「『もっと縛ってください』って言ってごらん?」
こ、こ、言葉責めだーーーーー!
SM的なお店に行ったわけじゃないんですよ、「アートとデザインの祭典」デザインフェスタに行っただけなんですよ。
デザフェスはアジア最大級のアートイベント。5/12と5/13に東京ビッグサイトで開催されていた。出展ブースは3000以上。
ネバアランドのお洋服見たいなあ、オシャレなTシャツあるかなあ、イヤリングとか買いたいなあ、湘南ビール飲みたいなあ、と館内を歩き回っていたら、とんでもないものに出会ってしまった。
「東京棲んでるガールズ」の、“緊縛体験”!
思わず二度見した。
黒に赤ラインのセーラー服を着て、黒いツノを装着した美人のお姉さんたち(縄師&お針子)!
現在進行形で縛られているカワイイお姉さん(赤い縄で亀甲縛り)!
草食系とムッツリ系の中間を行くようなイケメンメガネのお兄さん(活弁士)!
お兄さんが掲げているプレートには、「緊縛体験」の四文字が。50人ほどいる見物客は、一心に写真を撮っている。
「緊縛体験では、“恥ずかしい”をデザインしています!」
縄師のお姉さん(ハビコさん)がチャキチャキとお客さんを縛り、お針子のお姉さん(ひるこさん)が受付をする横で、活弁士のお兄さん(しんろくさん)が淀みなく喋る。
「縛るだけでも、喋るだけでも、このデザインは完成しません」
「あなたの“視線”が必要です!」
「エロい目で見てもいいです。気持ち悪いと思ってもいいです。やってみたいなでも、ありえないでも構いません。その感情を露わにして、縛られている人を見てください!」
縛られているのは一般のお客さん。
緊縛体験に参加するのは、圧倒的に女の人が多い。たくさんのおっぱいとたくさんの手足が縛られていた。
これまでの人生の中で、おっぱいを見る機会はわりと多かった。でも縛られるおっぱいを見たことはあんまりない。SMものAVの鑑賞経験ならあるけれど、それはあくまでも画面の中の出来事だ。
でも緊縛体験は違う。さっきまで隣にいた人が目の前で縛られていく。赤い紐で締めつけられていく普段着! 日常おっぱいが、非日常おっぱいに変わっていく。
その間にも、しんろくさんの喋りは止まらない。
「この広いビッグサイトの中で縛られている人はひとりだけです!」
「縛られている女を見る時、人はこういう目をするんだよ!」
「三時間ずっとこのブースで見物してる人もいます! 認めろ! それは変態だよ!」
最後に、ハビコさんが紐をギュッと引く。バーン!と強調されるおっぱい! ぎゅっとしてばーん! 思わず拍手!
もちろん縛られたのは女性だけじゃない。男性もいる。あの鳥肌実も縛られてた!
近くのブースでサイン会を行っていた鳥肌実。サイン会終了後、まさかの緊縛参戦! 上半身裸でサクサク縛られていったという。
見たかった……ずっとブース前で見張っていればよかった……。鳥肌実と緊縛、ハマりすぎてる。三島由紀夫か!
しんろくさんたちの言う、「“恥ずかしい”をデザイン」は、あの“場”にいたときはわかったような気がした。でももしかしたらあの胸の高鳴りは、エロいものを見たドキドキにすぎなかったのかもしれない。
だけど、目に焼き付いた光景がある。
縛られているのは、脳波で動くネコミミをつけたお姉さん。このネコミミは、リラックスすると耳がぺたんとなり、緊張するとピンと立ち、リラックスと緊張が同時に起こる集中状態に入るとぐるぐる回る。
縛られ始めのお姉さんは笑顔で、余裕たっぷり。耳もぐるぐる動いている。
でも、縛られて、言葉で羞恥を煽られて、写真を撮られまくっているうちに……笑顔が強ばり、頬がほんのすこし紅潮し、耳もピンと立ったまま動かなくなってきた。
しんろくさんが言う。
「今、この子をこういう気持ちにしているのは、あなたたちの視線です!」
ちなみに私は、緊縛体験ができなかった。ものすごーくやりたかったけど、あと一歩の勇気が出なかったのだ。
なにせ見物客の皆さんの反応がむちゃくちゃ正直。可愛くておっぱいの大きい女の子が縛られているときと、男の人やあんまり可愛くない女の子が縛られているときのテンションが違いすぎる。この反応の差もデザインの一部なんだよなあ。
お買い物をしてもよし、飲み食いしてもよし、縛られてもよしのデザインフェスタ。次回の開催は11月だ。それまでにせめてあと4kg痩せたいです!(青柳美帆子)