「新・牡丹と薔薇」(東海テレビ、フジテレビ 毎週 月〜金 ひる1時25分〜)1月22日(金)第36話「姉妹狙う!? 謎の大富豪」より 原作・脚本:中島丈博 演出:西本淳一
借金8億円で、美輪子、おっさん大富豪に人身売買「新・牡丹と薔薇」36話
イラスト/小西りえこ

好色そうな大富豪登場


突然死んでしまった崑一(岡田浩暉)は、な、な、なんと8億円もの借金を残していたのです。
やっぱり、田園調布の豪邸が燃えてから、巻き返すことができなかったのでしょうか。

じつは、この数年、莫大な借金を抱えながら、どこ吹く風とかっこつけていたのかと思うと、崑一に対する見方も変わってきます。
そういえば、莫大な借金が死後判明するって、朝ドラの五代友厚と一緒じゃないですか! 死ぬ日(放送日)も近く、もみあげが強調された髪型が似てないこともなかったですね。
また、富貴子(黛英里佳)が自分のことを「腰がフラフラして」と言っていたのも、思えば、朝ドラの新次郎の「フラフラ」に呼応させていたように思えます。そもそも、姉妹のお話というのも、朝昼符号しているのです。こんなふうにこじつけながら、朝ドラ、昼ドラ合わせて見るのは楽しいものですが、それもあと一週間の命です。

さて、借金8億円を返すためには、九品仏の豪邸を売却するしかない。それがいやなら、ローズガーデンを売却して、家を残すかどちらか。でも、美輪子(逢沢りな)は、ローズガーデンを売るなんてとんでもないと大反対。ローズガーデンは彼女のアイデンティティなのでした。
とはいえ、それじゃあ、家をどうしましょう。ということで、謎の大富豪・大隈春馬(大和田伸也)が登場し、美輪子を嫁にして、借金を肩代わりしてくれると言うのですが、「それじゃあまるで人身売買じゃないの!」と美輪子は激怒し、感情に任せて自殺をはかろうとします。
大富豪といっても、おっさんですし、なんだかものすごく好色そうなので、イヤなんですね。
それは、まともな神経です。
悲しむ美輪子をなぐさめながら、富貴子が目と、窓のカーテンを開きます。そこに映るのは、ローズガーデンを白いドレスを着て駆ける美輪子と富貴子。像が二重になっているのは、幻想という意味ですね。高度なCGがいくらでも使われる時代に、なんて素朴な表現なのかと感動に震えます。
最愛の妹のピンチに勇敢に立ち向かおうと決意する富貴子。この大仰なところも非常に素朴に感じます。今までいろいろあり過ぎるほど事件があったにもかかわらず、まだピンチに対して、こんなにもストレートに闘志を燃やせるとは、富貴子の感受性の鋭さに感心致します。視聴者としては、かなり、心の弾力を失いかけているんですけれど。
(木俣冬)
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