「新・牡丹と薔薇」(東海テレビ、フジテレビ 毎週 月〜金 ひる1時25分〜)1月19日(火)第33話「天地がひっくり返る!?」より 原作・脚本:中島丈博 演出:藤木靖之
富貴子の幸せを阻む二子玉のママの悪意「新・牡丹と薔薇」33話
イラスト/小西りえこ

悪魔のささやきと理性の葛藤


雨降って地固まる。富貴子(黛英里佳)の荒療治によって、美輪子(逢沢りな)は富貴子とすっかり固い姉妹の絆で結ばれました。

もはや、ふたりの悩みは、ケーキを食べるか食べないかというたわいないものに。
スイートなケーキの誘惑に「悪魔のささやきと理性の葛藤はジレンマよねえ」と困る富貴子。この台詞が、このドラマの核になっているようにも聞こえました。

精神状態はよくなったと皆をホッとさせる美輪子でしたが、清塚雅弘(中山卓也)と別れたいので(そもそもそれほど好きじゃなかった)、瀬尾綱輝(片岡信和)に間に立って話をしてきてほしいと頼み、やっぱり頭、大丈夫? と心配になる言動を吐きます。
彼女の言い分を聞いて、「誘惑した? 好きでもないのに?」と目を丸くする瀬尾は、ゲスな女と遊んでいた時とは打って変わって、すっかり好青年で、「美輪ちゃんの言ってること、正当性があるのかな」とたじたじ。
正当性なんかあるわけないじゃないですか。まったく、ひどいったらありゃしません。「どうってことない男」って・・・。さんざんな言い様で、可哀想過ぎる清塚。
で、その話をしている時の、BGMがなぜか、ほのぼの系。このドラマの神経を疑います(悪い意味ではありません)。
そして、瀬尾が清塚と話し合う時は、スパニッシュギターの調べ(世奈子の店だから)。

当然、お怒りの清塚に、瀬尾は「アニメの脚本書いてりゃわかるだろう。人間関係が複雑に絡み合ったらこういうこともあるんだよ」とわかるようなわからないような説得を試みます。脱力してしまったのか、清塚は結局、別れることを了承します。とんだ災難に巻き込まれちゃった感じでしょうね。

その秘密の話をしている場所が、世奈子の店だったため、案の定、世奈子が話に割り込んできます。瀬尾がこの店を使う意味がわかりませんが、展開の都合上仕方ありません。そう、世奈子が、富貴子の秘密──多摩留の家の子だったことを知らないと話が進まないのです。
富貴子の鎌倉の養父母は亡くなったと聞かされていた世奈子は、清塚に彼女の正しい情報を聞き、蒲田(いまや「下町ロケット」でおなじみですね)の糀谷中央商店街の吉田屋に、平野(平田まり)と潜入、事実を突き止めます。あからさまに写真をバシバシ撮る平野が可笑しい。

そういえば、真実は、富貴子と美輪子だけしか知らなかったんですね。
瀬尾と富貴子は婚約したものの、まだまだ小日向家は穏やかならざる感じ。
世奈子から真実を聞かされ、声がひっくり返るほど驚く崑一(岡田浩暉)が、
明日から再び大活躍、大絶叫しそうです。

(木俣冬)
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