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大企業社員→専業主夫で「男のプライド」失う 10年間考えた自分だけの“男らしさ”


新しい価値観が身についた時、世界が違って見える


専業主夫になった当初は肩書が無いことに対する不安はそれは大きいものでしたが、主夫としての経験を積んでいくにつれてだんだん無くなっていきます。「あれ?実は肩書きって、無くても生きていける?」という気づきです。今振り返ってみると当たり前のことなのですが、当時の自分にとってこの気付きは大きなものでした。

こういうのは本当にやってみないとわからないものなのだなあ、とつくづく思いますが、主夫の生活は非常にやりがいがあるのです。父親というのはすごい存在で、自分以外の人ができない、代わりのきかないことなのです。ある人間の、唯一無二の存在になるわけです。こんなに責任が重くて、こんなに素敵なことはないですよね。

子供の成長は予想外でいて、素直です。天使のようにかわいい瞬間があったと思えば、5分後には悪魔のようないたずらをしています。毎日が感情のジェットコースターです。子供がレストランで思い切り皿をひっくり返したり、友達と喧嘩して怪我をさせてしまったりということもありました…。その度に僕の感情メーターは限界を超え、自分の器の小ささを直視せざるを得ない毎日でした。

大企業社員→専業主夫で「男のプライド」失う 10年間考えた自分だけの“男らしさ”

しかも、そんなトラブルに見舞われても自分を守ってくれる後ろ盾はないのです。会社員の頃は「自分だけのせいじゃないし」と気持ち的に逃げることもできましたが、子供のミスは全て自分1人が対処するしかないのです。自分が唯一の最高責任者なのです。

はじめはその責任の重さが苦痛に感じられることもありましたが、自分が最高責任者という自覚を持ってからは、日々の生活が違ってみえるようになりました。自分がやるしかない、というのは裏を返せば自分の工夫次第でいろんなことができるということでもあるのです。

自分の貧相な「子育ての先入観」にとらわれず、もっとゼロベースで課題を解決するような発想に切り替えてみよう、そう思えたらどんどん生活が上手くいくようになっていきました。
そしてこの発想の転換は、結果的に僕の中の「男らしさ」の発想の転換にも繋がることとなります。

誰かに与えられた借り物でなく、自分だけのオリジナルなプライド


僕はこの10年間、ずっと「男らしさ」について考えてきました。会社をやめて「男のプライド」を失ったと感じ、その後「男のプライドなんてなくてもいいんじゃない?」と思い……そして今では「男らしさは大事、ただ自分自身が大事にするものであって、周りに押し付けるものではない」という考えになりました。

男らしさの話をすると、ネットでよく「そんな性的なものにこだわるなんてくだらない」と言う人たちもいます。しかし僕は、そういった自分を作り上げるアイデンティティのひとつに対して誇りを持つことは悪いことでもなんでもないと思っています。これは日本人として日本が好きだったり、自分が卒業した母校をスポーツで応援したり、自分が生まれ育った故郷に愛着を持つことと同じです。

いつも問題になるのは、これを他人に押し付けることです。
「俺はこれが男らしいと思うし、みんなもそう思ってるから、お前もこれが男らしいと思え
というのがダメであって、「俺はこれが男らしいと思う。以上」なら問題はないのです。個人の価値観は、個人の自由です。

僕は10代~20代前半までは、人の価値観をコピーした「受け売りの男らしさ」を身に付けてしまっていました。

「周りがこういうのが良いと言ってるから、こうしよう」「男は普通こうするもんだろ」「男ってのは一般的に…」
家族、友人、教師、マスメディア、いろんなところから影響を受けました。まだ若かったから仕方ない部分もあるとは言え、浅はかでした。

僕は主夫の経験を通して、この「らしさ」について時間をかけて考え、そしてその結果、自分にカスタマイズされた、自分だけの男らしさを見つけることができました。
僕の男らしさは
合理的に考えて周りに流されずに本質を捉え、強い行動力で自分の周りの人達を幸せにする
です。もちろんこれは僕だけのマイルールであって、他人に強要するどころか、共感してもらおうとも思っていません。僕だけがわかればいい、僕だけの「男らしさ」です。

大企業社員→専業主夫で「男のプライド」失う 10年間考えた自分だけの“男らしさ”

時代は変わっている


僕の友人で、主夫をしながら大学院でジェンダー関連の研究をしている方と最近お会いしたのですが、その方は「今の20代に話を聞くと、主夫になることにためらいのない人が多い。きっと今の30代が転換期なのかもしれない」と言っていました。

社会が共有する「男らしさ」の形は確実に変わってきていると感じます。これからの男性は旧来の「押し付けられた男らしさ」の縛りに囚われず、それぞれが自分なりの「男らしさ」を見つけられるような生き方をしてほしい、と勝手ながら願っています。
(ムーチョ)


前回記事:「一部上場企業を辞めて、専業主夫をガチで10年間やってみた結果」はこちら
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