こぶしファクトリーが2020年3月30日をもって解散したあと、女優として活動を続けてきた浜浦彩乃
に関するニュース">モーニング娘。スマイレージ(現アンジュルム)で上演した舞台「LILIUM-リリウム 少女純潔歌劇-」の再演に出演することでも、大きな話題を集めている。今回は「LILIUM」オーディションのことや、グループを卒業後、女優になってからの変化について聞いた。

【写真】舞台女優として大活躍・浜浦彩乃の撮りおろしカット【10点】

──こぶしファクトリーでの活動を終えてまもなく丸3年が経ちますが、ソロで活動を始めたときのことを振り返ると、どんな気持ちだったか覚えていますか?

浜浦 ハロー!プロジェクトで学んだことがすごく大きかったので、それを持って外に出るという不安もあったんですけど、「自分ならできる」という気持ちの方が大きくありました。前は人と話すのが苦手だったんですけど、舞台で関わる方が毎月変わってくる中で自分からコミュニケーションを取るようになったり、また新たな成長ができているなと感じています。

──確かに以前の浜浦さんは、こぶし以外のグループの方と積極的に交流するタイプではなかったですよね。1人で活動を始めてどのくらい経ってからコミュニケーションを取れるようになったんですか?

浜浦 1年くらい経った頃だと思うんですけど、舞台でメインを張れるようになってきて、「周りの人をどんどん巻き込んでいかないといい作品って作れない」と思うようになったんです。そこからはコミュニケーションを取ることを、より意識するようになりました。「何て呼べばいい?」とかすごく些細なことからなんですけど……。

──浜浦さんといえば「はまちゃん」が愛称でしたが、それは今も変わらずですか?

浜浦 それが最近だと「彩乃ちゃん」とか「はま」と呼ばれることが多いんですよ。もちろんプライベートではそう呼ばれることもありますけど、やっぱりお仕事だと「はまちゃん」に慣れていて。だからわざわざ「はまちゃんって呼んで」と言っています(笑)。


──演技の楽しさはどういうところで感じますか?

浜浦 自分ではない人間を演じるのがすごく楽しくて、自分の生活では起きないことを経験できるのが、違う人生を生きているみたいだなと思います。私は吉高由里子さんや満島ひかりさんみたいな女優さんが好きなんですけど、みなさん普段と全然違う、憑依したように演じていらっしゃるのがすごく素敵だなと思っていて。でも、いざ自分でやってみると思った通りにはいかなかったり、相手を思いやらないとできないお芝居もたくさんあるので、そういう現場全体のことや自分個人のことを考えるのも面白いです。

──歌って踊るのとはまた違う楽しさなのでしょうか?

浜浦 そうですね。ライブだとステージからお客さんと目があったり、「楽しんでくれている」と感じるときが楽しいんですけど、お芝居をしているときはなかなかお客さんの顔を見られなくて、目線を合わせたりすることはないんです。でも作品によって世界観が違って、「こうやって自分も生きてみたいな」「こういうふうに人に接してみたいな」と感銘を受けることが多いので、お客さんにもそう感じてもらったり、作品を見たことで前向きに生きてもらえたらいいなと思っています。

──これまでさまざまな作品に出演した中で、印象的な作品はありますか?

浜浦 乙女ゲームが原作の「剣が君-残桜の舞-」(2021年)という舞台に出演したことがあるんですけど、どの男性がヒーローになるかによってセリフも立ち位置も変わってくるんですね。私は主人公の役だったので、6パターンを覚えなきゃいけなくてめちゃめちゃ大変でした(笑)。歌でもメインで任されていて、上手な方の中で主線を歌うのはすごく緊張したんですけど、みなさんに助けていただきながらできたなと思います。

──歌ができることは女優としても強みですよね。

浜浦 でもそのときはハロー!プロジェクトで培った歌唱力で頑張っていたんですけど、最近はミュージカル歌唱を求められるようになっているんです。しゃくりが多かったり、歌う前に「ん」をつけたり、跳ねて歌うとか、ハロー!プロジェクトの歌い方の癖ってやっぱりあるんですよ。
でもミュージカルだと話し言葉のように歌うので、これまでの歌い方を活かせないのが難しくて、また1から自分で作り上げなきゃなぁと思っていますね。

──そして4月から上演の「LILIUM -リリウム 新約少女純潔歌劇-」への出演が大きな話題になりましたが、2014年のモーニング娘。さんとスマイレージさんの初演はご覧になっていたのでしょうか。

浜浦 当時はまだハロプロ研修生でしたが、もちろん観ていました! 「『LILIUM』は面白い」とハロプロ内でも話題になっていたし、実際にすごく面白いなと思って。メンバーそれぞれの歌声がすごく生かされたミュージカルだったのもあって、印象に残っています。

──改めて今回のオーディションを受けた経緯を教えてください。

浜浦 あると聞いてすぐに受けようとは決めたんですけど、役ごとの募集だったんです。「私だったらどの役だろう」と考えたときに、和田彩花さんが演じられたスノウが、純粋無垢で今にも消えてしまいそうなキャラクターだったなと思ってあえて挑戦してみたいと思ったんです。

──あえて?

浜浦 負けず嫌いなので、そういうイメージとは真逆だなと思って(笑)。実際に役が発表されたときに「消えそうなスノウをどうやって演じてくれるんだろう」と言ってくださる方もいましたし(笑)。でもだからこそ自分にとってチャンスだなと思いましたし、そう思っている方を驚かせられるように演じたいです。

──オーディションはいかがでしたか?

浜浦 めちゃめちゃ緊張しました! もともと「TRUMP」シリーズも「LILIUM」も人気なので、すごい人数の方がオーディション会場にいて驚きました。
いつもとは違うオーディション形式だったりもして、その場で対応するのがすごく難しかったです。

──受かる自信はありました?

浜浦 なかったですね。書類選考の段階ではどんな子がいるがわからないので「受かるかも」と思っていたんですけど、会場には歌が上手な子もお芝居ができる子もたくさんいたので、その中で自分がズバ抜けているとは思えなくて……。でも受かりたいという気持ちは強かったので、自分ができることを全力でやりました。

──出演が決まったときはどう思いました?

浜浦 家でゲームをしているときにマネージャーさんから電話がかかってきて知ったんですけど、「なんでですか?」って聞き返しましたね(笑)。まさか自分に決まるとは思ってなかったし、喜びよりも先に疑問でした。でもその歌審査での評価や「やる気が伝わってきたから」だと聞いて本当にうれしかったです。

──一度上演された作品ということで、プレッシャーを感じる部分もありますか?

浜浦 個人的には0から作るものより、すでに基盤がある方がさらにプラスにしていきやすいので、モーニング娘。さんとスマイレージさんが作っていたものがあることでむしろ安心感があります。もちろん前回はメンバーに合わせて当て書きしている部分があり、今回はいろいろ変わってくると思うので、新しい「LILIUM」として見ていただけたらと思います。

──初演には浜浦さんと仲のいい小田さくらさんも出演されていましたが、今回の出演に何か連絡がありましたか?

浜浦 驚かせてやろうと思って、発表されるまで言ってなかったんですよ。そしたら発表後すぐに「なんで言ってくれなかったの?」って連絡が来ました(笑)。
譜久村(聖)さんや石田(亜佑美)さんも「観に行きたい」と言ってくださったんですよ。

──稽古はいつから始まるんですか?

浜浦 3月くらいです。初演も曲数がすごく多いんですけど、さらに新曲が増えてダンスも激しくなると聞いているので(笑)、1カ月で作り上げられるのかという心配はありますが、本番に向けてみんなでしっかり作り上げたいなと思っています。

(取材・文/東海林その子)
▽浜浦彩乃(はまうら・あやの)
2000年4月26日生まれ、埼玉県出身。2011年にハロプロエッグ(のちのハロプロ研修生)に加入、2015年にこぶしファクトリーを結成。2020年3月の同グループ解散後は、女優として舞台やミュージカルを中心に活動している。レギュラーラジオ「浜浦さんに喋らせたい!」(Radiotalk)が毎週水曜日20時から放送中。
Twitter:@hamaura_0426
Instagram:ayano_hamaura.official

▼information
・舞台「十五少女漂流記」が2月3日(金)~6日(月)にシアター1010(東京)、2月23日(木祝)に海老名市文化会館(神奈川)にて上演。
・「浜浦彩乃ソロイベント~With You Valentine~」が2月26日(日)にカラオケまねきねこ渋谷本店にて開催。
・TRUMP series 15th ANNIVERSARYミュージカル「LILIUM-リリウム新約少女純潔歌劇-」が4月15日(土)~23日(日)にサンシャイン劇場(東京)、4月28日(金)~5月3日(水祝)に梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ(大阪)にて上演。