小夜子「ありがとうな、あの子の部屋探してくれて」
柏木「しゃーないやろ。お前の大事な息子のためや」

2月12日(火)放送のドラマ『後妻業』(フジテレビ系)第4話。
原作は黒川博行の同名小説だ。

新たに小夜子(木村佳乃)の弟・博司(葉山奬之)が登場したが、ラストシーンで彼は息子だと明かされる。博司自身は、自分が小夜子の息子であることを知らないようだ。

グルになって後妻業をしている小夜子と柏木(高橋克典)、ふたりを追い詰めたい朋美(木村多江)と本多(伊原剛志)。朋美が父の仇を取ろうとしている間に、夫の司郎(長谷川朝晴)は部下の絵美里(田中道子)と浮気をしていた。
「後妻業」「親の愛情を知らないで育つとあんな風になっちゃうのかなあ」木村佳乃と高橋克典ワルの美学4話
イラスト/まつもとりえこ

低くても勝つ。ワルのベタを真面目にやる小夜子と柏木


小夜子の次のターゲットは、富樫幹夫(佐藤蛾次郎)。大手うどんチェーン店の会長だが、認知症になり高級老人ホームで暮らしている。家族は年に二度ほどしか面会に来ず、富樫がいつ死ぬか待っているようなところがあるという。

すでに小夜子が富樫に接触していると知って、本多と朋美はブライダル微祥、遺言の公正証書を作った司法書士事務所、富樫の住む老人ホームに乗り込んでいく。

3話では小夜子に気づかれないように調査するという話もあったが、朋美が小夜子の家に乗り込んでしまったこともあり、吹っ切れたように大胆な行動が多い。本多は、自分の素性や依頼主を柏木に素直に話していた。
朋美は、老人ホームで小夜子と鉢合わせて掴み合いのケンカ。

柏木と本多の男のバトルでは、白を切りとおした柏木が最後に葉巻の煙を本多に向かって吹く。柏木のほうが少し背が低いが、本多を見上げる形になってもまだ余裕で優位に立っている。

朋美と小夜子の女のバトルは、最終的に小夜子が倒れた。「キャットファイトや!」と盛り上がる老人たち。勝った朋美は周りにチャンピオンだと言われるが、富樫は床に転がった小夜子に「大丈夫か」「痛くないか」と駆け寄る。それを見て、朋美の喜びは消えた。

相手より下にいても勝てる。柏木と小夜子のスタンスが、その立ち位置で示されていた。

葉巻の煙を相手に吹きかけることといい、「キャットファイトや!」という掛け声や負けて恋人に甘え女っぽさを出すところといい、ベタだな〜! と笑ってしまう。

同情の余韻はいつ覆(くつがえ)るか


朋美「そんなに大金貯めこんでるなんて」
本多「そんでもまだ金が欲しいんやろな。金の亡者やで、あの小夜子と柏木は」

ふたりにこう噂されていたが、小夜子の預金通帳には30万円ほどしか入っていない。
いままで後妻業で稼いだお金は3億円を超える予想だ。柏木はともかく、小夜子は自分がいた養護施設に寄付しているのかもしれない。博司のために使っているのかもしれない。

小夜子は、実の父親から暴力を受け、母親には見捨てられたという過去を持つ。育児放棄をされて児童養護施設で暮らしたのち、おじに引き取られるがおばからいじめを受ける。18歳で家を出るまで、おじのセクハラにも遭っていた。さらにその後、惚れた男の借金を背負って風俗店で働いたという。

朋美「小夜子さんみたいに親の愛情を知らないで育つと、あんな風になっちゃうのかなあ……」

この朋美の言葉は、本多によってすぐに「あいつら悪党や。同情なんかすんな」と打ち消される。しかし、小夜子にも事情があるのでは? 本当は義賊なのでは?

そういえば、耕造(泉谷しげる)に自作のぬか漬けを食べさせたとき、小夜子は醤油をたっぷりかけていた。あれは塩分を多くとらせるためとばかり思っていた。今回カレーを食べるとき、博司に出したぬか漬けも小夜子は醤油を多めにかけていた。
あれは耕造への意地悪ではなく、小夜子のぬか漬けの正しい食べ方だったのか。

不意打ちの司郎と絵美里の浮気シーン、生々しさに「ウッ……」となる。

小夜子と柏木は、ワルとして見ていてどこかスカッとし同情心すら湧いてしまう。

小夜子「あんたらみたいなお嬢さま育ちのインテリに、とやかく言われる筋合いあらへん」

小夜子の反撃がはじまる5話は、今夜9時から放送だ。

(むらたえりか)

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チェインストーリー(GYAO!)

ドラマ『後妻業』(フジテレビ系)
毎週火曜 よる9時〜
出演:木村佳乃、高橋克典、木村多江、葉山奨之、長谷川朝晴、篠田麻里子、平山祐介、田中道子、河本準一、濱田マリ、とよた真帆、泉谷しげる、伊原剛志、ほか
原作:黒川博行『後妻業』(文藝春秋刊)
脚本:関えり香、阿相クミコ
演出:光野道夫(共テレ)、都築淳一(共テレ)、木村弥寿彦(カンテレ)
音楽:眞鍋昭大
主題歌:宮本浩次「冬の花」
企画・プロデュース:栗原美和子
プロデュース:杉浦史明(カンテレ)、萩原 崇(カンテレ)、水野綾子(共テレ)
制作:カンテレ、共テレ
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