もとはといえば、熱心なラーメンファンがあくまで趣味として始めたことで、本業は別にあるらしい。お仕事の合間に一つ一つを文字通り手作業で作っているため、量産することができず、なんと半年ほどは待たないと食べることができないのだという。これまで3時間ぐらいの行列に並んでラーメンを食べたことはあった私だが、半年待ったことはない。また、スープの通販と平行して週末に一日一組限定で来店受付もしているらしく、もちろんそちらも半年以上待つことになるそうだ。
公式Facebookで予約のオーダー
とにかく気長に待つ覚悟で予約することにしたのだが、その予約の仕方が面白い。まず屋号である「ら道本店」の公式Facebookページに「いいね!」をし、通販の予約をしたい旨メッセージを送る。とりあえずできることはこれだけ。オーダーのあった順に店主が少しずつ対応していくので、その時を待つのみとなる。
私は上記の手順を踏んだのち、2015年の7月から2016年の2月まで待つこととなった。といっても、最初から気長に待つつもりでいたので、正直ちょっと忘れていたというか、店主からFacebookのメッセージ機能で自分の順番が来た旨を告げられて「え!本当に買えるんだ!?」と驚いたほどであった。
スープは一度に最大5つまで購入可能で1つ490円(税別)となっている(2016年2月現在の価格なので変更されるかもしれません)。送付先等を知らせて数日後、スープが届いた。
段ボールの中にボトルに入れて冷凍されたスープが入っている。
購入できるのはスープのみで、麺や具材は各自好みのものを用意することになる。同梱の説明書きによれば「できるだけ生麺を買ってください」とのこと。私はスーパーで購入した奈良県・岡井食産の生中華麺をあわせてみることにした。
説明書きに従い、食べる2~3時間ほど前から自然解凍し、その後湯せんしてペットボトルから取り出しやすくした上で電子レンジで加熱した。熱しすぎないよう小刻みに加熱していくのがいいかと思う。
スープを薄めぬよう、麺はしっかり湯切り。チャーシューやネギなどを入れると我ながらラーメンらしいラーメンができあがった。
急いで食べる。一口目に印象的なのはその甘みとクリーミーな舌触りであった。豚骨ベースのスープなのだが、豚骨感を前面に押し出している感じではなく、非常に上品な感じ。
ほんの少しとろみのあるスープが麺とよく絡み極上のお味に(これは、どんな麺を使うかで無限に悩めると思う)。
店主に聞くスープの調理工程
感動した勢いでなんとしても店主にお話を聞いてみたくなって打診したところ、「ら道本店」の店主・水谷さんにいくつかの質問をさせていただけることになった。
――水谷さんはお仕事のかたわらでスープ作りを始めたそうですが、今も別に本業がおありなんですか?
「はい、今も昼間の仕事をしております」
――そもそもは普通にラーメンがお好きで食べ歩きをしていたんですよね?
「はい、皆様と同じでラーメン好きの一人です。それが『食べる』から『作ってみたい』になってしまったのですよ」
――このクリーミーなスープはどのように作っていらっしゃるんでしょうか
「豚骨と野菜類などを7~8時間炊き込んでおります。また炊き込む前に3~4時間ほどの下処理(臭み取り)をしています」
ちなみに「ら道本店」は、浜田雅功と田村淳が出演するローカル番組である『ごぶごぶ(毎日放送)』に取り上げられたことがあり、それが人気を後押ししたのだという。
――番組の反響はすごかったですか?
「想像を絶するものになっております。特に浜田さん、田村さんのリアクションが非常に良かったので!店舗の前には行列はできないのですが、ネット上の行列が未だに続きリピートも多数になっております」
――通販と来店予約は現在どれぐらい待つ状態ですか?
「現時点で昨年の6月17日にご連絡が取れた方々にご案内をさせて頂いている状態です。また、特にこの日だけで予約いただいた方が470名様ほどいらっしゃる状態です。ご来店につきましては現在10月分までご予約が入ってきております」
お話しを聞けば聞くほど大変そうな状況だ。店主の水谷さんが美味しいスープを作り続けられるように、とにかく気長に待つのが肝要であろう。
(スズキナオ)