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二・二六事件とは何だったのか 80年以上経った今、改めて振り返る

       

キャンセルできなかった700個の大福餅


二・二六事件で青年将校の標的となったなかには、元首相の西園寺公望もいた。このとき満86歳の西園寺は、国の重要政策の決定や首相選定にあたる元老の立場にあった。

決起の中心メンバーらは、静岡県興津にあった西園寺邸の襲撃を2月18日に決定、愛知県の豊橋陸軍教導学校の将校に実行を依頼する。しかし豊橋の将校らが計画を詰めるなかで、兵力の使用に強く反対する者があり、けっきょく事件前日の25日、襲撃の中止が決まった。このときすでに手配していたガソリンを返却、違約金をとられた。しかし、同じく注文していた5個1組・計140包の大福餅はキャンセルしようとしたものの、断られてしまう(北博昭『二・二六事件 全検証』朝日選書)。

菓子屋からすれば、700個もの大福をつくるためおそらく大量の材料も人手もすでに手配しており、それをいきなりキャンセルされてはかなわないということだったのだろう。とはいえ、軍人相手によくつっぱねたものだ。三谷幸喜あたりの脚本で、この菓子屋の視点から二・二六事件をドラマ化したら面白いかもしれない。

一杯の親子丼を60人で食べる――ある落語家の回想


二・二六事件における食べ物がらみの話としては、こんなエピソードもある。このとき決起部隊として警視庁を占拠した麻布の歩兵第三連隊には、入営まもない小林盛夫という21歳の二等兵がいた。小林によれば、事件2日目の夕方ぐらいまでは、部隊に食糧が調達されていたが、以後ぱったりと途絶えてしまう。兵士らが空腹を抱えていると、そこへひとりの下士官がどこから調達したのか、親子丼を一杯だけ持ってきた。そのたったひとつの親子丼を、「親子丼を食うと思うな、精神を食え」と言われつつ60人ばかりで分けて食したものの、兵士たちはますます意気消沈してしまう。

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