日本国内のストリートカルチャーシーンにおいて、BMXライダーを中心に深く愛され続けているアパレルブランド「430/Fourthirty(フォーサーティー)」が、今年でブランド設立30周年を迎える。

1996年に5名のプロBMXライダーによって発足し、その一員である上原洋を中心に歩みを進めてきた同ブランド。

彼らが長年にわたるBMXとの関わりや数々の旅を通じて得た経験、そして機能性を追求した素材選びや時代ごとのテーマを反映したグラフィックなど、周囲のアーティストたちと共創したエッセンスがアパレルに落とし込まれている。現在ではBMXライダーをはじめ、ストリートカルチャーを生きる多くの人々に寄り添うデザインを展開し、シーンから絶大な支持を集めるブランドだ。

そして5月2日(土)にFourthirtyの創業30周年を記念するイベント「みどりな夜 2026 – 430 30th ANNIVERSARY」が開催される。この度、FINEPLAYでは当イベントに先駆けて、Fourthirty創立メンバーである上原洋氏に行ったインタビューを全4回の連載企画としてお届けする。

続く今回の第3弾では、ブランドの拠点である原宿のショップ「DECADE TOKYO」が誕生した意外な舞台裏や、30年間変わらずに掲げ続けてきたブランドスローガン「Everything is fuel to our energy」に込められた真意を深掘りしていく。ストリートの最前線で「ハブ」として機能し続ける上原氏のコミュニティ哲学、そしてチームとしての新たな挑戦に注目してほしい。

仲間達の「ハブ」が店舗へ。「DECADE TOKYO」誕生秘話

430/Fourthirty 30周年記念連載:第3弾~「D...の画像はこちら >>
旧 DECADE TOKYO

財満:前回は香港での生活から日本に帰国するまでを伺いましたが、いよいよ原宿に「DECADE TOKYO」が誕生するまでの経緯を教えてもらえますか?

上原:香港にいた頃は、台湾、シンガポール、韓国など、アジア圏を中心に世界中の人々が行き来する環境にいたので、自然とフットワークが軽くなっていました。そうして世界中に仲間ができたタイミングで、日本に帰ってきました。帰国後は、自分のブランド(Fourthirty)やBMXをもっと真剣に突き詰めたいと考え、ストリートカルチャーの中心である原宿に古いアパートを借りて住み始めたんです。

香港時代もそうでしたが、街中に身を置いていると、仲間が遊びに来て、さらに新しい仲間を連れてくる。そこから常に新鮮な情報が入ってくる、というスタイルが自分には合っているなと思っていました。

案の定、原宿の自宅もメンバーや様々な友人が絶えず集まる「ハブ」のような場所になりました。

430/Fourthirty 30周年記念連載:第3弾~「DECADE TOKYO」始動と30年変わらない信念「 Everything is fuel to our energy」~
旧 DECADE TOKYO

財満:そこから、どうやって「ショップ」へと発展していったのですか?

上原:当時、キャットストリートに「DBA」というお店があったんです。老舗スケートショップの「arktz(アークティーズ)」の姉妹店で、Fourthirtyを主力ブランドとして扱ってくれていました。Fourthirtyのメンバーも働かせてもらっていた縁もあり、家族のような付き合いをしていたんです。 ところがある時、渋谷の区画整理による立ち退きが決まってしまい、「Fourthirtyを置く場所がなってしまう!」という状況になりました。

財満:それはかなりのピンチですね。

上原:急いで原宿界隈で物件を探しましたが、立地も賃料も条件に合う場所がなかなか見つからなくて。その時、「じゃあ、いっそここ(自宅)でやろう」と決めたのが、以前のDECADEなんです。

財満:あそこは元々ヒロシくんの家だったんですね!

上原:そうなんです(笑)。1階の柱を抜いて店舗風に改装して、後から2階や目の前の建物も借り増していきました。大家さんに「ショールームのように使いたい」と相談したら快諾してくださって。結局、あの場所では15~16年ほど活動しましたね。

30年間揺るがない信念「Everything is fuel to our energy」

財満:2010年頃はストリートシーンも激動の時代でしたよね。

上原:帰国したのが2006年頃。まだiPhoneすら普及していない時代でした。当時の原宿は同世代のストリートブランドが活気に溢れていましたし、20代半ばの動ける若手ライダーも増えてきて、本当にエネルギッシュで楽しい時期でした。

430/Fourthirty 30周年記念連載:第3弾~「DECADE TOKYO」始動と30年変わらない信念「 Everything is fuel to our energy」~
VICE撮影時の様子 / 左:新田 右:上原

並行して、雑誌『VICE』の小池ゆきおさんという日本の代表の方とも交流があり、イベントの運営をお手伝いしたりしていました。そこでテリー・リチャードソンや新田桂一さんのような世界的なフォトグラファーとも繋がりができて、可愛がってもらいました。

財満:現在のFourthirtyは、多彩なブランドとのコラボやアーティストサポートでも知られていますが、そういった動きはいつ頃から始まったのですか?

上原:今も昔も変わらないのですが、「このアーティストが旬だからコラボしよう」というビジネスライクな考えではないです。昔からの付き合いがあったり、展示会に遊びに来てくれた仲間と「これ、いいね」「着たいんだけど」といった自然なやり取りから始まることが多いです。金銭的なサポートというよりは、仲間内で「良いもの」を共有している感覚に近いですね。

430/Fourthirty 30周年記念連載:第3弾~「DECADE TOKYO」始動と30年変わらない信念「 Everything is fuel to our energy」~
2000年代後半~2010年当時のスナップ

財満:30年続く活動の中で、ここだけは「ブレさせていない」という430の信念はありますか?

上原:ブランド創設時にメンバーの伊東高志が決めた「Everything is fuel to our energy(周囲のモノ、事柄、人、すべてが僕らの原動力)」というスローガンです。結局、僕一人では何も成し遂げられていません。支えてくれる皆への感謝だけは、一瞬たりとも忘れたことがないですね。

財満:そのマインドがあるからこそ、自然と人が集まってくるんですね。

上原:若い世代が「何かをやりたい」と言ってきたとき、否定するのではなく「こういうやり方もあるんじゃない?」と建設的に対話したいと思ってます。それが僕らのモードですし、チーム全員が共通して持っている想いです。

BMXというバックボーンを超えて。誰もが楽しめるファッションブランドの強み

財満:ブランドの30周年を振り返ってみて、今どのようなフェーズにいると感じていますか?

上原:自分自身、まだそこを客観的に俯瞰できるほど大人にはなりきれていないというか(笑)。ただ、ブランドの在り方には多様な形があるんだなと実感しています。 例えば、大手商社と提携して流通を拡大し、自分たちはデザインに専念する、といった海外で主流の「ブランドを成長させて売却し、また新しいことを始める」というスタイルも日本で増えてきました。

でも、僕にはそのやり方は合っていなくて。この「泥臭い継続」こそが、430のチャームポイントだと思っています。

財満:実際に(買収などの)話があったわけではなく?

上原:全くなかったわけではないですが、あまりないです。僕がそういうモードを出していないからだと思いますし、出すつもりもありません。今ある形を絶やさないよう30年間走り続けてきましたし、これからもそうありたいです。

変化した部分もあって。

今はチームで動かしているので、メンバーから自分では思いもよらないアイデアが出て、それが形になる。最初は違和感を覚えることもありましたが、今はそれを純粋に楽しめています。「こういうアイテムを出すなら、こんな要素を足してみたら?」と、自分からも新しいアイデアを乗せていく。そんな化学反応が起きています。

430/Fourthirty 30周年記念連載:第3弾~「DECADE TOKYO」始動と30年変わらない信念「 Everything is fuel to our energy」~
制作時の様子

財満:毎シーズンのコレクションも、チーム全員で意見を出し合っているのですね。

上原:基本的には制作チームがベースを作り、そこにみんなでアイデアを加えていく形です。モデルを務めてくれる子たちも何年も一緒にやってくれている仲間ばかりで、そうした「繋がり」は年々深まっていると感じますね。

財満:展示会にも、ジャンルの垣根を超えて多様なカルチャーの人たちが訪れています。

上原:先輩や仲間たちも、展示会という場を通じて生まれる「横の繋がり」に期待して来てくれている部分があって、それはすごく嬉しいですね。430という場所が、面白い人たちが交差するプラットフォームになればいいなと願っています。

430/Fourthirty 30周年記念連載:第3弾~「DECADE TOKYO」始動と30年変わらない信念「 Everything is fuel to our energy」~
展示会の様子

バックボーンにBMXがあることは周知の事実ですが、「自転車に乗っていないから関係ない」ではなく、誰もが楽しめる。それこそが、ファッションブランドとしてのFourthirtyの強みだと思っています。

今回のインタビューはPodcast「SESSIONS Presented by FINEPLAY」でも!

430/Fourthirty 30周年記念連載:第3弾~「DECADE TOKYO」始動と30年変わらない信念「 Everything is fuel to our energy」~

FINEPLAYがスタートした新音声メディア「SESSIONS Presented by FINEPLAY」にて今回のインタビューもお聴きできます。

上原洋プロフィール

元プロBMXライダー。現在はアパレルを中心に、BMX、関連商品を販売する430 co.,Ltd の代表。2021年の東京オリンピック組織委員会でBMXの技術マネージャーを担当。またUCI BMX FREESTYLE 国際大会審査員も務める。2010年に原宿キャットストリートに430のヘッドショップであるDECADE TOKYOをオープンさせ、2024年に同じキャットストリートにDECADE TOKYOがリニューアルオープンした。

「みどりな夜 2026 – 430 30th ANNIVERSARY」 イベント概要

430 30th ANNIVERSARY “みどりな夜 2026”
今回は430の30周年も重なる、特別な一夜。

クラブエイジアのフロアをフルに使い、BMX、LIVE、DJが交差するお祭り的な一夜。
“みどりな夜”名物、BMXフラットランドのジャムセッションも開催。
クラブという異空間で繰り広げられるライディングは、ここでしか見れない景色です。

今回集まってくれたのは、これまで430と共にシーンを作ってきた仲間たち。
長年ステージを共にしてきた太華くん、岡山の繋がりも深いレゲエアーティストJ-REXXX、
ミクスチャーバンドのGAS MARIA、大分からはケンチンミン、金沢からはVUE DU MONDE、そしてさすがのパフォーマンスで魅せるK&K。

それぞれのスタイルで、この夜を彩ってくれます。

DJ陣も特別なラインナップ。長年共にイベントを作ってきたDJ BAKU、高校時代からの仲間であるホームメイド家族のDJ U-ICHI、みどりな夜を支え続けてきたDJ DAI-5、DJ TOYODA。岡山からはDJ ZEEK、名古屋からはコースケ。現場を共にしてきたDJ PONY。田中光太郎の平成チューンもあります。そして新たな出会いから参加するDJ TIMESLIP GOなど、それぞれのバックグラウンドが混ざり合う一夜になります。

さらにスペシャルゲストも控えていますが、こちらは当日までのお楽しみ。
30周年を祝うために集まってくれた、本当に大切な仲間たちです。
このメンバーで迎えられることに感謝。当日が楽しみです。

— Text by Hiroshi Uehara/上原洋

DATE:5.2 (Sat) 23:00 START
TICKET:ADV ¥3000 / DOOR ¥4000(430枚に達すると終了します )
430/Fourthirty 30周年記念連載:第1弾 ~Fourthirty代表 上原洋が語る創業秘話~チケットはDECADE TOKYO & ONLINEにて販売中です。記事最下部のリンクより購入できます。
VENUE:CLUB ASIA(渋谷)東京都渋谷区円山町1-8
STARRING:
430 BMX LIVE SESSION
J-REXXX,太華,GAS MARIA,KEN TIN MIN,VUE DU MONDE,K&K,DJ BAKU,
DJ U-ICHI.,DJ DAI-5,DJ TOYODA,DJ TIME SLIPPER GO,DJ ZEEK
DJ PONY,DJ KOTARO TANAKA
…and more

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