第16週「あとは登るだけです!」 第89回 1月17日(木)放送より
脚本:福田 靖 
演出:松岡一史
音楽:川井憲次
キャスト:安藤サクラ、長谷川博己、内田有紀、松下奈緒、要潤、大谷亮平、
     桐谷健太、片岡愛之助、橋本マナミ、松井玲奈、呉城久美、松坂慶子、橋爪功、瀬戸康史ほか
語り:芦田愛菜
主題歌:DREAMS COME TRUE「あなたとトゥラッタッタ♪」
制作統括:真鍋 斎
「まんぷく」89話。家財道具がすべて差し押さえられてしまったが、鈴は布団を死守
イラストと文/木俣冬

89話のあらすじ


池田信用組合で取り付け騒ぎが起こった二日後、萬平(長谷川博己)と福子(安藤サクラ)の家の家財道具が借金のカタに差し押さえられてしまった。
家と土地も手放すことになって……。でも、福子はなんとかなると明るく振る舞う。


だが、福子にはへそくりが


朝、萬平が早くに家を出ていった後、梅田銀行の人たちと真一(大谷亮平)が来て、家財道具をじゃんじゃん差し押さえていきます。赤い紙が張られました。
ドアの前で、斜めに立っている矢野亮次(矢島健一)は眼光鋭いし、立ち方も特殊で、なんだか刑事に見えてしまいました。矢島さん、刑事役も多いので。

家屋と土地も家財道具もすべて手放してもなお返済額に足りなそうで、信用組合から企業に貸していたお金を返してもらえと迫られ、途方に暮れる萬平。
まだ余裕があるときは、土地と家を担保に万能調理器を商品化するとイケイケだったが、いざすべてなくなるとなるとショックが大きい。もう呆然となっています。
子供たちは不安そうだし、当然、鈴(松坂慶子)はネガティブになりまくり。でも、「ふとんまでとられてたまるものですか」と布団にへばりついているところとか、真一(大谷亮平)が「悪の手先みたいになって」と嘆くところとか、さすが。必ず笑いをとっていきますね。

ひとり、福子は、ごちそうは作れないけれどみんなで夕飯を食べましょうとか、こんなときのために働いていて、へそくりもあると明るく振る舞います。やっぱり、お金のない経験が彼女を働かせていたのだなあと思います。とはいえ、たいした金額ではないでしょうし、またへそくりもとられちゃうんでは……と心配になります。


健気な福子ではありましたが、敏子(松井玲奈)が心配して訪ねて来て、ほんとうはとても不安だと、ようやく本音が出せました。
このパターンも前に見たような……。この一大事のときに、なにごともなかったようにパーラー白薔薇で働いている福子を、アキラ(加藤雅也)としのぶ(牧瀬里穂)が痛々しそうに見つめている場面は、鈴が福子の笑顔が不気味なのよ〜と心配しているところとかぶりました。

萬平に悪いことが起こって、でも福子は不安を隠してニコニコして支えて、それが傍から見ると痛々しくてたまらないという構図が何度も繰り返されていますが、それもラーメン開発によって終わるでしょう(そうあってほしいです)。なぜこういうふうに繰り返し描くのでしょうか。考えられるとしたら、タイムスリップを繰り返す作品が人気なので(「アシガール」も)、取り入れてみたのではないかということです。

冒頭、差し押さえが来て、そのあと萬平が差し押さえに行くので家に人には事前に言わないようにと釘を差される場面が出てきました。これも時系列が逆になっていて、前後を入れ替えた、萬平の回想であることをわからせるために、画面が少し揺らぎ、怪しげな音がかかります。それによってSFかミステリーぽい雰囲気に。
土曜ドラマ「ロング・グッドバイ」みたい(これはSFではありませんが)。
というわけで、89話は、時系列いじり系ドラマテイスト回でした。

「仮面ライダー」も未来から来た仮面ライダークイズが登場するなど、おもしろネタが極まっているところ、朝ドラもだんだんそういう方向性になっていくのかもしれません。
ライダー俳優集合とかもそのひとつでしょうし。未来からきた子孫が出てきてもおかしくなさそうです。
(イラストと文/木俣冬)

連続テレビ小説「まんぷく」
◯NHK総合 月~土 朝8時~、再放送 午後0時45分~
◯BSプレミアム 月~土 あさ7時30分~ 再放送 午後11時30分~
◯1週間まとめ放送 土曜9時30分~

朝夕、本放送も再放送も オールBK制作朝ドラ


「べっぴんさん」 BS プレミアムで月〜土、朝7時15分から再放送中。
エキレビ!べっぴんさんレビュー

「あさが来た」 月〜金 総合夕方4時20分〜2話ずつ再放送
エキレビ!あさが来たレビュー
編集部おすすめ