「スカーレット」47話。信楽初の女性絵付け師はホットケーキが好物のミッコー?フカ先生は?
連続テレビ小説「スカーレット」47話。木俣冬の連続朝ドラレビューでエキレビ!毎日追いかけます

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連続テレビ小説「スカーレット」 
◯NHK総合 月~土 朝8時~、再放送 午後0時45分~
◯BSプレミアム 月~土 あさ7時30分~ 再放送 午後11時30分~
◯1週間まとめ放送 土曜9時30分~
「スカーレット」47話。信楽初の女性絵付け師はホットケーキが好物のミッコー?フカ先生は?

『連続テレビ小説 スカーレット Part1 (1)』 (NHKドラマ・ガイド)


第8週「心ゆれる夏」47回(11月22日・金 放送 演出・中島由貴)


喜美子(戸田恵梨香)の描いた絵付け火鉢のデザインが採用された。
そこから話は大きく動きだす。
敏春(本田大輔)は、喜美子を「信楽初の女性絵付け師」として売り出そうとする。

まず、敏春の知り合いの新聞記者が取材にやって来た。
家族も大喜び。マツ(富田靖子)は「悪いことせんでも載ることあるのねえ」と無邪気なもの。

常治(北村一輝)には余計なことを言うと反対されるので黙っておこうと言い合うマツと喜美子と百合子(福田麻由子)。ちょうど東京に行っているから都合がよかった。
直子(桜庭ななみ)がいなくなった後、百合子が急に強くなり、「お父ちゃんには黙っとき」ときりっとする。この間まで、あんなに甘えた喋り方をしていたのに、47回から急に気の強そうな子に。彼女なりに頑張っているのだろう。

それにしても、会社の忘年会に女が参加したらいけないと禁じるなんて常治、ひどい。

ミッコー、ホットケーキ


いざ、喜美子の取材がはじまると、なんだかおかしい。
記者(帽子屋・お松)の知らない深野心仙(イッセー尾形)の弟子であることは記事に必要なく、マスコットガールな扱いで、ミッチー(美智子様)ブームにのって「ミッコー」という名にして、「ホットケーキが食べたくて絵付け師になった」ことにしようと記事を捏造しようとしだす。

あるあるある。俳優取材でプロフィールを読んで「趣味は◯◯なんですね」と向けると「マネージャーが勝手に書いただけです」と返された経験が私はある。


「きちんとすると美しい子や」


フカ先生をないがしろにしたり、話を作ったり、そんな取材はしたくないと一旦は断る喜美子だったが、照子(大島優子)に「私の顔を立ててくれ」と言われ、考え直す。このときの照子、策士やな〜という感じだった。

再取材をはじめるにあたり、服や化粧をかわいくする必要があり、喜美子は、与えられた2時間の猶予の中でなんとかしようと試みる。

「隠しても隠しても貧乏はこぼれ出るな」(マツ)

だが、陽子(財前直見)ら近隣の女性たちの協力で見違えるように可愛くなった。
カチューシャ、外巻きカール、白い襟のブラウス、花柄スカート、白いパンプス。
こういうとき、華奢な戸田恵梨香は少女性が際立って、「いい。ひじょーにいいです」

「きちんとすると美しい子や」とおばちゃんたちも見惚れ、マツは涙ぐむ。
信楽に戻って3年、成人式にも出ず絵付け一筋だったからと娘が立派に美しく成長したことを喜ぶのだが、
照子は結婚式をあげてないのか。丸熊陶業の一人娘なんだから盛大にやりそうで、当然、喜美子と信作(林遣都)は出席しそうなものだけれど、44話で「正月以来か」と信作が言っていたことも含め、その後の結婚式はあったのかなかったのかわからないが、あったとしても喜美子は出席していないと考えていいだろう。

その頃、信作は


虫の知らせか、東京から常治が電話をかけてきた。百合子は「うちにまかしとき」とごまかしのため電話に出る。
信作まで「もしもしお父ちゃん、喜美子」と作り声。全然似てない。その前に顔を動かしてモノマネの準備をしているところが面白い。
忠信(マギー)も「もしもし、喜美子です ぶはははは」って。全然似てない。おもろい父子。

撮影


絵付けしているところを撮影される喜美子。とんちんかんなことばかりさせられて不本意ではあったが、照子と涙ぐんだ母を思ってニコニコ微笑む。
戸惑いながらもいいなりにポーズをとるところなどは、こういう撮影も経験してきたであろう戸田恵梨香がみごとに演じている。火鉢に頭をありえないほどくっつけたあと、顔をそっと近づけた表情は最高。

その前に、照子が喜美子を説得する場面で、「わかるよ喜美子の気持ち」と言う大島優子も、アイドル時代、いろんな思いを抱えてきただろうなあと思わせた。

こうして新聞に載った喜美子。内容は不本意ではあったが、信楽焼の盛り上げに一役買ったのだ。このエピソードは「なつぞら」でなつが女性アニメーターとして雑誌に取材されたときとまるで同じ。「スカーレット」では喜美子の化粧前化粧後のギャップや不本意だという意思も描かれたが、なつの場合はふだんのまま堂々と映っていた。時期は若干違うけれど、戦後は、日本のそこここに、女性ががんばっていく代表のような人がいたのだろう。
いや戦後だけでない。いまだにそういう代表になる人が必要とされている。
(木俣冬 タイトルデザイン/まつもとりえこ)

登場人物のまとめとあらすじ (週の終わりに更新していきます)


●川原家
川原喜美子…戸田恵梨香 幼少期 川島夕空  主人公。中学卒業後、大阪の荒木荘に女中として就職。三年働いた後、実家の経済事情の悪化により信楽に戻り、丸熊陶業で働くことになる。深野心仙と出会い、火鉢の絵付けの弟子入りする。

川原常治…北村一輝 戦争や商売の失敗で何もかも失い、大阪から信楽にやってきた。気のいい家長だが、酒好きで、借金もある。にもかかわらず人助けをしてしまうお人好し。運送業を営んでいる。家に泥棒が入り、
喜美子の給料を前借りに行く。オート三輪を無理して買ったうえに捻挫して働けなくなって喜美子を呼び戻す。

川原マツ…富田靖子 地主の娘だったがなぜか常治と結婚。
体が弱いらしく家事を喜美子の手伝いに頼っている。あまり子供の教育に熱心には見えない。
川原直子…桜庭ななみ 幼少期 やくわなつみ→安原琉那 川原家次女 空襲でこわい目にあってPTSDに苦しんでいる。それを理由にわがまま放題。東京に行きたいと思っている。
川原百合子…福田麻由子 幼少期 稲垣来泉→住田萌乃

●熊谷家
熊谷照子…大島優子 幼少期 横溝菜帆 信楽の大きな窯元の娘。「友達になってあげてもいい」が口癖で喜美子にやたら構う。兄が学徒動員で戦死しているため、家業を継がないといけない。婦人警官になりたかったが諦めた。高校生になっても友達がいないが、楽しげな様子を書いた手紙を大量に喜美子に送っている。喜美子とは幼いときキスした仲。高校卒業後、京都の短大に進学予定。


熊谷秀男…阪田マサノブ  信楽で最も大きな「丸熊陶業」の社長。
熊谷和歌子… 未知やすえ 照子の母

●大野家
大野信作…林遣都 幼少期 中村謙心 喜美子の同級生 体が弱い。高校で友達は照子だけだったが、ラブレターをもらう。いつの間にかモテるようになり、祖母の死以降、キャラ変する。高校卒業後は役所に就職する。

大野忠信…マギー 大野雑貨店の店主。信作の父。戦争時、常治に助けられてその恩返しに、信楽に川原一家を呼んでなにかと世話する。
大野陽子…財前直見 信作の母。川原一家に目をかける。マツの貯金箱を預かる。

●信楽で出会った人たち 幼少期
慶乃川善…村上ショージ 丸熊陶業の陶工。
陶芸家を目指していたが諦めて引退し草津へ引っ越す。喜美子に作品を「ゴミ」扱いされる。

草間宗一郎…佐藤隆太 大阪の闇市で常治に拾われる謎の旅人。医者の見立てでは「心に栄養が足りない」。戦時中は満州にいて、帰国の際、離れ離れになってしまった妻・里子の行方を探している。喜美子に柔道(草間流柔道)を教える。大阪に通訳の仕事で来たとき喜美子と再会。大阪には妻が別の男と結婚し店を営んでおり、離婚届を渡す。

工藤…福田転球  大阪から来た借金取り。  幼い子どもがいる。
本木…武蔵 大阪から来た借金取り。
…中川元喜  常治に雇われていたが、突然いなくなる。川原家のお金を盗んだ疑惑。
博之…請園裕太 常治に雇われていたが、突然いなくなる。川原家のお金を盗んだ疑惑。

●信楽 丸熊陶業の人々
城崎剛造…渋谷天外 丸熊陶業に呼ばれて来た絵付け師。気難しく、社長と反りが合わず辞める。
加山…田中章 丸熊陶業社員。
原下…杉森大祐 城崎の弟子。
八重子…宮川サキ 丸熊陶業で陶工の食事やお茶の世話をする。
…西村亜矢子 丸熊陶業で陶工の食事やお茶の世話をする。

深野心仙…イッセー尾形  元日本画で戦後、火鉢の絵付け師となる。喜美子を9番目の弟子にする。
池ノ内富三郎…夙川アトム 深野の一番弟子。
磯貝忠彦…三谷昌登 深野の二番弟子。

●大阪 荒木荘の人々
荒木さだ…羽野晶紀 荒木荘の大家。下着デザイナーでもある。マツの遠縁。
大久保のぶ子…三林京子 荒木荘の女中を長らく務めていた。喜美子を雇うことに反対するが、辛抱して彼女を一人前に鍛え上げたすえ、引退し娘の住む地へ引っ越す。女中の月給が安いのでストッキングの繕い物の内職をさせる。
酒田圭介…溝端淳平 荒木荘の下宿人で、医学生。妹を原因不明の病で亡くしている。喜美子に密かに恋されるが、あき子に一目惚れして、交際のすえ、荒木荘を出る。
庵堂ちや子…水野美紀 荒木荘の下宿人。新聞記者だったが、不況で、尊敬する上司・平田が他紙に引き抜かれたため、退社。女性誌の記者となり、琵琶湖大橋の取材のおり、信楽の喜美子を訪ねる。
田中雄太郎…木本武宏 荒木荘の下宿人。市役所をやめて俳優を目指すが、デビュー作「大阪ここにあり」以降、出演作がない。

●大阪の人たち 
マスター…オール阪神 喫茶店のマスター。静を休業し、歌える喫茶「さえずり」を新装開店した。
平田昭三…辻本茂雄 デイリー大阪編集長 バツイチ 喜美子の働きを気に入って、引き抜こうとする。
不況になって大手新聞社に引き抜かれた。
石ノ原…松木賢三 デイリー大阪記者
タク坊…マエチャン デイリー大阪記者
二ノ宮京子…木全晶子 荒木商事社員 下着ファッションショーに参加
千賀子…小原華 下着ファッションショーに参加
麻子…井上安世 下着ファッションショーに参加
珠子…津川マミ 下着ファッションショーに参加 
アケミ…あだち理絵子 道頓堀のキャバレーのホステス お化粧のアドバイザーとしてさだに呼ばれる。

泉田工業の会長・泉田庄一郎…芦屋雁三郎 あき子の父。荒木荘の前を犬のゴンを散歩させていた。
泉田あき子 …佐津川愛美 圭介に一目惚れされて交際をはじめる。

ジョージ富士川…西川貴教 「自由は不自由だ」がキメ台詞の人気芸術家。喜美子が通おうと思っている美術学校の特別講師。
草間里子…行平あい佳 草間と満州からの帰り生き別れ、別の男と大阪で飯屋を営んでいる。妊娠もしている。

あらすじ


第一週 昭和22年 喜美子9歳  家族で大阪から信楽に引っ越してくる。信楽焼と出会う。
第二週 昭和28年 喜美子15歳 中学を卒業し、大阪に就職する。
第三週 昭和28年 喜美子15歳 大阪の荒木荘で女中見習い。初任給1000円を仕送りする。
第四週 昭和30年 喜美子18歳 女中として一人前になり荒木荘を切り盛りする。
第五週 昭和30年秋から暮にかけて。喜美子、初恋と失恋。美術学校に行くことを決める。
第六週 昭和31年 喜美子、信楽に戻り、丸熊陶業で働きはじめる。
第七週 昭和31年 喜美子、火鉢の絵付けに魅入られ、深野心仙の弟子になる。

脚本:水橋文美江
演出:中島由貴、佐藤譲、鈴木航ほか
音楽:冬野ユミ
キャスト: 戸田恵梨香、北村一輝、富田靖子、桜庭ななみ、福田麻由子、佐藤隆太、大島優子、林 遣都、財前直見、水野美紀、溝端淳平ほか
語り:中條誠子アナウンサー
主題歌:Superfly「フレア」
制作統括:内田ゆき
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