第23週「わろてんか隊がゆく」第132回 3月9日(金)放送より。
脚本:吉田智子 演出:川野秀昭

132話はこんな話
わろてんか隊は、最後の高座に新しい趣向で臨む。
風太、がんばる
内地では、てん(葵わかな)たちが、風太たちを心配している。
戦地では、風太(濱田岳)が新しい趣向を試そうと、阿久津少佐(八十田勇一)に事前に根回しする。
勝手にやって、また止められないようにということはちゃんと考えていた。
「笑いは薬です」と説得する風太。
何度も書いている気がするが、こういうときの濱田岳は、任せて安心。
それから、高座で司会的なことをしているときの濱田岳も頼もしい。言葉の意味がはっきり伝わってくる。
この日の「わろてんか」のあとの「あさイチ」は濱田岳がゲストで、「わろてんか」の裏話をいろいろ語っていた。
彼のアドリブが多いわけは、ひとの一生を15分に縮めるためには略さないといけないが、そのなかで、できるだけ自分の役の情報を足そうとしている、というようなことを言っていて、なっとく。風太のこと(いわゆるサブテキスト)をすごく考えているし、関西人でない彼が関西人を演じるにあたって、言葉の音を大事にするより、滲み出る関西感をカラダで表現したというような話も印象的だった。
なかなかカットがかからず、徳永えりと延々芝居を続けた場面が流れて、それもすごく面白かった。なかなかカットがかからなくて、カットをかけざるを得ない流れにもっていく濱田岳がすばらしい。濱田の芝居に最後まで食らいついていく徳永えりも。「信頼と実績の徳永えり」という濱田の言葉は真実と思う。
復活する人間関係
さて、「わろてんか」132話の振り返りに戻ろう。
芸人たちは漫才用の衣裳を着て、いまできる渾身の芸を披露する。
キースとアサリ(大野拓朗、前野拓哉)も完全復活。
稽古しているときに、アサリがへばると、「おまえがつかれてへたりこんでも俺が笑わせたる」とキースが言う。131話の「やっぱりお前がええ」に続いて、なんでそんなにキースはアサリが好きなのか。
リリコとシロー(広瀬アリス、松尾諭)は新作漫才を。
一度やろうとして止められてしまった手紙ネタをブラッシュアップして披露。内地の奥さんからの手紙の体で読み、みんなをしんみりさせる。
彼らの稽古では、「高座に立つときは夫婦やない」とリリコはシローに厳しく接する。さすが芸に厳しい。
シローは再び漫才をやったことで、「僕の夢は死ぬまでリリコのそばにいることや」と気付き、日本に戻ってもう一度漫才をやりたいとリリコに提案する。
単なる2組の漫才の復活ではなく、お互いへの思いに気づく、関係性の復活だった。
彼らの渾身の漫才を見て、だんだん少佐の顔も変わっていく。
とくに、少佐の故郷も名古屋だったため、リリコの手紙ネタが響いたようだ。
それを知っていてわざと名古屋にしたわけではなくて、偶然の喜び。もし万丈目(藤井隆)が知っていて取りれたとしたらすごいけれど。
おてんさまも笑いに挑戦か
トキ「帰ってきます 帰ってきます」
てん「え?」
トキ「わろてんか隊が」
てん「ほんまか」
てんの「え?」(何が?)というようなのんきなリアクションは、ひとボケしてみました、ということなのか。
冒頭では、トキが風太を心配すると、海の移動ではないから水泳が苦手な風太も大丈夫と、笑わせようとしていた。
かすかなてんの変化・・・いよいよ、てんが能動的に、ひとを笑わせる側になってきたってことだろうか。
伊能の会社は社員がやばい
栞(高橋一生)にあとは頼んだと言われた山下専務(玉置孝匡)は、業務提携の話を勝手に進めてしまう。
なにやら問題が起こりそうな雰囲気・・・。
山下って専務だったのか。いくらそれなりに上の立場とはいえ、あとを頼まれたのは、そこまで大きな話じゃない。
それにしても、隼也(成田凌)といい(マーチン・ショウ詐欺事件のとき)、山下といい、なぜ、かかってきた電話に勝手に対応してしまうのか。栞はてんのことばかり心配しないで、もっと社員に目を配るべき。
(木俣冬)