ーーなるほど。
河森 それで、13代目前田敦子に突然指名された女の子がヒロインの話を考えて、企画を提出したら、ゴーサインが出たんです。
ーー9人の研究生たちが主人公になっている現在の作品とは、かなり違いますね。
河森 はい。企画が通ってから、初めて劇場へ行ったり、握手会に行ったりといろいろ直接取材をしたんですけど。劇場の公演を見ていて、メンバーが忙しくて来れない時にアンダー(代役)で入った研究生の子の動きが、すごく良かったんですよ。研究生の子でも、こんなにすごいんだと驚きました。そんな事があったので、すでに襲名しているメンバーを中心に描くよりも、研究生で入った子たちが上を目指す、そのプロセスを描く方が面白いし、“成長を見せる”というAKB48のコンセプトにも合うと思ったんです。最初は、研究生3人くらいに競わせるつもりだったのですが、最終的には9人になって。自分たちの首を絞めてしまいました(笑)。
ーーこの襲名システム、最初はキャラ設定として面白いなと感心していたのですが。物語が進んで、たかみな(5代目高橋みなみ)と、75期研究生の東雲彼方の関係が描かれる中、この作品のドラマ部分の核を成す設定なのだと分かってきました。
河森 そう、核になるんですよね。襲名制という現実のAKB48にはないシステムを持ち込んで、そこをどう描けるかが勝負という部分もありました。そのあたりについて、脚本の岡田(麿里)さんや監督の平池(芳正)さんと相談していた時期、たまたまHKT48 の旗揚げ公演初日と、広島の握手会を取材に行ったんですね。そこで、運営スタッフの人から聞いたエピソードがすごく面白くて。ある出演メンバーが体調不良でステージに出られなくなって。急遽アンダーに指名された子が、そのメンバーのダンスや歌を急いで確認し、衣装を着て、開演を待ってたんです。そうしたら、開演直前に、体調を崩していたメンバーが戻ってきて、「衣装を脱いで」と。

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