ジャジューカ)