
「ちびまる子ちゃん」は来年1月でアニメスタートから丸30年。
30年前のちびまる子ちゃんブーム直撃世代(当時ニセモノグッズにも翻弄された小学生)としては「一度は終わったと思ってたのに、まさかこんなに長寿で国民的アニメになるなんて……!」と思う瞬間がたまにある。
これだけは言いたい、BGMが良かった
入場するとすぐにキャラクター紹介のエリアがあり、次に各時代ごとのエリアがある。
90〜92年(会場での表記は90〜94年)のエリアには「ゆめいっぱい」、95〜99年のエリアには「うれしい予感」。それぞれ当時のオープニング曲と映像が流れ、セル画や資料も展示されている。

懐かしい。視覚からだけじゃなく、聴覚からも懐古が攻めてくる……!!
と思ったのだが、そのときちょうどオープン時刻直後で、入口付近から大音量で流れ始めた「おどるポンポコリン」(現オープニング曲)にどちらの曲もかき消されてしまった。もしかしたら、その後ずっとかき消されっぱなしだった可能性が高い。
なので「90年代のオープニング曲が流れてて良かった」と言っても、その後来場した人たちはそれを体験してないかもしれない。けどとてもよかったので、一応ここで言っておきたい。

インパクトのあるモブキャラたちの設定画
手描きの設定画も滅多に見れるものじゃない。貴重なその資料の中には、アニメオリジナルの、たった一度しか登場していないキャラクターもいた。
例えば、1期79話「まるちゃんの七夕映画会」の中で、町内子供会で上映された映画「シンナーをやめよう」に出てくる、シンナーに溺れて母親を泣かせる男子学生・ユウイチ。
1期81話「まる子 まぼろしの洋館を見る」の中で、アイスを選ぶまる子達に対し、感じの悪すぎる客対応をする駄菓子屋のババア。

このどちらも1分も登場していないのに、この30周年記念の展示物に選ばれたのだ。全1351話(8月8日現在)もあるのに、大抜擢じゃないか。
どちらのキャラもインパクトがある。クセが強すぎて、もしかしたら現代だと放送を差し控えられるレベルでは……と思えるほどだ。
そう思うと、このキャラ達をなんだかすごく貴重に感じてきた。
手書きから感じる几帳面さ
作者の丸っこい字で書かれたプロットや脚本、主題歌の歌詞、アニメ〇周年・〇回目などの記念コメント、どれも原稿用紙に手書きで丁寧に書かれている。

展示内の説明に「(さくらももこは)なにかを作ることが大好きだった」とあったのだが、細かく手書きするようなタイプの創作が好きだったのだろう。それは、作者が自宅で使っていた日用品を見ても分かる。
薬の瓶、お茶の缶、手紙を入れる箱、市販のポーチなどに細かくイラストが描かれ、ものによってはちょっとした工芸品のようにも見える。

まる子のズボラな印象とは違った、作者の几帳面さと生活へのこだわりを垣間見た。
展示全体を振り返ると、アニメそのものを振り返るだけでなく、創作にあたっての意識にも触れることができた気がする。
(さくらいみか)