パリでハンバーガーを食べる。はっきり言って「今さら」感が満載である。なぜならフランスの主要なメディアでは「おいしいハンバーガー、トップ10」というような特集を何度も組んでいるし、日本人観光客にとっても「フランスでハンバーガー」というのは、1つの選択肢になりつつある。

よって、どの店舗のハンバーガーがおいしいといった議論は、エキスパートのそれら媒体に任せるとして、コネタではフランス(欧州)のハンバーガーと日本のそれとの違いを探してみた。そこにはハンバーガーの出生の秘密があった。

フランスのレストランでハンバーガーを注文するとき、大抵はステーキのように「レア(フランス語ではセニャン)、ミディアム(ア・ポワン)、ウェルダン(ビアン・キュイ)」の3種類を伝えなければならない。大手ファーストフードチェーンの場合、ハンバーガーのパテはどれも同じ焼き加減(ウェルダン)で提供されるが、フランスではお高めなレストランでなくとも、ハンバーガーを注文する際は焼き加減を言う。

もちろん日本でも、このように提供しているレストランもあるが、「挽肉で生肉はちょっと……」という固定観念を持っていた私は、それをたずねられた際、最初はバンズの焼き加減かと思ってしまった。半生ハンバーグに抵抗感を覚える日本人も多い一方で、なぜフランス人はすんなり受け入れられるのか? 答えはシンプル。そもそもハンバーグは生だったのだ。

欧州には、生肉をたたいて挽肉にしてから塩や胡椒で味付けし、卵黄などをのせたタルタルステーキというユッケのような料理がある。日本ハンバーグ・ハンバーガー協会によれば、ハンバーグの起源はこのタルタルステーキだそうだ。13世紀頃、モンゴロイド系騎馬民族タルタル人が欧州へ侵攻した際、食べていた肉料理が伝わりタルタルステーキになったという。

つまりハンバーグは元来生なので、焼き加減がミディアムだろうとレアだろうと意に介さない。日本人的には、ユッケを少し焼いたようなものと思えばいい。抵抗感もずいぶん和らぐはずだ。それがパンに挟まれた時も同様で、じつはミディアムの方が肉汁たっぷりでおいしい。

ちなみに日本のハンバーガーは、戦後、佐世保などにある米軍基地周辺の飲食店で作られており、1970年には東京都町田市にドムドムバーガーが開業。翌年には銀座にマクドナルドの1号店が開き、現在に至っている。
(加藤亨延)