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神木隆之介『コントが始まる』も話題 長いキャリアで培った“型”と“芸”で少年も大人も演じ切る演技派

そのとき思い出したのは、2019年に神木が主演した『鉄の骨』(WOWOW)に関するインタビューを行ったときの彼の回答だった。このドラマで社会人4年目の会社員を演じた神木に、「少年役はそろそろ卒業でしょうか」と聞くと、福山雅治の楽曲「生きてる生きてく」のなかにある、<子供のころは大人になんてなれないのに 大人になれば「ときめく」だけで いつでも子供になれる>という歌詞に共感する、と神木は答えたのである。


年齢を経ると制服が似合わなくなることを気にしたり、話題になることを意識したりして、制服卒業を高らかに宣言する俳優たちもいるなかで、神木は大人になっても少年を演じたい意思を見せた。

あれからまた時間が経過したので今はわからない。けれど、『コントが始まる』の瞬太の高校生姿はまだまだ神木が少年役現役であることを感じさせた。神木は少年の経験を大人の俳優になっても生かし、いつでも少年に変化(へんげ)することができる稀有な俳優になる可能性をもっている。神木が演じてきた少年たちの歴史を振り返ってみよう。

神木が演じてきた少年たちの歴史

神木隆之介は1993年5月19日、埼玉県生まれ。芸能界デビューは95年。俳優デビューは99年。屈託のない善良な少年、理想の息子のイメージがあるが、俳優デビュー間もなく出演した2000年『QUIZ』(TBS)では、いたいけな少年が犯罪に手を染める難役に挑んでいた。ピュアゆえに悪に傾く少年の危うさを演じ、かわいいだけの子役ではなく、俳優としての貫禄を見せていたのである。2001年にはジブリアニメ『千と千尋の神隠し』の坊の声を担当した。こちらもワガママな赤ちゃん役だった。


こうしてみると、意外にも、初期の神木は屈折した役を多く演じているのである。映画『20世紀少年 最終章 ぼくらの旗』(2009年)では壮大な物語の鍵を握る少年役をピンポイントながら鮮烈に演じ(筆者が撮影現場を見学したとき、ある瞬間すっと表情を変える顔筋の動きがCGかと思うくらいなめらかで驚いた)、映画化もされた連ドラ『SPEC』シリーズでは“この世界の王”を称し、邪魔な者は消していくSPEC(特殊能力)保持者を演じた。

恵まれた才能を生かし、いささか尊大になってしまうような突出した人物を軽やかに演じていた神木が一転して、スクールカーストの底辺にいる地味な少年を演じたのは映画『桐島、部活辞めるってよ』(2012年)だった。この作品で彼が演じた、たとえ校内では地味で顧みられなくても好きな映画を撮り続ける少年には多くの人が共感を覚えた。天使のような天才少年が少しだけ地上に降りてくれたようであった。


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