11月10日に『ドロ刑 -警視庁捜査三課-』(日本テレビ系)の第6話が放送された。(関連)
「ドロ刑」中島健人のおちゃらけは能力を隠すため?別れを告げた遠藤憲一との対決を前に遂に覚醒か6話
ドラマ「ドロ刑 -警視庁捜査三課-」 オリジナル・サウンドトラック/バップ

新人刑事が主役なのだから、ストーリーの主軸に“成長”が据えられるのは必然。
それが今までで最も顕著だったのが今回である。

皇子山も斑目を通じて煙鴉に育てられている


斑目勉(中島健人)の師匠とも言える煙鴉(遠藤憲一)の出番が、6話はかなり少なかった。

ルーキーである斑目と小平美希(石橋杏奈)は、“無錠の空き”と呼ばれる窃盗犯・鳥飼和子(余貴美子)に簡単に心を許してしまう。それどころか、取調べ中に和子に悩みを相談する2人。刑事と犯人の間にあるべき壁がなく、社会人としての手ほどきまで受けてしまった。そして、情が移る。
「だって和子さん、どう見ても本物の窃盗犯らしくないでしょう」(斑目)

例によって、皇子山隆俊(中村倫也)や宝塚瑤子(江口のりこ)ら13係の先輩たちは新人に説教だ。
「犯罪者は親しくなった刑事を取り込もうとする。一線を越えてくる! 取り込まれたら終わりなんだよ」(皇子山)
「優しいなあ、お前ら! 自分に。自分がええ人に思われたい。だから、人に優しくする。それだけや。そんなもん、本物の優しさちゃう」(瑤子)

斑目も言い返そうとするのだが……
「犯罪者を敵視しすぎじゃないんですか? ほら、北風と太陽っていう話もあるんだし」(斑目)

結果的に、和子は窃盗犯ではなかった。
本物の“無錠の空き”は、和子の夫。リストラされたことを機に窃盗に手を染めた夫が捕まる前に自分が“無錠の空き”に成り代わり、自ら万引きをして逮捕される。それが真相だった。
斑目と美希の直感は当たっていた。犯罪者にも容易に心を開いてしまう2人の弱さは、真実を見抜く慧眼として作用した。煙鴉と出会って以降、被疑者の心情を察する能力を斑目は伸ばし続けている。

そんな斑目を見て、プライドの高い皇子山にも心情の変化が起こる。
「北風と太陽か……」(皇子山)
斑目だけでなく、煙鴉との出会いで皇子山も成長している。煙鴉に「何も見えてないんだなあ。もう一度、ドロ刑勉強し直したほうがいいよ」と言われた日を忘れられない。当初は三課の仕事にやる気を見出せずにいた元エリートも、今では「随分やる気ですねえ、最近」と斑目に気付かれるほどだ。

皇子山と瑤子は捜査慣れしているが、真相究明にたどり着けない。
そんな彼らの色眼鏡は斑目の影響で徐々に払拭されつつある。モチベーションが低く頼りない斑目と美希。しかし、煙鴉の助言を受けることで事件を解決する直感が備わりつつある。
つまり、斑目だけでなく13係が成長している。育てているのは煙鴉。今回の事件は、煙鴉のアシスト無しに4人が一丸となって真相究明に辿り着いた初めてのケースだ。

中島健人は“アホ太郎”のふりをしている?


斑目の漫画的なキャラクターには、今まで賛否があった。そんな、彼特有のぶりっ子な振る舞いが明らかに減少している。コメディドラマがおちゃらけを抑え、シリアスが増すと、ドラマが佳境に入ったのだと実感する。6話は、まさにそれだった。

実は、煙鴉は13係全体に期待している。
斑目 なんでそんな心配してくれるんですか、みんなのことまで?
煙鴉 ちゃんとしてもらわなきゃ困るからだよ、お前らには。


斑目の成長を実感した煙鴉の顔は、どこか寂しげだ。そして、「GOOD BYE」の書き置きを残して姿を消した。自分の助けが必要なくなった斑目だから距離を置くということ?
13係にちゃんとしてほしいと願う煙鴉。やはり、「自分を捕まえてほしい」と願っている気がしてならない。だから、斑目も皇子山も育てた。

「GOOD BYE」の書き置きを見たときの、斑目の表情。戸惑うでも落ち込むでもなく、すでに覚悟しているかのようにさえ見えた。勘が鋭い。煙鴉が見込んだだけはある。

このドラマの今後の見どころは2つ。
・成長した斑目vs煙鴉の師弟対決
・イマドキっ子を装う斑目が隠している能力をいつ全開にするのか

誰も見破れない煙鴉の正体をあっさり見抜き、なんだかんだ13係で最も手柄を挙げてきた斑目。“アホ太郎”は仮の姿だと思う。
覚醒寸前である。
(寺西ジャジューカ)

『ドロ刑 -警視庁捜査三課-』
原作:福田秀「ドロ刑」(集英社「週刊ヤングジャンプ」連載)
脚本:林宏司
主題歌:Sexy Zone e「カラクリだらけのテンダネス」(ポニーキャニオン)
音楽:木村秀彬
演出:大谷太郎、中島悟、高橋朋広
チーフプロデューサー:池田健司
プロデューサー:能勢荘志、次屋尚、関川友理
制作協力:The icon
製作著作:日本テレビ
※各話、放送後にHuluにて配信中
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