「嘘ですよね?間違いですよね?」──落選中の枝野幸男元立憲民主党代表の書き込みが波紋を広げている。中道改革連合が7日の党会合で、安定的な皇位継承策として「旧宮家の男系男子を養子として皇族に迎える案を容認」と報じられたのを受け、自身のXで驚きをあらわにしたのだ。


 中道結党前の立憲は、自民党が優先する養子案には慎重姿勢。女性皇族が結婚後も皇室に残る案を支持していた。一方、公明党は中道結党前から養子案に原則賛成で、結婚した女性皇族の皇籍維持には反対。皇位継承に関する党検討本部の笠浩史本部長らが、公明側にスリ寄った形である。


 枝野氏は立憲の創設者。「万が一にも、天皇制を破壊しかねない旧皇族養子案を認めるなら、お付き合いは仕切れません」と、さらに強い表現で投稿すると、立憲出身者たちも次々とSNS上で反発の声を上げている。


 中道の共同政調会長だった本庄知史前衆院議員は、養子案に「賛成しない」と明言。「男系男子に固執する限り、皇位継承の安定性は失われ、天皇制はいびつな形にならざるを得ない」と批判した。7日の党会合に出席した西村智奈美衆院議員は「少なくとも私は『容認』とは異なる意見を述べています」と発信。中道を離党した藤原規真前衆院議員は「先月までこの不敬な政党に所属した。私は履歴書を汚した」と激高した。


 蜂の巣をつついたような騒ぎだが、確かに養子案は問題だらけ。

立憲がかつて疑問を呈したのは憲法との整合性だ。1947年の11宮家の皇籍離脱以降、彼らは民間人。「旧宮家」というだけで皇室の養子に選ばれれば、憲法14条が禁じる「門地による差別」に抵触しかねない。内閣法制局は合憲と解釈したが、専門家の疑義は根強く、違憲訴訟の提起は必至だ。


 また、具体的には皇室典範の9条(養子の禁止)と15条(婚姻以外による皇籍取得の禁止)の改正が必要となる。これらは戦前の旧典範から踏襲され、皇位継承資格の純粋性を守り、皇統の混乱を防ぐ狙いがある。枝野氏が言う「天皇制破壊」とは、典範改正による「万世一系」の血統崩壊への懸念を指すのだろう。


■「どう考えてもムリ筋」と識者もバッサリ


「養子案は、問題点が多すぎる。どう考えてもムリ筋です。皇籍離脱から約80年。もう親の代から民間人として暮らしてきた旧宮家の人を唐突に皇族に復帰させ、その後生まれた男子が天皇となる可能性もあることに、国民の理解を得られるのか。天皇の地位は憲法1条で〈国民の総意に基づく〉と定めている以上、典範改正は国民のコンセンサスが第一。

拙速な政治決着は論外です。議論も当事者不在で『養子を迎える』という極めてプライベートな問題を、皇族の意向も聞かず政治が勝手に決めるなんてムチャクチャです」(立正大名誉教授・金子勝氏=憲法)


 中道は11日にも見解の取りまとめを目指すが、高市政権が皇室典範改正を急ぐ中、「決められない政党」と思われるのを避けたいだけだろう。バカげている。


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  高市首相は皇室典範の改正に躍起になる背景とは。関連記事【もっと読む】『高市首相が天皇皇后のお望みに背を向けてまで「愛子天皇待望論」に反対する内情』で詳しく報じている。


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