観衆が手に汗握るような凄まじい戦いを日々繰り広げている彼ら。ところが、最近インターネットを中心に注目が集まっている名人戦、竜王戦、電王戦などの対局で観るように、ヒゲを生やしている棋士をほとんど見ない。現代は棋士といえどもヒゲを生やすことをはばかる風潮または慣習があるのだろうか。そこで僭越ながら、「どうして、ヒゲを生やした棋士が少ないのか」という疑問を棋界に聞いてみることにした。
「棋士に限らず、一般的に少なくなっているのではないでしょうか」(日本将棋連盟)
確かに、ビジネスマンはもちろん、政治家、実業家、学者、研究者、スポーツ選手といった特殊な職業の人にも常時ヒゲを生やしている人は意外に少ない。ところで、棋界でとくに身だしなみについて規則などがあるのか。
「特にこうでなければという規則はありません。一般常識の範囲内で、ということだと思います」
そう、ヒゲ、髪型、服装といった外見にルールがないにもかかわらず、みな判で押したようにカジュアルではなくスーツを着て、長髪にすることもなく清潔な髪型をしている。棋士というのは何と常識を弁えていることか!
では、過去にヒゲを生やした棋士はいなかったのか。